低公害車の研究・開発

和歌山大学 Solar Car Project

勝谷仁(和歌山大学システム工学部光メカトロニクス学科3回生)

 


1.まえがき

現在資源の枯渇が叫ばれている中で,これから先の未来においては今までよりもクリーンなエネルギの使用,つまり地球上に存在する自然の力の有効利用が必要とされてくる.これらの力を使うために必要な技術,もしくは知識を習得し,未来に役立つ物を作るのに貢献出来るようになろうということを目的とし,日本の石油利用量の35%を占める車の低公害化を進めるため,低公害車の研究開発を行う.

低公害車に関して,エンジンより変換効率が高い電気モータ利用した自動車が主流になると思われる.一般に電気自動車を動かすために必要な力は,自動車の4大抵抗成分である転がり抵抗,勾配抵抗,加速抵抗,空気抵抗および電気効率,機械効率で決定される.このうち機械効率は電気自動車ではダイレクトドライブによりゼロになり,各社が膨大な資金と時間をかけて開発するトランスミッションやデフなどの開発を行わなくて済む.エンジン自動車にトランスミッションなどの鉄の塊である伝達機構を必要としない電気自動車は,重量やスペースにおいて有利であるため,空気抵抗においても有利になる可能性がある.部品点数も6割程度に少なくなるため,開発資金の軽減に於いても有利であると考えられる.高性能化を睨んだバイワイヤ化も進むと考えられ,電気自動車の実現はステップバイステップで進んでいくものと考えられる.

そこで,各種の抵抗成分を低減した電気自動車としてソーラーカーを設計製作し,高効率化を図ってきた.

今回,消費されるエネルギを確実にモニタするためデータロギングシステムの構築と,テレメトリシステムの構築によりドライバに依存せず高精度リアルタイムでのエネルギマネジメントを図った.また,電気効率,機械効率を改善するためにDC ブラシレスモータを回生制動が可能なコントローラと組み合わせて使用した.

1 ソーラーカー

図2 国内石油利用内訳

 

以下に研究実施内容を項目ごとに説明する.

 

2.車体仕様

製作し実験に用いた車体の外観を図1 に示す.この車はフレームがアルミ製で外殻はFRP製であり,その質量は運転員および蓄電池の合計で208kg と非常に軽量であり,転がり抵抗が少ない.また,前面投影面積が小さく空気抵抗も小さい.エネルギ源には質量8.5kg のシール式鉛蓄電池(FT-LB20L)8 個を2並4直列とした組電池を使用した.

実験に利用した白浜空港跡地は1周2.49km のコースである.緩やかな傾斜を有し,最大登り勾配は2%である.

ドライバ2名による各速度による消費電力をテレメトリシステムにより周回ごとに表示し,車体の消費電力を示したものが図2である.同時に1周中の消費電力を示したものが図3である.

図3 消費電力特性

 

図4 50KM/Hでの消費電力

 

3.設計

設計は2D CADJWW CAD)と3D CAD(Alibre)により行った.

軽量・安価・高性能・スピンドルシャフトの高精度化による転がり抵抗の軽減・製作工程の簡約化・前方投影面積の最小化をコンセプトとして設計した.3Dでの設計により干渉と,簡単な強度確認を行い,前輪から後輪にかけて均等な強度分布と,強度過多を防ぐ設計を行った.設計した図面を以下に示す.

図5 2D設計図

図6 3Dフレーム設計図

 

4.データロギングシステム

低公害車を研究するにあたり,その性能を正確に把握することは欠かせない.そこで必要になるデータは消費電力であるが,それを知るにはモータ消費電力,バッテリー消費電力,ソーラーパネル発電電力のデータ全てを知れることが望ましい.これを実現するため,PCベースでデータ取得を出来るシステムを構築した.ここで用いたのはグラフィック言語であるLabVIEWと,USBによる12チャンネルの計測を行えるUSB6008(ナショナルインスツルメンツ)を使用した.これと分流器と分圧器を組み合わせ,ソーラーカーの高電圧高電流なデータも取得できるようになっている.これらのデータは全てエクセル形式のデータで任意のドライブに保存され,任意の時間ごとに新しい名前で保存されるようになっている.これにより途中でパーソナルコンピュータの電池が切れた場合でもデータは取得できるようになっている.

また,ドライバからも必要な情報を正確に読み取れるよう,視覚的な小型ディスプレイを提供し,サイズなどは人間工学基づいて設計を行った.

他にバックアップとしてアナログ積算電力系での監視と,パワーアナライザープログラムによってデータ取得を行っている.これはピットへ戻り,保存操作をしなければならないため,あくまでバックアップ用として用いられている.

図7 データロギング画面

 

5.テレメトリシステム

データロギングにより得られたデータをピットからもリアルタイムで監視し,効率的なエネルギマネジメントとドライバへ指示を行えるようテレメトリシステムを構築した.

これはインターネット環境を必要とせず,インターネット環境を確保できない鈴鹿サーキットや白浜空港跡地などでの実験においてもテレメトリを行えるシステムになっている.

無線LANを使用し,ピット(2点)とソーラーカー(1点)間で小規模無線LANネットワークを構築し,これらの間でアクセスポイントを介さずにネットワークを組んで居るためである.

データロギングシステムから任意の単位時間ごとに保存されているエクセルデータは共有フォルダに保存されており,ピットからこれを常に見ることが出来る.ソーラーカー側のPCで問題が発生し,手動で回復しなければならない場合に備えてリモートデスクトップによりピット側から操作を行えるうえ,ネットワークカメラからドライバと同じ状態画像と,データロギングシステムで得られた画面情報も得られるようになっている.

白浜空港での実験では直径100[](ネットワーク全体で200M)内であれば通信状態を確保できた.今後はさらに大容量での通信を可能にするため,アンテナの設置を考えている.

 

6.電気二重層キャパシタ

電気自動車において,重量増を生み出す最大の要素は蓄電装置である.

 

 

(特許出願予定につき内緒です。)

 

 

・・・・ている.

 

 

 

以上.