プライマリギヤについて

【初期型<排気デバイス無>とS型<排気デバイス付>のプライマリギヤ周りの比較】

KRオーナーはご存知の事と思いますが、おさらいという事で・・・。

タンデムツインエンジンは前後逆に動いているクランクの動力を”プライマリギヤ”というパーツを介して中央にある大きいクラッチギヤに伝達させ、そしてミッションへと動力を伝達しておりますが、この”プライマリギヤ”について初期型<排気デバイス無>とS型<排気デバイス付>では異なる仕様になっています。

[初期型<排気デバイス無>]

■エンジン右側のクラッチハウジングカバーを外したプライマリギヤ部■

■プライマリギヤの中身(分解後の画像)■

■プライマリギヤ内の各パーツの調整方法■

@プライマリギヤ内にカム・ワッシャー・板バネ(薄・厚)・リテーナ(蓋)の順に入れて、その重なった寸法がサービスマニュアルに記載の規定値になるようにワッシャーの厚みを変更して調整します。

A最初に計測するときはワッシャーの厚みを1.2mm 1枚で計測します。そして、全て収まった状態での計測が49.8mm〜50.7mm 以内であればワッシャーは1.2mm 1枚の厚さでOKです。

Bこの計測値の増減によりワッシャーの厚みや枚数を変更して調整します。調整内容は下記表の通りですが、詳細はサービスマニュアルにて確認してください。

【プライマリギヤ内のカムとシュー形状について】

KRの部品収集を長年行ってきて、それらストックした収集品の中で形状に大きく変化のあった部品があります。 それは、プライマリーギヤ内のカムとシューの形状です。 どの型式からの収集品か等、区別は行っていないので何とも言えないのですが、おそらくサービスマニュアルに記載してあるプライマリギヤのワッシャー調整表で<初版>と<二版>で内容修正されている事項について変更のあった部品ではないかと推測しています。

[S型<排気デバイス付>]

■エンジン右側のクラッチハウジングカバーを外したプライマリギヤ部■

後期型のプライマリギヤはクランクシャフトにネジ止めされています。プライマリギヤ内に収納されている板バネのヘタリによるガタつき防止に一役買っているようです。

■プライマリギヤの中身(分解後の画像)■

初期型<排気デバイス無>との大きな違いは、リテーナ(蓋)の部分とプライマリーギヤ本体の底に入れる部品です。

           <@底部の部品形状>                    <Aリテーナ(蓋)の形状> 

@初期型では底部に入れる円錐型で周りにシューが収まっていた部品が蓋の部品に、その形状を変え使用している。

A代わりに円錐型で周りにシューが収まっていた部品が平型に変わった。

Bプライマリギヤの全長寸法が違う

初期型のプライマリギヤとS型のプライマリギヤの寸法が若干変わっています。

クランクシャフトにプライマリギヤを抑えるネジをつけたことで、ズレが少なくなったことからプライマリギヤの全長を長くしたのかは定かではありません。ただ、この事でクラッチギヤとかみ合うギヤ部も位置が変わり、互換性が全く無くなってしまいました。 (実際に双方のエンジン本体に取り付けて検証してみたい気もしますが・・・)

■プライマリギヤ内の各パーツの調整方法■

@プライマリギヤ内にカム・ワッシャー・板バネ(薄・厚)・リテーナ(蓋)の順に入れて、その重なった寸法がサービスマニュアルに記載の規定値になるようにワッシャーの厚みを変更して調整します。

A最初に計測するときはワッシャーの厚みを1.0mm 1枚で計測します。そして、全て収まった状態での計測が51.9mm〜52.3mm 以内であればワッシャーは1.0mm 1枚の厚さでOKです。

Bこの計測値の増減によりワッシャーの厚みや枚数を変更して調整します。調整内容は下記表の通りですが、詳細はサービスマニュアルにて確認してください。

【プライマリギヤ関係のメンテナンス】

KRオーナーにとって、やはり一番気になるのが各部品の交換時期ですが、これは、車体差があり何ともいえません。 例えば、”パワーバンド内で頻繁に走る”方はそれだけエンジンに負担をかけている訳で、ヘタリやすいと思いますし、あまり回さず”低・中速メインで走る”方はそれだけエンジンの負担も軽いのでヘタリにくいでしょう。また、頻繁に乗られる方、たまにしか乗らない方、メンテナンスしている方、しんていない方 等、オーナーの様々な使用方法により、車体のヘタリ度に差異が生まれている点にあります。 なによりもオーナーになったのは良いが、前オーナーがどのように使用していたか等、車体の経緯は当然わからないので、実際のところ、車体入手後にまず、各機関部を一通り見て、現状把握し、どのようにメンテナンスしていくかを考える事が最も車体を良く、長く維持する為のコツといえます。(経験談)

キャブレターについて

KR250のキャブ調整は2つのパターンがあり、この調整手法を間違えると”KR250のエンジン不調”を招いてしまう大きな要因の1つになっています。

@前シリンダーのキャブより後シリンダーのキャブを少し早めにアクセルが開くようにスロットルストップスクリューを調整する

A前シリンダーのキャブと後シリンダーのキャブを同時にアクセルが開くようにスロットルストップスクリューを調整する

この@Aの大きな差異は、後シリンダーのキャブのスロットルバルブに溝が「ある」「無い」で見分ける事が可能です。

[スロットルバルブの溝について]

この溝は、@にある調整の欠点(タイミングラグ)を対策したものと考えられます。KR250S(KVSS)のサービスマニュアルには、対策されたスロットルバルブが使用されている為か同時にアクセルが開くように設定内容が変更されています。

[対策の有無の確認]

キャブレターの前後のスロットルバルブを目視で確認して「溝」があれば”対策済”。

[色々な車体を見て感じる事は?]

最近は良好な車体が少なく、またパーツも少ない状況の為か、車体の製造年数に合致したパーツが装着されているとは限りません。 今まで色々とKR250の車体を見てきましたが、こんなパターンがありました。

@未対策なのに、同時で調整

A後シリンダーのキャブで対策済なのに、後シリンダー早めの設定

B前後キャブに対策済のスロットルバルブを装着し、同時で設定(これは後シリンダー早めの設定であれば問題ない? 何の為の対策? )

C対策済なのに、前シリンダーに”溝”付きスロットルバルブが装着

→これでも理屈としてはOKかと思うが、"後シリンダー”に”溝”付きスロットルバルブを装着した方が調子良い(なぜ?前シリンダーはダメ・・・不明)

[まとめ]

これら誤った設定をした車体は、プライマリーギヤの不調や電気系統(イグナイター・CDI等)の不調と同じような症状を誘発しています。(経験談) スロットルバルブの対策の有無についてはキャブレターよりスロットルバルブを外すだけで目視で確認できるので、是非やってみてください。

ウォーターポンプ周りの検証

冷却水を抜くためのドレンボルト周辺から冷却水が漏れていた事から始まった、今回の検証ですが、調べると色々と違いが出てきたので、まとめてみました。

この部位については良く見ればKR250Sの追加サービスマニュアルにも記載してあることが分かったのですが、どうもサービスマニュアルの図解ではわかりずらく今回はいい機会でした。

<初期型(排気デバイス無)のウォーターポンプ周りの画像>

※初期型(排気デバイス無)はインペラのシャフトが装着されるカバーに『削り出し』されたカラーのような部位があり、その前後にベアリングとOILシール、メカニカルシールが取り付けられている。

<初期型(排気デバイス無)の部品供給情報>

(詳細)

[部品番号] [部品名] [個数] [入手状況]
@59256-1053 インペラ 1
A49063-1054 シール(メカニカル) 1
B92049-1189 シール(オイル),SC10245 1 ×
CE92045-1123 ベアリング(ボール),#628 2
F13107-1132 シャフト 1 ×
G482J6000 トメワ(Eガタ), 6MM 1
H92022-1475 ワッシャ,8x16x0.5 1

※ Bはカワサキでは廃番扱いだが、武蔵オイルシール工業の”UE10246”という部品番号で流用可能。

<S型(排気デバイス付)のウォーターポンプ周りの画像>

※S型(排気デバイス付)は初期型のカバーに見られる『削り出し』部分が簡略化されて、代わりにカラーのパーツが追加されています。 プロペラ(インペラ)周りを分解した画像です。

<S型(排気デバイス付)の部品供給情報>

(詳細)

[部品番号] [部品名] [個数] [入手状況]
@59256-1053 インペラ 1
A49063-1054 シール(メカニカル) 1
B92049-1189 シール(オイル),SC10245 1 ×
CE92045-1158

→92045-1225(番号変更)
ベアリング(ボール),6000 2

2
×

→〇
D92027-1934 カラー 20x45 ,9x5 1
F13107-1157 シャフト,ポンプ 1 ×

Bはカワサキでは廃番扱いだが、武蔵オイルシール工業の”UE10246”という部品番号で流用可能。 ※純正品は厚みが5mmだが、この”UE10246”は6mmと1mm厚みがあるものの装着したところ何ら支障がないので、流用可能と判断しました。(この部品は初期型も同じ型番なので流用可能)

[検証して確認できた事] 初期型とS型のウォーターポンプ周りはOILシール、メカニカルシールを除き、ほとんど互換性がないです。従い、ウォーターポンプの冷却水漏れに対処する場合、パーツマニュアルできちんと確認してパーツ購入することです。

以上で終わりです。

キャブレター同調の簡易方法

KR250のキャブ調整はサービスマニュアルを読んでも良くわからず、自分独自の方法で設定しております。この方法にしてから比較的容易にエンジンの調子が良くなっているので参考にしてみてはいかがでしょうか。

【準備】

前後キャブのスロットルバルブに溝の有無を確認します。 ※本コンテンツの[キャブレターについて]を参照

スロットルワイヤーの遊びも一番締め付けてから4mmほど戻して固定します。

【設定方法】

@スロットルストップスクリューを最初に一番締め付けて、そこから1回転半戻します(緩めます)。

(これが、サービスマニュアル「2−7」に記載の”1.2o”差に該当)

A次にアクセルワイヤーの引きの強さの調整は同調アジャスターのナットを締め付け位置から5mm 4mm程の位置に緩めます。最初は前後キャブを5mm 4mmに合わせます。

(これが、サービスマニュアル「2−8」に記載の前後キャブの調整に該当)

Bこれでまずはエンジンをかけてアイドリングの状態を見ます。アイドリング回転数が1500rpm以上で高ければ、@のスロットルストップスクリューを前後共に同じだけ緩めて回転数を落としていきます。

逆にアイドリングが1500rpm以下であれば、@のスロットルストップスクリューを前後共に同じだけ締めて回転数を上げていきます。

C この@ABを繰り返して微調整していくことでかなりエンジンの反応やアクセルの反応が変わります。

※スロットルバルブに”溝”がない場合、Aの設定は、後側ののキャブの引きを+2mmくらいにしておく。((例)前5mm 後7mmで設定等)