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三代目KR250のエンジンレストア

【事の起こり】

三代目KRは310ccにボアアップした後、セッティングを詰めていた際にエンジンが突然ロックして不能になってしまった。シリンダー部やピストンは何とか損傷を免れたが、エンジン腰下のリヤ側コンロッドのベアリングが変形してしまっていた。 そこで、予備として保有していた腰下エンジンをオーバーホールして換装することを計画する。

[保有していた腰下エンジンの状態確認(2015.4.17)]

[画像(左)]

R側シリンダーのコンロッド回りからOILがだだ漏れしています。そしてクランクもだいぶ焼け跡があることから、後ろシリンダーで焼き付いた可能性があります。また、クランクを回すと”ゴーッ””ゴーッ”という音がするのでベアリングも完全にいかれた状態と見受けられます。

[画像(右)]

F側シリンダーのコンロッド回りです。こちらは比較的キレイでクランクを回してもスムーズに回転します。

[腰下エンジンのオーバーホールの見立て]

@後ろクランクシャフトは別モノと交換 A前後クランクシャフトにあるベアリングの交換 BクランクOILシールの交換

[腰下エンジンのオーバーホール開始(2015.5.13)]

<左回りの取り外し>

こちらの面を先に取り外した方が後で右側のプライマリギヤ回りの取り外しをする際にシャフトの出っ張りを上にした状態で作業できるので。 カバーと本体との段差を見つけ、そこにマイナスドライバーを差し込み徐々に押し広げていきます。

カバーを外せばフライホイール、マグネトーが出てきますので特殊工具を用いて取り外します。 中央のネジを外します。マグネトーが回らないように特殊工具で抑えます。

ネジを外した後はマグネトー自体を取り外します。ここでも特殊工具が必要です。 次にフライホイールを外します。これもフライホイールが回らないように特殊工具で抑え、中央部のナットを緩めます。 ナットを外した後はフライホイール自体を取り外します。ここでも特殊工具が必要です。

これで右側の分解はほぼ終わり。※事前にスプロケット部のカバーは取り外し済

<右回りの取り外し>

右側の分解はちゃっちゃと作業して、クラッチ回り、プライマリギヤカバーを取り外しました。

この後は各ギヤを外してロータリーバルブ回りの取り外しにかかります。 徐々に取り外して行くにつれ、やはりというか、リヤ回りの状態は良くありません。 マグネトー、フライホイールの付いていた側からクランクケースを締めているプラスネジをすべて外してクランクを割ります。

クランクを割るコツは上画像の○の部分にあるすき間にマイナスネジを突っ込んで、そこから徐々に押し広げていきます。 で、クランクを割った画像です。

リヤのクランクシャフトは錆ています。この状態から推測するに、エンジンを降ろした後、リヤシリンダーを取り付けず野ざらしにでもしていたのでしょう。そこから錆が発生して現在に至っているという感じです。 う〜んnnn、このクランクは最初の見立て通り、再使用不可だな。予備で保有しているリヤ側クランクを使用するしかない様です。

[コンロッドの部品交換および消耗部品の交換(2015.5.18)]

Rシリンダーのクランクシャフトは散々たる状態です。クランクケースもひどいものです。

Fシリンダーのクランクシャフトはまだ何とかなりそうです。

トランスミッションを取り外したところ、まぁそこそこ使えるレベルかと思ってますがスプロケットが装着される部分が錆びていて、これがミッションカバーのOILシールを痛めたりしないか心配なところです。

[クランクケース内の再塗装・R側クランク交換および消耗部品の交換(2015.6.23)]

まずは左右クランクケースの剥げた個所の再塗装です。クランク内なのであまり研磨したくないのでさっと油を拭いて脱脂した後に艶有りの黒で塗装しました。 そしてヒートガンで焼付けましたのでクランク室内の耐高温処理も完了です。(※写真に掲載のクランクベアリングは新品に交換済)

クランクシャフトはストックしていた良品のものを使用します。

[クランクケースにクランクシャフト、ミッションを組み込み(2015.6.24)]

ようやくクランクケースにクランクシャフト、ミッションを組み込む作業に入ります。 クランクケースにクランク用OILシールやベアリング等の部品を油圧プレス機で圧入して、その後、クランクシャフトも圧入します。

この後にトランスミッションを組み付けてクランクケースに一通りの部品を組み付けました。 後は反対側のクランクケースをはめるだけですが、このはめ込みが少々コツがいるので次回にしようかと思います。

[クランクケースの組み付け(2015.6.26)]

さて、ようやく左右クランクケースの組み付け段階になりました。左右のクランクケースの合わせ面に液体ガスケットを塗っていきます。 コツはべた塗りせず、ほどほどの薄さに塗ることです。左右の合わせ面に塗るから、あまりべたべたと塗らなくとも密着性は高くなるので大丈夫です。 そして左右合わせた後はまず人の力で極力はめ込んでいき、最後にプラスチックハンマーで叩いてすき間なく密着させます。

問題はこれからです。

【POINT】 締め込んでいくネジには順番があります。画像のように@〜Nの順に締め込んでいきます。この手順が違うと必ずどこかにすき間ができます。

 

締め込んだ後はエンジン底部にライトを前気筒から後気筒の方向にスライドして当てながら前後気筒のクランクを回して、光が漏れていないか確認します。ここで光が漏れていたらやり直しです。 クランクケースを再び分解して最初からやり直します。この時にクランクベアリングがクランクシャフト側に付いて外れることが多く、本当に最初から(クランクケースにベアリングを再圧入する)作業しなければならないので、この作業は本当に”キモ”になります。

[右回りのカバー組み付け(2015.7.3)]

クランクケースの組み付けも終わり、今度はクラッチ・プライマリギヤ周辺の組み付けをしていきます。なぜ、クラッチ・プライマリギヤ周辺の組み付けを先に作業するかというと、やはり3本の出っ張ったシャフトが危ないので、先にカバーしておいた方が後々の作業がしやすいからです。

まずは、ロータリーバルブ周辺の作業です。あらかじめガスケットの取りこぼし個所はキレイに取っておいて、その後は自作ガスケットをつけてロータリーバルブを組み付けていきます。 (ロータリーバルブを固定するネジには必ずネジロックを付けてください。作業をする際にはこういった細かい手順が抜けてしまう事が多いので必ずサービスマニュアルに準拠した形で作業をすすめてください。)

さて、この年代のガスケット類は絶版品ですが最近ではYahooオークション等でガスケット一式で出品される等、旧車マニアにとっては非常にありがたいことです。しかしながらOHの度に毎度ガスケット一式を購入するのも結構費用がかかるので最近では汎用ガスケットを安価で購入し、ガスケットを自作しています。この方が必要な個所だけ自作すれば良い訳なので余計な費用がかかりません。(ただし自分で製作する手間はかかりますが)。 そしてロータリーバルブ、ロータリーを組み付けます。ロータリーが滑らかに動く事を確認して、次にプライマリギヤ、クラッチハウジングギヤ、そしてクラッチハウジングカバーを取り付けます。

クラッチギヤカバーも取付けて、ある程度エンジンの部位も形になったところで、シリンダー組み付け部の塗装剥げが酷かったところをエンジンと同系の半ツヤ黒で塗装しました。これでエンジン腰下のオーバーホールは完了です。

 

[車体へ組み付け(2015.7.11)]

組み上げた腰下エンジンを車体に乗せて実際にエンジン始動が可能かを確認します。 シリンダーはほとんど損傷がなかったので、そのまま使用します。(左・・・前シリンダー 右・・・後シリンダー) ※ピストン・ピストンピン・ピストンリング等は新品に交換済

エンジンを組み付ける場合、サービスマニュアル通りに前気筒だけ先に取り付けておいてエンジンを取り付けます。

 

これで車体への組み付けも無事終わりました。後シリンダーの組み付けやキャブ等の組み付けは省略しますが、その後は問題なくエンジンもかかり始動性も安定していますので、これで完了です。

五代目KR250のエンジンレストア

【事の起こり】

前々から感じていた事だが、ネットオークション等でせっかくの名車(迷車?)が金稼ぎのためにまだ乗車可能なのに車体をバラ売りしている状況を時折見ることがある。そんなバラ売りしている部品をかたや自分も有難く落札したりしているものの、やはり”個体”して存続させておきたいというのは、其々のオーナーの希望的なところと思います。 そこで今回は、そのように”バラ”売りされていた車体を1つの”個体”として存在価値を復活させたいと思うところで、思わずYahooオークションで書類付きフレームを入手してしまいました。 これから完成体になるまで、その作業履歴を更新していこうと思います。

[車体回りのレストア履歴]

<書付きフレーム入手・レストア>(2015.9.21)

Yahooオークションにて書類付きフレームを落札。

外観はガソリン漏れによる変色が少し付着しているが、キャブクリーナである程度は落とす事が可能であると想定。キャブクリーナを吹き付けて磨いて見ると思ったよりキレイになりました。

(現状)フレーム後部にガソリン漏れによる変色が残っている画像

(レストア後)キャブクリーナ吹き付け後に磨いた画像

<スイングアームおよびリヤサスのリンク回り入手・レストア>(2015.9.23)

Yahooオークションにてスイングアームおよびリヤサスのリンク回りを落札。

外観はそこそこキレイなスイングアームとリヤサスのリンク部分をレストア。スイングアームはピボット部分のベアリングやスリーブがかなり摩耗していたので新品に交換しました。

リヤサスのリンクについては、まだベアリングやスリープを新品で入手可能ですが、一部のスリーブに限り欠品です。色々とネットで調べたのですが流用品はないので、どうやらワンオフで制作してもらうしか方法がなさそうです。 今回は仕方なく欠番の部品は現状品をそのまま使います。その他は新品に交換しました。

(リンク部分の欠品部品についてはストック品があるので、それに付いているスリープと比較して良質な方を交換しました。)

(詳細)

[部品番号] [部品名] [個数] [入手状況]
@92046-1118 ベアリング(ニードル) TA2015Z 1
A92046-1110 ベアリング(ニードル) BM202726 1
B92046-1110 ベアリング(ニードル) BM202726 1
C92046-1110 ベアリング(ニードル) BM202726 1
D42036-1131 スリーブ,12.1x20x29 1 ×
E42036-1130 スリーブ,12.1x20x46 1 ×
F42036-1129 スリーブ,12.1x20x44 2
G92049-1109 シール(オイル),CNT 8

※ DEについては現在調査中ですが、今のところ流用品はないので、中古の良品を再使用するかワンオフで制作してもらうしか方法がなさそうです

その他、現在でも新品で入手可能な部品供給状況は、こちら

その後、スイングアーム、サスのリンク部、そして左右サイドプレート等をフレームに取り付けて、徐々にフレーム回りが組みあがってきました。

(左右サイドプレートや冷却水リザーバタンク、リヤサスペンションはストック品を使用。たぶんエア抜けはしていないと思う・・・)

<Rブレーキシリンダーのレストア>(2015.10.17)

左右ステッププレートを取り付ける前にRブレーキのフットブレーキ部分やRブレーキシリンダーを装着する必要があります。左右ステッププレートもRブレーキシリンダーも元々ストックしていたので、それを使用します。ただ、Rブレーキシリンダーは入手時のままなので、おそらく固着していると思いますから分解してレストアします。

KR250のRブレーキシリンダーはステッププレートの裏側に取り付けられており、しかも、このステッププレートはスイングアーム等を取り付けるボルトを貫通させて取り付けるので、スイングアーム等を取り付けてしまうと再度ステッププレートを取り外す際にスイングアームのボルトを抜く等、結構面倒な作業になりますので、ここで作業いたします。

Rブレーキシリンダーを分解すると予想通り、錆ていて分解が大変でした。

このRシリンダー回りも何と、まだ新品で入手可能です。

(詳細)

[部品番号] [部品名] [個数] [入手状況]
@43010-1054 ロッド アッシ ブレーキ 1
A92043-1013 ピン 8x16 1
B43020-1057 ピストンコンプ(ブレーキ) 1

ちなみに @ \3179(税込)+A\441(税込)+B\2984(税込) 計\6604 (2015.10月時)なので\6000前後でYahooオークションで落札するくらいなら新品を買った方がお得ということでしょうか。

その他、現在でも新品で入手可能な部品供給状況は、こちら

<フロントステム回りのレストア>(2015.11.17)

まずはフロントステムのベアリング交換です。この部品もストックしていたものでベアリングはかなり摩耗している為、特殊工具を使用して取り外し、新品に交換します。

フロントステム回りもまだ新品で入手可能です。

(詳細)

[部品番号] [部品名] [個数] [入手状況]
@92049-1161 シール(オイル),XMH33x47x2.5j 1
A92116-1052 ベアリング(ローラ),25x47x15 1

その他、現在でも新品で入手可能な部品供給状況は、こちら

フレームにフロントステムとトップブリッジを取り付けてフロント回りはこんなところです。(バーハンドル仕様にしたいのでバーハンドルブリッジを取り付けました)

あとはフロントフォーク、フロントホイール回り、リヤホイール回りはストック品を使用しました。これで車体回りは一応完成です。

他にはFキャリパ回りやRキャリパ回り、エンジン回り 等あるのですが画像が整理されておらず、掲載にはまだ時間がかかるため、これで一度終了という形をとります。