甦れRZV 後編

蘇ったRZV、しかし不完全なその仕上がりでは遠く愛知までは帰れない。台風の前線が迫る!!、STCの総力を結集したプロジェクトが始動する。 

 夜が明けた、善後策を検討する男達。「直す!!」立ち直ったたにが言った。しかし、絶版後10数年を経たマシンのパーツなど松本市中を探し回ってもあるはずはない、自作するしかない。メンバー全員の顔に決意がみなぎった、平成13年9月9日午前10時総力戦の始まりだった。

 部材の調達のためチームは「ホームセンターわたはん」を目指した、店内をくまなく探索した。そしてそこには自転車のブレーキ用ワイヤーがあった。

 屋上駐車場で作業が始まった、しかし、その日大型の台風15号が近づきつつあった。時間がない・・・男達は空を見上げることもなく作業を続けた(激嘘)。

 連結部分のタイコ作成、ニップルを使うか?それではすぐに抜けてしまう。何か使えるものは?、試行錯誤が続くがすべて強度に不安が残る、いくら見栄えが良くても岡崎まで持たないものでは意味がない、結局ワイヤーを結んで使うことになった。

 スロットル側を装着・・・、昨日の反省もあってワイヤーを長めにとったのが裏目に出た、スロットルを操作してもキャブは動かない。連結部分は既にはずれないようにきつく固定され外すことは出来ない、タイラップをアウター代わりに多数巻き付ける案が出され実行された。しかし、タイラップでは強度が足りずこの案は頓挫した。こうなってはスロットル側の健全なタイコを取って長さを調整するしかない、雨が迫る!!。適正な長さにワイヤーを切る、そして真鍮パイプを使ってタイコが作られた。

   

 形状の細かい調整を行った後ひとつひとつ着実に組み込んでいく、そして装着されたスロットルをひねる。苦心のパーツは確実に機能している、安堵の表情が拡がって行くその時空から一滴雨が落ちてきた。急いで燃料タンク、その他のパーツを組み上げる、時間との闘いだった。

 すべてが組みあがったとき大粒の雨が降り出した、雨のなかメインスイッチを入れキックペダルを踏み降ろす谷端、4本のサイレンサーから白煙が上がり力強くも美しい高周波サウンドが雨空を切り裂いた。慎重にレーシングするたに、チームが息を詰めて見守る。今回は大丈夫だった、沸き上がる歓声、みんなが腹の底から笑い合った。

                      

 平成13年9月9日正午過ぎ、珠玉の2サイクルマシンRZVは息を吹き返した。男達の長く苦しい闘いは終わった。




(2008注:嘘みたいだけど実話、ホントに作業終了と同時にドバっと降り出したのだった)
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