健康診断は国民の健康維持のために大きく貢献している制度であり、その実施に関しては、各種法規によって義務づけられています。雇用者のいる事業所では,労働安全衛生法により、従業員の定期的な健康診断が義務づけられています。なお、事業所における健康診断では、一般健康診断の他に、労働者が特定の有害業務に従事している場合、特殊健康診断も義務づけられます。特定の有害業務とは、粉じん作業や、鉛等を取り扱う業務、有機溶剤を取り扱う業務、石綿を取り扱う業務などのことで、内容については法令・通達によって細かく示されています。同様に、公務員に対しては人事院規則により、学校の教職員や生徒に対しては学校保健法により、健康診断が義務づけられています。
健康診断とは、病の早期発見を目的として行なわれる総合的な検査のことで、多くの場合、学校、事業所、地域など、一定の集団を対象として実施されます。健康診断における検査内容には、問診、血圧測定、検尿、血液検査、レントゲン撮影などがあります。このような総合的な健康診断以外に、胃ガン、肺ガン、子宮ガン、乳ガンなどについては、市町村と保健所によってガン検診が行なわれており、それぞれに応じた検査が行われます。たとえば、胃ガン検診においては胃部レントゲン撮影、乳ガン検診では、胸部の視触診やマンモグラフィ撮影、子宮ガン検診では子宮頚部細胞診などが行われており、異常が発見された場合は、さらに精密検査が必要になります。日本におけるガンでの死亡率の低下は、健康診断やガン検診の普及によるものが大きいといわれています。
健康に対する国民の意識の高まりによって、現在様々なところで禁煙に向けての取り組みが進められています。鉄道においては、JR・私鉄とも、普通列車はほぼ全車両が禁煙となっており、新幹線や特急などでも、禁煙車の割合が増加してきています。タクシーにおいては、「禁煙タクシー」が登場しています。ただし、禁煙タクシーの場合、客が喫煙の意思表示をした際、なかなか断わりにくく、客が喫煙を行なってしまった後は、タバコ臭や健康によくない物質が残ることから、実際完全な「禁煙タクシー」にはなっていない――との声も上がっています。航空機においては、現在は全日空と日本航空が国内便・国際便ともに全席禁煙としています。学校や官公庁、病院などの公共施設では、禁煙・分煙に向けての取り組みが進められています。また、主要な道路を歩行喫煙禁止にする条例も、千代田区をはじめ多くの自治体で施行されています。タバコ自体にも「未成年者の喫煙は、健康に対する悪影響やたばこへの依存をより強めます」「たばこの煙は、あなたの周りの人、特に乳幼児、子供、お年寄りなどの健康に悪影響を及ぼします」などの健康警告表示が法令によって義務づけられています。
健康管理を考える際、まず第一に実践すべきことは“禁煙”です。喫煙による健康被害というと、ほとんどの人は“肺ガン”を思い浮かべるかもしれません。実際、喫煙者は非喫煙者に比べ、2〜4倍も肺ガンになる危険性が高いといわれます。しかし、喫煙がもたらす健康被害は、肺ガンにとどまらず、喫煙は喉頭ガン、食道ガン、膀胱ガンにかかる可能性も増大させるといいます。さらに、喫煙はガンだけではなく、心筋梗塞のリスクも高めることがわかっています。また、タバコは健康維持に欠かすことのできないビタミンCを大量に破壊します。タバコ1本で、25ミリグラムものビタミンCが破壊されてしまい、これは一日の所要量の4分の1に相当します。こういったことから、現在世界的に、禁煙運動が盛り上がりを見せています。ところで、禁煙によって守られるのは、タバコを吸う本人の健康だけではありません。タバコの先からは、“副流煙”と呼ばれる煙が立ち上っていますが、この副流煙の受動喫煙による健康被害は非常に大きいといわれています。そして、最も副流煙の被害に遭いやすいのが、同居している家族。副流煙は、タバコを吸う人が吸い込む煙(主流煙といいます)とは成分が異なり、主流煙よりもずっと多くの発ガン物質(数倍から数十倍)を含んでいます。しかも、副流煙を吸い込むのが小さな子供であれば、健康に与える害はより深刻なものとなるでしょう。さらに、タバコの煙は、子供の脳の正常な発育を阻害するとも言われています。よって、禁煙を行なうことにより、タバコを吸う本人の健康が守られるのはもちろんですが、同時に家族の健康も守られるということになります。