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日本特許公報(特許庁ホームページ)

(書誌+要約+請求の範囲)

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】特許第3248690号(P3248690)

(24)【登録日】平成13年11月9日(2001.11.9)

(45)【発行日】平成14年1月21日(2002.1.21)

(54)【発明の名称】自動変速装置及び車両用自動変速装置

(51)【国際特許分類第7版】

F16H  3/74

     61/08

// F16H 59:42

【FI】

F16H  3/74        Z

     61/08

     59:42

【請求項の数】28

【全頁数】37

(21)【出願番号】特願平11−282722

(22)【出願日】平成11年10月4日(1999.10.4)

(65)【公開番号】特開2001−108029(P2001−108029A)

(43)【公開日】平成13年4月20日(2001.4.20)

【審査請求日】平成12年11月10日(2000.11.10)

【早期審査対象出願】早期審査対象出願

(73)【特許権者】

【識別番号】599139958

【氏名又は名称】森井 克

【住所又は居所】愛知県西春日井郡西春町弥勒寺東2丁目255番地

(72)【発明者】

【氏名】森井 克

【住所又は居所】愛知県西春日井郡西春町弥勒寺東2丁目255番地

(74)【代理人】

【識別番号】100071135

【弁理士】

【氏名又は名称】佐藤 強

【審査官】 田々井 正吾

(56)【参考文献】

【文献】特開 平9−37411(JP,A)

【文献】特開 昭62−188841(JP,A)

【文献】特開 平3−277854(JP,A)

【文献】特開 平10−325453(JP,A)

【文献】特開 平5−26312(JP,A)

【文献】実開 平1−176247(JP,U)

(58)【調査した分野】(Int.Cl.7,DB名)

F16H 3/44 - 3/78

F16H 61/08

 

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】 入力用の第1の回転体と、この第1の回転体と同軸上に設けられた出力用の第2の回転体と、前記第1の回転体と同軸上に設けられた第3の回転体と、前記第1の回転体の回転を前記第2の回転体に伝達するように前記第3の回転体に設けられ、前記第3の回転体の停止状態で前記第1の回転体の回転を1を上回る所定の減速比で前記第2の回転体に当該第2の回転体が前記第1の回転体と同一回転方向に回転するように伝達する回転伝達手段とを備え、前記第1の回転体と当該第1の回転体と同一回転方向に回転する前記第3の回転体との回転数差が大きい程減速比が大きくなる構成において、前記第3の回転体は、外的な拘束力を受けず回動自在に設けられ、前記第3の回転体が、停止状態から前記第1の回転体と一体となって回転する状態に切り換わるまでの範囲内で生じる回転数で回動自在に回転している状態では、前記第2の回転体の回転数は、前記第2の回転体の回転力と当該第2の回転体に作用する負荷とが均衡するような回転数に自動調整されることを特徴とする自動変速装置。

【請求項2】 入力用の第1の回転体と、この第1の回転体と同軸上に設けられた出力用の第2の回転体と、前記第1の回転体と同軸上に設けられた第3の回転体と、前記第1の回転体の回転を前記第2の回転体に伝達するように前記第3の回転体に設けられ、前記第1の回転体の回転を以下の計算式で示す回転数及び減速比で前記第2の回転体に当該第2の回転体が前記第1の回転体と同一回転方向に回転するように伝達する回転伝達手段とを備え、前記第3の回転体は、外的な拘束力を受けず回動自在に設けられ、前記第3の回転体が、停止状態から前記第1の回転体と一体となって回転する状態に切り換わるまでの範囲内で生じる回転数で回動自在に回転している状態では、前記第2の回転体の回転数は、前記第2の回転体の回転力と当該第2の回転体に作用する負荷とが均衡するような回転数に自動調整されることを特徴とする自動変速装置。

N2=N3+(N1−N3)/R0R=N1・R0/((R0−1)・N3+N1)

但し、N1は第1の回転体の回転数、N2は第2の回転体の回転数、N3は第3の回転体の回転数、Rは自動変速装置の減速比、R0は第3の回転体の停止状態における自動変速装置の減速比(>1)である。

【請求項3】 前記第3の回転体が前記第1の回転体と反対回転方向に回転することを規制する逆回転規制手段を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の自動変速装置。

【請求項4】 第4の回転体と、前記第3の回転体が前記第1の回転体と反対回転方向に回転した状態で前記第3の回転体の回転を前記第4の回転体に伝達する逆回転伝達手段と、前記第4の回転体に停止力を作用させる停止手段とを備えたことを特徴とする請求項1または2記載の自動変速装置。

【請求項5】 前記停止手段は、前記第4の回転体の回転数が上昇するに従って前記第4の回転体に対する停止力を増大することを特徴とする請求項4記載の自動変速装置。

【請求項6】 前記停止手段は、前記第1の回転体の回転数が上昇するに従って前記第4の回転体に対する停止力を増大することを特徴とする請求項4記載の自動変速装置。

【請求項7】 前記停止手段は、外部操作に応じて前記第4の回転体に停止力を作用させることを特徴とする請求項4記載の自動変速装置。

【請求項8】 前記第3の回転体を停止状態に保持する停止保持手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の自動変速装置。

【請求項9】 前記停止保持手段は、前記第1の回転体と同一回転方向に回転する第2の回転体の回転数が上昇するに従って前記第3の回転体に対する停止保持力を低下することを特徴とする請求項8記載の自動変速装置。

【請求項10】 前記停止保持手段は、前記第1の回転体と同一回転方向に回転する前記第2の回転体の回転数が所定回転数以上となった状態で前記第3の回転体に対する停止保持力を解除することを特徴とする請求項8記載の自動変速装置。

【請求項11】 前記第3の回転体に前記第1の回転体と同一回転方向に回転しようとする回転力が作用していることを検出する検出手段を備え、前記停止保持手段は、前記検出手段が前記第3の回転体に前記第1の回転体と同一回転方向に回転しようとする回転力が作用していることを検出した状態で前記第3の回転体に対する停止保持力を解除することを特徴とする請求項8記載の自動変速装置。

【請求項12】 前記第3の回転体を停止させる力と前記第3の回転体を前記第1の回転体に一体化させる力とを組合わせることにより前記第3の回転体の回転数を制御する回転数制御手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の自動変速装置。

【請求項13】 前記回転数制御手段は、前記逆回転規制手段の動作を実行することを特徴とする請求項12記載の自動変速装置。

【請求項14】 前記回転数制御手段は、前記停止保持手段の動作を実行することを特徴とする請求項12または13記載の自動変速装置。

【請求項15】 前記第1の回転体と当該第1の回転体と同一回転方向に回転する前記第3の回転体との回転数差に基づいて負荷の大きさを判断する負荷判断手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至14の何れかに記載の自動変速装置。

【請求項16】 請求項3記載の自動変速装置を有効となる入力回転方向が互いに反対方向となるように1対設け、入力回転方向に対して有効に作動する自動変速装置の第1の回転体のみに入力回転を伝達する入力回転伝達手段と、入力回転に対して有効に作動する自動変速装置の第2の回転体の回転のみを出力回転として伝達する出力回転伝達手段とを備えたことを特徴とする自動変速装置。

【請求項17】 前記第1の回転体はダブルピニオン式遊星歯車のサンギヤであり、前記第2の回転体はダブルピニオン式遊星歯車のリングギヤであり、前記第3の回転体はダブルピニオン式遊星歯車のプラネタリキャリアであり、前記回転伝達手段はダブルピニオン式遊星歯車のピニオンギヤであることを特徴とする請求項1乃至16の何れかに記載の自動変速装置。

【請求項18】 前記逆回転規制手段は、ワンウェイクラッチであることを特徴とする請求項3記載の自動変速装置。

【請求項19】 前記逆回転伝達手段は、ワンウェイクラッチであることを特徴とする請求項4記載の自動変速装置。

【請求項20】 請求項1乃至19の何れかに記載の自動変速装置を複数直列に連結したことを特徴とする自動変速装置。

【請求項21】 減速比が1未満の増速装置と連結されたことを特徴とする請求項1乃至20の何れかに記載の自動変速装置。

【請求項22】 請求項1乃至21の何れかに記載の自動変速装置を複数備え、これらの自動変速装置の前記第2の回転体の回転を合成して出力するように構成したことを特徴とする自動変速装置。

【請求項23】 請求項1乃至22の何れかに記載の自動変速装置を備え、回転源により前記第1の回転体を回転し、前記第2の回転体により駆動輪を回転させることを特徴とする車両用自動変速装置。

【請求項24】 前記回転数制御手段は、ブレーキ操作が行われたときは前記第3の回転体の回転数を低下させることを特徴とする請求項23記載の車両用自動変速装置。

【請求項25】 前記回転数制御手段は、前記第3の回転体の回転数を低下させた場合は前記回転源の回転数が許容回転数以下となるように前記第3の回転体の回転数を制御することを特徴とする請求項24記載の車両用自動変速装置。

【請求項26】 前記第2の回転体を前記第1の回転体と同一回転方向に回転させる補助回転源を備え、前記負荷判断手段が判断した負荷の大きさに基づいて前記補助回転源を動作させることを特徴とする請求項23乃至25の何れかに記載の車両用自動変速装置。

【請求項27】 前記負荷判断手段が判断した負荷が増大するに従って前記補助回転源による前記第2の回転体に対する回転力を増大することを特徴とする請求項26記載の車両用自動変速装置。

【請求項28】 請求項16記載の自動変速装置を駆動輪毎に対応して設けたことを特徴とする車両用自動変速装置。

 

詳細な説明

【発明の詳細な説明】

【0001】

【課題の属する技術分野】本発明は、基本的にはダブルピニオン式遊星歯車を利用して無段変速機能を実現した自動変速装置及び車両用自動変速装置に関する。

【0002】

【発明が解決しようとする課題】従来より、例えば車両用自動変速装置としては、トルクコンバータと遊星歯車とを組合わせたものが供されている。トルクコンバータはエンジンの回転力を増大するものであるが、その回転力の増大範囲は小さく、自動車の自動変速装置として単独に用いるには不十分であることから、複数の遊星歯車と組合わせ、遊星歯車の減速比を車両の走行状態に応じて自動的に選択することにより実用に供している。

【0003】しかしながら、このような自動変速装置は、車両の走行条件に応じて減速比を段階的に切替えるので、車両の加速中においては変速時のショックが大きいと共に、変速時にエンジンの回転数が一時的に低下してしまうので、車両を円滑に加速することができないという欠点がある。

【0004】また、車両を加速するためにアクセル操作に応じてシフトダウンしたときは急激に減速比が大きくなるので、車体が揺さぶられて不快感を感じる。また、減速するためにアクセルを戻してもシフトダウンしないどころか、逆にシフトアップしてしまうこともあるので、エンジンブレーキによる制動力を効果的に作用させることができない。

【0005】さらに、トルクコンバータの伝達損失が大きいのに加えて、遊星歯車を複数用いていることから、総じて伝達損失が大きい。また、全体の構造が複雑であると共に大形で重量が大きく、車両重量の増大或いは駆動系の大形化の要因となっている。また、複数の遊星歯車に対する制御を油圧により行っているので、油圧を発生するための損失が大きい。また、油圧制御が複雑であり、コスト高の要因となっていると共に故障の原因となっている。

【0006】加えて、従来の自動変速装置では、現在の車両の走行抵抗よりも駆動輪の駆動力が小さい場合には、現在の車速を維持できなかったり、エンジンにノッキングが生じて不快感を感じたり、さらには車両を加速させることができないことから、車速に応じて車両の走行抵抗に対して駆動輪の駆動力が十分に大きな状態で走行するような減速比を選択するように制御している。このため、エンジンから駆動輪に伝達される回転の伝達効率が低い状態で走行していることになる。つまり、車両が一定速度で走行している状態では駆動輪の駆動力と現在の車両の走行抵抗とが均衡する最適な減速比よりも大きな減速比で走行していることになり、燃料を無駄に消費しながら走行していることになる。

【0007】一方、近年においては、プーリーとベルトとを利用したベルト式CVT(Continuously Variable Transmission)が実用に供されている。このベルト式CVTは、2つのプーリーをベルトで連結し、両者のプーリーの径を変更することにより減速比を連続的に可変する構造となっている。従って、無段階に変速することができるので、変速時のショックが全くなく、車両を滑らかに加速することができる。

【0008】しかしながら、現在実用に供されているベルト式CVTは、ベルトの耐久性が低く、高馬力のエンジンに使用することは困難である。また、油圧制御でプーリーの径を変化させることにより減速比を調整する構成であることから、アクセル操作に応じてエンジンの回転数が上昇するにしても、エンジンの回転数の上昇度合と車両の加速度合いとが一致せず、違和感があると共に、油圧を発生するためのエンジンの回転損失が大きい。また、プーリーとベルトとの間のスリップ、或いは本来は円環形状のベルトを楕円形状に弾性変形させた状態でプーリーに装着したことによる損失が大きい。さらに、負荷或いはエンジン出力の急激な変化に対して、変速が行われるまでの遅延時間があり、スポーツ走行に適さないという欠点がある。さらに、無段変速が可能なCVTであっても、定速度の走行状態では車両の走行抵抗よりも駆動輪の駆動力が十分に大きくなるような減速比となるように制御しているのは上述した自動変装装置と同様であることから、燃料を無駄に消費していることになる。

【0009】一方、モータを回転源とする電車或いは電気自動車等の車両では変速装置が設けられていないことから、例えばインバータ装置でモータの電圧及び電流を制御することにより、モータのトルク及び回転数を車両の速度に応じて調整するようにしている。

【0010】ところが、この種の制御装置のコストは極めて高い。また、車両を円滑に走行させるために、車両の走行抵抗よりも駆動輪の駆動力が大きくなるように制御しており、電力を無駄に消費していることになる。さらに、車両の速度に応じてモータのトルク及び回転数を制御していることから、駆動輪に作用する負荷の大きさによっては駆動輪の駆動力が不適切となったり、モータが過負荷となる虞がある。

【0011】また、自転車では、手動操作により減速比を変更する変装装置を備えたものが供されているものの、手動で操作することは非常に煩わしいと共に、停止状態では変速装置を切換えることが一般的にはできないので、結局、変速装置を有効に利用していないのが実情である。

【0012】また、風力発電装置では変速装置が設けられていないことから、風力による回転力が発電機の静止力よりも小さい場合は発電機が回転せず、発電することが全くできない。また、風力による回転力が発電機の回転を維持するのに要する回転力を上回っている場合は風力による回転を効率よく発電機に伝達することができず、発電効率が悪いという欠点がある。

【0013】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、小形で且つ簡単な構造で、変速のショックを伴わず、しかも何の制御を行うことなく入力回転を最大効率で出力回転に変換することができる自動変速装置及び車両用自動変速装置を提供することにある。

【0014】

【課題を解決するための手段】本発明は、入力用の第1の回転体を設け、この第1の回転体と同軸上に出力用の第2の回転体を設け、前記第1の回転体と同軸上に第3の回転体を設け、前記第1の回転体の回転を前記第2の回転体に伝達するように前記第3の回転体に設けられ、前記第3の回転体の停止状態で前記第1の回転体の回転を1を上回る所定の減速比で前記第2の回転体に当該第2の回転体が前記第1の回転体と同一回転方向に回転するように伝達する回転伝達手段を設け、前記第1の回転体と当該第1の回転体と同一回転方向に回転する前記第3の回転体との回転数差が大きい程減速比が大きくなる構成において、前記第3の回転体は、外的な拘束力を受けず回動自在に設けられ、前記第3の回転体が、停止状態から前記第1の回転体と一体となって回転する状態に切り換わるまでの範囲内で生じる回転数で回動自在に回転している状態では、前記第2の回転体の回転数は、前記第2の回転体の回転力と当該第2の回転体に作用する負荷とが均衡するような回転数に自動調整されるようにしたものである(請求項1)。

【0015】このような構成によれば、第1の回転体の回転状態で第3の回転体に作用する力は、第3の回転体に設けられた回転伝達手段が第1の回転体と一体となって回転しようとすることにより第1の回転体と同一回転方向に作用する回転力と、回転伝達手段が第2の回転体から受ける反発力により第1の回転体と反対回転方向に作用する回転力との合力となる。従って、第3の回転体に作用している第1の回転体と同一回転方向への回転力が反対回転方向への回転力を上回った状態では、第3の回転体は第1の回転体と同一回転方向に回転している。

【0016】ここで、第1の回転体の回転状態で第3の回転体が第1の回転体と同一回転方向に回転している状態では、第2の回転体は、回転伝達手段が動作することにより第1の回転体と同一回転方向に回転するのに加えて、第3の回転体の回転に伴って回転伝達手段により押されることにより第1の回転体と同一回転方向に回転するようになる。つまり、第1の回転体から第2の回転体に伝達される回転の伝達経路としては、回転伝達手段が動作することによる1を上回る所定の減速比での伝達経路と、第3の回転体が回転することによる減速比1での伝達経路との2経路があり、それらの各経路による第2の回転体のそれぞれの回転数の和が第2の回転体の真の回転数となる。この場合、第3の回転体が停止している状態では、第1の回転体の回転の全ては回転伝達手段の動作により第2の回転体を第1の回転体と同一回転方向に回転させるのに費やされる。また、第3の回転体が第1の回転体と同一回転数で回転している状態では、第1の回転体の回転の全ては回転伝達手段が第2の回転体を第1の回転体と同一回転方向に押すことに費やされる。そして、第3の回転体が第1の回転体の回転数よりも小さな回転数で回転している状態では、第1の回転体の回転の一部は回転伝達手段が動作することにより第2の回転体を第1の回転体と同一回転方向に回転するのに費やされると共に、第1の回転体の残りの回転は回転伝達手段が第2の回転体を第1の回転体と同一回転方向に押すのに費やされる。

【0017】即ち、第2の回転体の回転数は、第3の回転体の回転数と、第1の回転体の回転数から第3の回転体の回転数を減算した値を第3の回転体の停止状態における自動変速装置の減速比で除した回転数とを加算した値となる。また、このときの自動変速装置の減速比は、第1の回転体の回転数を第2の回転体の回転数で除した値となる。

【0018】要するに、第1の回転体と第3の回転体との回転数差が大きくなる程、第1の回転体から第2の回転体に対する回転は1を上回る所定の減速比による回転が優勢となるので、減速比は大きくなり、第2の回転体の回転数は小さくなるものの回転力は大きくなる。また、第1の回転体と第3の回転体との回転数差が小さくなる程、第1の回転体から第2の回転体に対する回転は減速比1による回転が優勢となるので、減速比は小さくなり、第2の回転体の回転数は大きくなるものの回転力は小さくなる。このような第2の回転体の回転特性は、第1の回転体の回転数及び回転力が一定という条件では、第2の回転体に作用する負荷の大きさに応じて第2の回転体の回転数が自動調整可能なことを意味しており、第2の回転体は回転力が負荷の大きさと均衡するような回転数に自動調整される。

【0019】ところで、第2の回転体の回転力と負荷との均衡状態で負荷が大きくなった場合は、第3の回転体に設けられている回転伝達手段が第2の回転体から受ける反発力が増大した状態となり、第3の回転体に作用している第1の回転体と反対回転方向への回転力が増大するようになるので(第1の回転体と同一回転方向への回転力は変化なし)、第3の回転体の回転数が低下し、第1の回転体と第3の回転体との回転数差が大きくなる。この場合、自動変速装置の減速比は、第1の回転体と第3の回転体との回転数差が大きくなる程大きくなるので、第3の回転体の回転数が低下した分だけ自動変速装置の減速比が上昇して第2の回転体の回転数が低下する。この結果、第2の回転体に作用する負荷の増加に応じて第2の回転体の回転数は低下するものの、それに伴って第2の回転体の回転力が増大するので、第2の回転体の回転数は回転力が負荷の大きさと均衡するまで低下したところで安定する。

【0020】また、第2の回転体の回転力と負荷との均衡状態で負荷が小さくなった場合は、第3の回転体に設けられている回転伝達手段が第2の回転体から受ける反発力が低下した状態となり、第3の回転体に作用している第1の回転体と反対回転方向への回転力が低下するようになるので(第1の回転体と同一回転方向への回転力は変化なし)、第3の回転体の回転数が上昇し、第1の回転体と第3の回転体との回転数差が小さくなる。この場合、自動変速装置の減速比は、第1の回転体と第3の回転体との回転数差が小さくなる程小さくなるので、第3の回転体の回転数が上昇した分だけ自動変速装置の減速比が低下して第2の回転体の回転数が上昇する。この結果、第2の回転体に作用する負荷の減少に応じて第2の回転体の回転数は上昇するものの、それに伴って第2の回転体の回転力が低下するので、第2の回転体の回転数は回転力が負荷の大きさと均衡するまで上昇したところで安定する。

【0021】以上のような動作の結果、第2の回転体の回転力と負荷との均衡状態で負荷が大きくなると、第2の回転体は回転数が低下すると同時に回転力が増大し、負荷が小さくなると、第2の回転体は回転数が上昇すると同時に回転力が低下するので、負荷が変動するにしても、第2の回転体は回転力が負荷の大きさと均衡するような回転数に自動調整されることになる。

【0022】一方、第2の回転体の回転力と負荷との均衡状態で第1の回転体の回転数が低下した場合は、第3の回転体に設けられている回転伝達手段が第1の回転体と一体となって回転しようとする回転力が低下した状態となり、第3の回転体に作用している第1の回転体と同一回転方向への回転力が低下するようになるので(第1の回転体と反対回転方向への回転力は変化なし)、第3の回転体の回転数が低下し、第1の回転体と第3の回転体との回転数差が大きくなる。この場合、自動変速装置の減速比は、第1の回転体と第3の回転体との回転数差が大きくなる程大きくなるので、第3の回転体の回転数が低下した分だけ自動変速装置の減速比が上昇して第2の回転体の回転数が低下する。この結果、第1の回転体の回転数の低下に応じて第2の回転体の回転数は低下するものの、それに伴って第2の回転体の回転力が増大するので、第2の回転体の回転数は回転力が負荷の大きさと均衡するまで低下したところで安定する。

【0023】また、第2の回転体の回転力と負荷との均衡状態で第1の回転体の回転数が上昇した場合は、第3の回転体に設けられている回転伝達手段が第1の回転体と一体となって回転しようとする回転力が増大した状態となり、第3の回転体に作用している第1の回転体と同一回転方向への回転力が増大するようになるので(第1の回転体と反対回転方向への回転力は変化なし)、第3の回転体の回転数が上昇し、第1の回転体と第3の回転体との回転数差が小さくなる。この場合、自動変速装置の減速比は、第1の回転体と第3の回転体との回転数差が小さくなる程小さくなるので、第3の回転体の回転数が上昇した分だけ自動変速装置の減速比が低下して第2の回転体の回転数が上昇する。この結果、第1の回転体の回転数の上昇に応じて第2の回転体の回転数は上昇するものの、それに伴って第2の回転体の回転力が低下するので、第2の回転体の回転数は回転力が負荷の大きさと均衡するまで上昇したところで安定する。

【0024】以上のような動作の結果、第2の回転体の回転力と負荷との均衡状態で第1の回転体の回転数が低下すると、第2の回転体は回転数が低下すると同時に回転力が上昇し、第1の回転体の回転数が上昇すると、第2の回転体は回転数が上昇すると同時に回転力が低下するので、第1の回転体の回転数が変動するにしても、第2の回転体は回転力が負荷の大きさと均衡するような回転数に自動調整されることになる。

【0025】要するに、第1の回転体は従来の車両用自動変速装置に用いられるトルクコンバータのポンプインペラに相当し、第2の回転体はタービンランナに相当し、第3の回転体はステータに相当する。

【0026】本発明は、入力用の第1の回転体を設け、この第1の回転体と同軸上に出力用の第2の回転体を設け、前記第1の回転体と同軸上に第3の回転体を設け、前記第1の回転体の回転を前記第2の回転体に伝達するように第3の回転体に設けられ、前記第1の回転体の回転を以下の計算式で示す回転数及び減速比で前記第2の回転体に当該第2の回転体が前記第1の回転体と同一回転方向に回転するように伝達する回転伝達手段を設けた上で、前記第3の回転体は、外的な拘束力を受けず回動自在に設けられ、前記第3の回転体が、停止状態から前記第1の回転体と一体となって回転する状態に切り換わるまでの範囲内で生じる回転数で回動自在に回転している状態では、前記第2の回転体の回転数は、前記第2の回転体の回転力と当該第2の回転体に作用する負荷とが均衡するような回転数に自動調整されるものである。

【0027】

N2=N3+(N1−N3)/R0R=N1・R0/((R0−1)・N3+N1)

但し、N1は第1の回転体の回転数、N2は第2の回転体の回転数、N3は第3の回転体の回転数、Rは自動変速装置の減速比、R0は第3の回転体の停止状態における自動変速装置の減速比(>1)である(請求項2)。

【0028】このような構成によれば、第1の回転体の回転数N1が一定であるとすると、第3の回転体の回転数N3に対応した第2の回転体の回転数N2は図3に示す関係で表すことができる(同図においては、サンギヤが第1の回転体に相当し、リングギヤが第2の回転体に相当し、プラネタリキャリアが第3の回転体に相当する)。また、第3の回転体の回転数N3に対応した自動変速装置の減速比Rは図4に示す関係で表すことができる。つまり、第1の回転体の回転数が一定という条件では、第3の回転体の回転数が小さいときは、第2の回転体の回転数は小さいものの、減速比が大きいことから、第2の回転体の回転力は大きい。また、第3の回転体の回転数が大きいときは、第2の回転体の回転数は大きいものの、減速比が小さいことから、第2の回転体の回転力は小さい。このような特性は、第2の回転体は回転力が負荷の大きさと均衡するような回転数に自動調整されることを意味している。

【0029】上記各構成において、前記第3の回転体が前記第1の回転体と反対回転方向に回転することを規制する逆回転規制手段を設けるようにしてもよい(請求項3)。

【0030】上記各構成では、負荷が大きい場合は、第3の回転体に設けられている回転伝達手段が第2の回転体から受ける反発力が大きいので、第3の回転体が第1の回転体と反対回転方向に回転してしまって、第1の回転体の回転を第2の回転体に伝達することができない。

【0031】このような場合、逆回転規制手段は、第3の回転体が第1の回転体と反対回転方向に回転することを規制するので、第1の回転体の回転は回転伝達手段の動作により第2の回転体に伝達されるようになる。

【0032】そして、第2の回転体の回転数が上昇すると、第2の回転体に作用する負荷が低下するので、回転伝達手段が第2の回転体から受ける反発力が小さくなる。これにより、第3の回転体が第1の回転体と同一回転方向に回転するようになるので、請求項1,2の発明と同様にして、第2の回転体は回転力が負荷の大きさと均衡するような回転数に自動調整される。

【0033】要するに、逆回転規制手段は、従来の車両用自動変速装置に用いられるトルクコンバータのステータの回転方向を規制するために設けられているワンウェイクラッチに相当する。

【0034】また、第4の回転体を設け、前記第3の回転体が前記第1の回転体と反対回転方向に回転した状態で前記第3の回転体の回転を前記第4の回転体に伝達する逆回転伝達手段を設け、前記第4の回転体に停止力を作用させる停止手段を設けるようにしてもよい(請求項4)。

【0035】上記各構成では、負荷が大きい場合は、第3の回転体に設けられている回転伝達手段が第2の回転体から受ける反発力が大きいので、第3の回転体が第1の回転体と反対回転方向に回転してしまって、第1の回転体の回転を第2の回転体に伝達することができない。

【0036】このような場合、逆回転伝達手段は、第3の回転体の回転を第4の回転体に伝達するようになるので、第4の回転体が回転するようになる。このとき、停止手段を動作させると、第4の回転体ひいては第3の回転体に停止力が作用し、第1の回転体の回転は回転伝達手段の動作により第2の回転体に伝達されるようになる。

【0037】そして、第2の回転体の回転数が上昇すると、第2の回転体に作用する負荷が低下するので、回転伝達手段が第2の回転体から受ける反発力が小さくなる。これにより、第3の回転体が第1の回転体と同一回転方向に回転するようになるので、請求項1,2の発明と同様にして、第2の回転体は回転力が負荷の大きさと均衡するような回転数に自動調整される。要するに、停止手段は、第1の回転体の回転を第2の回転体に伝達するクラッチ手段として機能する。

【0038】このような構成は、第1の回転体を回転させる回転源がエンジンの場合、或いは大形モータのように始動トルクが大きくて回転開始時に大きな回転力が作用する場合に適している。

【0039】また、前記停止手段は、前記第4の回転体の回転数が上昇するに従って前記第4の回転体に対する停止力を増大するようにしてもよい(請求項5)。このような構成によれば、負荷が大きくて第3の回転体が第1の回転体と反対回転方向に回転した場合は、第4の回転体が回転するので、停止手段は、第4の回転体の回転数が上昇するに従って第4の回転体に対する停止力を増大する。これにより、第3の回転体が停止するのに応じて回転伝達手段が動作し、第1の回転体の回転が第2の回転体に伝達され、第2の回転体が第1の回転体と同一回転方向に回転するようになる。ここで、第3の回転体には、第3の回転体に設けられている回転伝達手段が第1の回転体と一体となって回転しようとすることにより第1の回転体と同一回転方向への回転力が作用すると共に、回転伝達手段が第2の回転体から受ける反発力により第1の回転体と反対回転方向への回転力が作用する。この場合、第2の回転体が第1の回転体と同一回転方向に回転し始めたときは、回転伝達手段が第2の回転体から受ける反発力が大きいことから、第3の回転体に作用している第1の回転体と反対回転方向への回転力が第1の回転体と同一回転方向への回転力を上回っており、このような力関係では、第3の回転体は第1の回転体と反対回転方向に回転している。そして、第2の回転体の回転数が上昇し、第2の回転体に作用する負荷が低下すると、回転伝達手段が第2の回転体から受ける反発力が低下するので、第3の回転体に作用している第1の回転体と同一回転方向への回転力が増大し、第3の回転体が第1の回転体と反対回転方向に回転する回転数が低下する。この結果、第4の回転体の回転数が低下するようになるので、停止手段は、第3の回転体に対する停止力を低下するようになる。つまり、停止手段は、第3の回転体に停止力を作用するにしても第3の回転体を完全に停止させることはない。要するに、停止手段は、第1の回転体の回転を第2の回転体に半クラッチ状態で伝達するクラッチ手段として機能する。

【0040】また、前記停止手段は、前記第1の回転体の回転数が上昇するに従って前記第4の回転体に対する停止力を増大するようにしてもよい(請求項6)。このような構成によれば、負荷が大きくて第3の回転体が第1の回転体と反対回転方向に回転した場合は、第4の回転体が回転する。このとき、停止手段は、第1の回転体の回転数が上昇するに従って第4の回転体に対する停止力を増大するので、第3の回転体が停止するのに応じて回転伝達手段が動作し、第1の回転体の回転が第2の回転体に伝達され、第2の回転体が第1の回転体と同一回転方向に回転するようになる。この場合、第1の回転体の回転数が大きいときは、第3の回転体ひいては第4の回転体の回転数も大きいので、停止手段が第1の回転体の回転数の上昇に従って第4の回転体に対する停止力を増大するにしても第3の回転体が完全に停止することはない。要するに、停止手段は、第1の回転体の回転を第2の回転体に半クラッチ状態で伝達するクラッチ手段として機能する。

【0041】また、前記停止手段は、外部操作に応じて前記第4の回転体に停止力を作用させるようにしてもよい(請求項7)。このような構成によれば、外部操作により停止手段を動作させると、停止手段は、第4の回転体ひいては第3の回転体を停止させるようになるので、第1の回転体の回転を第2の回転体に伝達することができる。要するに、停止手段は、手動のクラッチ手段として機能する。

【0042】また、前記第3の回転体を停止状態に保持する停止保持手段を設けるようにしてもよい(請求項8)。このような構成によれば、停止保持手段を動作させることにより第3の回転体を停止状態に保持した場合は、第1の回転体の回転を1を上回る所定の減速比で第2の回転体に伝達することができるので、第1の回転体の回転方向にかかわらず第1の回転体の回転を第2の回転体に伝達することができる。このような構成は、第1の回転体を回転させる回転源の回転方向が逆回転可能な電気自動車、電車等に適している。

【0043】また、前記停止保持手段は、前記第1の回転体と同一回転方向に回転する前記第2の回転体の回転数が上昇するに従って前記第3の回転体に対する停止保持力を低下するようにしてもよい(請求項9)。

【0044】このような構成によれば、第2の回転体の回転数が上昇すると、停止保持手段は、第3の回転体に対する停止保持力を低下するので、第3の回転体が第1の回転体と同一回転方向に回転するようになり、第2の回転体は回転力が負荷と均衡するような回転数に自動調整される。

【0045】この場合、第1の回転体が逆回転する場合でも同様の動作となるので、第1の回転体の回転方向にかかわらず第1の回転体の回転を第2の回転体に伝達することができる。

【0046】また、前記停止保持手段は、前記第1の回転体と同一回転方向に回転する前記第2の回転体の回転数が所定回転数以上となった状態で前記第3の回転体に対する停止保持力を解除するようにしてもよい(請求項10)。

【0047】このような構成によれば、第1の回転体が回転した状態で第1の回転体と同一回転方向に回転する第2の回転体の回転数が所定回数以上となったときは、第3の回転体に作用している第1の回転体と同一回転方向への回転力が第1の回転体と反対回転方向への回転力を上回っていると見なすことができる。従って、停止保持手段が第3の回転体に対する停止保持力を解除するにしても、第3の回転体が第1の回転体と同一回転方向に回転するようになり、第2の回転体は回転力が負荷の大きさと均衡するような回転数に自動調整される。

【0048】この場合、第1の回転体が逆回転した場合でも同様の動作となるので、第1の回転体の回転方向にかかわらず第1の回転体を第2の回転体に伝達することができる。

【0049】また、前記第3の回転体に前記第1の回転体と同一回転方向に回転しようとする回転力が作用していることを検出する検出手段を設け、前記停止保持手段は、前記検出手段が前記第3の回転体に前記第1の回転体と同一回転方向に回転しようする回転力が作用していることを検出した状態で前記第3の回転体に対する停止保持力を解除するようにしてもよい(請求項11)。

【0050】このような構成によれば、第1の回転体の回転状態で第3の回転体に第1の回転体と同一回転方向に回転しようとする回転力が作用したときは、検出手段がそのことを検出する。すると、停止保持手段は第3の回転体に対する停止保持力を解除するので、第3の回転体が第1の回転体と同一回転方向に回転するようになり、第2の回転体は回転力が負荷の大きさと均衡するような回転数に自動調整される。

【0051】この場合、第1の回転体が逆回転した場合でも同様の動作となるので、第1の回転体の回転方向にかかわらず第1の回転体の回転を第2の回転体に伝達することができる。

【0052】また、前記第3の回転体を停止させる力と前記第3の回転体を前記第1の回転体に一体化させる力とを組合わせることにより前記第3の回転体の回転数を制御する回転数制御手段を設けるようにしてもよい(請求項12)。【0053】

【0054】このような構成によれば、第3の回転体の回転数を低下させるときは、第3の回転体を停止させる力を作用させ、第3の回転体の回転数を上昇させるときは、第3の回転体を第1の回転体に一体化させる力を作用させることにより、簡単な構成で第3の回転体の回転数を制御することができる。

【0055】また、前記回転数制御手段は、前記逆回転規制手段の動作を実行するようにしてもよい(請求項13)。このような構成によれば、負荷が大きくて第3の回転体が第1の回転体と反対回転方向に回転するような場合は、回転数制御手段により第3の回転体の回転数を低下させる。これにより、回転数制御手段を備えた構成においては、逆回転規制手段を用いることなく第1の回転体の回転を第2の回転体に伝達することができる。

【0056】また、前記回転数制御手段は、前記停止保持手段の動作を実行するようにしてもよい(請求項14)。このような構成によれば、回転数制御手段を備えた構成においては、回転数制御手段により第3の回転体を停止状態に保持することにより、停止保持手段を用いることなく第1の回転体の回転方向にかかわず第1の回転体の回転を第2の回転体に伝達することができる。

【0057】また、前記第1の回転体と当該第1の回転体と同一回転方向に回転する前記第3の回転体との回転数差に基づいて負荷の大きさを判断する負荷判断手段を設けるようにしてもよい(請求項15)。

【0058】このような構成によれば、第3の回転体が第1の回転体と同一回転方向に回転した状態では、負荷が大きいときは第1の回転体と第3の回転体との回転数差が大きいのに対して、負荷が小さいときは第1の回転体と第3の回転体との回転数差が小さいことから、負荷判断手段は、第1の回転体と当該第1の回転体と同一回転方向に回転する第3の回転体との回転数差に基づいて負荷の大きさを判断することができる。

【0059】また、請求項3記載の自動変速装置を有効となる入力回転方向が互いに反対方向となるように1対設け、入力回転方向に対して有効に作動する自動変速装置の第1の回転体のみに入力回転を伝達する入力回転伝達手段を設け、入力回転に対して有効に作動する自動変速装置の第2の回転体の回転のみを出力回転として伝達する出力回転伝達手段を設けるようにしてもよい(請求項16)。

【0060】このような構成によれば、入力回転は、入力回転伝達手段により一方の自動変速装置における第1の回転体に有効に伝達されるのに対して、他方の自動変速装置における第1の回転体に有効に伝達されることはない。このとき、一方の自動変速装置においては、第3の回転体は逆回転規制手段により第1の回転体と反対回転方向に回転することが規制されているので、第1の回転体の回転は第2の回転体に伝達される。これにより、一方の自動変速装置のみが有効に作動し、第3の回転体は第1の回転体と同一回転方向に回転するようになるので、第2の回転体は回転力が負荷の大きさに均衡するような回転数に自動調整される。この場合、一方の自動変速装置が有効に作動する結果、出力回転伝達手段により一方の自動変速装置における第2の回転体の回転は出力回転として有効に伝達される。

【0061】また、入力回転を逆回転すると、入力回転は、入力回転伝達手段により他方の自動変速装置における第1の回転体に有効に伝達されるのに対して、一方の自動変速装置における第1の回転体に有効に伝達されることはない。これにより、他方の自動変速装置のみが有効に作動し、出力回転伝達手段により他方の自動変速装置における第2の回転体の回転を出力回転として有効に伝達することができる。このような構成は、入力回転が逆回転可能な構成に好適する。

【0062】また、前記第1の回転体はダブルピニオン式遊星歯車のサンギヤであり、前記第2の回転体はダブルピニオン式遊星歯車のリングギヤであり、前記第3の回転体はダブルピニオン式遊星歯車のプラネタリキャリアであり、前記回転伝達手段はダブルピニオン式遊星歯車のピニオンギヤであるのが構成としては望ましい(請求項17)。このような構成によれば、ダブルピニオンギヤ式遊星歯車を利用して実施することができるので、小形化を図りながら簡単な構成で実施することができる。

【0063】また、前記逆回転規制手段は、ワンウェイクラッチであってもよい(請求項18)。このような構成によれば、逆回転規制手段はワンウェイクラッチであるので、簡単な構成で実施することができる。

【0064】また、前記逆回転伝達手段は、ワンウェイクラッチであってもよい(請求項19)。このような構成によれば、逆回転伝達手段はワンウェイクラッチであるので、簡単な構成で実施することができる。

【0065】また、上記各自動変速装置を複数直列に連結するようにしてもよい(請求項20)。このような構成によれば、自動変速装置全体の減速比は各自動変速装置の減速比を掛合わせた値となるので、大きな減速比を得ることができる。

【0066】また、減速比が1未満の増速装置と連結するようにしてもよい(請求項21)。このような構成によれば、最小減速比を1未満に設定することができる。

【0067】また、上記構成の自動変速装置を複数設け、これらの自動変速装置の前記第2の回転体の回転を合成して出力するように構成してもよい(請求項22)。複数の回転体の回転を効率よく合成するには、全ての回転体の回転数が一致している必要がある。これは、回転体の回転数が異なっている場合は、回転数の大きな回転体にとって回転数が小さな回転体が抵抗となり、全体の伝達効率が低下するからである。

【0068】上記構成によれば、各自動変速装置の減速比は負荷の大きさに応じて独立に自動調整されるので、各自動変速装置の第1の回転体の回転数が異なる場合であっても、第2の回転体の回転を最大効率で合成して出力することができる。

【0069】また、本発明の車両用自動変速装置は、上記構成の自動変速装置を設けた上で、回転源により前記第1の回転体を回転し、前記第2の回転体により駆動輪を回転させるようにしたものである(請求項23)。

【0070】このような構成によれば、加速時は車速が上昇するに従って減速比が円滑に低下することから、変速のショックを伴うことなく滑らかに加速することができる。また、減速時は車速の低下に従って減速比が円滑に上昇することから、回転源をブレーキとして作用させることにより変速のショックを伴うことなく滑らかに車両を減速することができる。

【0071】また、回転源の回転を最大効率で駆動輪に伝達することができるので、回転源がエンジンの場合は、燃費を向上することができる。また、ハイブリッド自動車或いは電気自動車のように回転源がモータの場合は、バッテリの消費を低減することができる。

【0072】また、前記回転数制御手段は、ブレーキ操作が行われたときは前記第3の回転体の回転数を低下させるようにしてもよい(請求項24)。このような構成によれば、車両を減速するためにブレーキ操作を行うと、回転数制御手段は第3の回転体の回転数を低下させるので、減速比が大きくなり、大きな制動力を得ることができる。

【0073】また、前記回転数制御手段は、前記第3の回転体の回転数を低下させた場合は前記回転源の回転数が許容回転数以下となるように前記第3の回転体の回転数を制御するのが望ましい(請求項25)。

【0074】請求項25の発明では、ブレーキ操作が行われたことに伴って回転数制御手段が第3の回転体の回転数を低下させたときは、第3の回転体の回転数が低下することにより減速比が大きくなるので、第1の回転体ひいては回転源の回転数が許容回転数を上回ることがあり、このような場合は、回転源に不具合を生じる虞れがある。

【0075】上記構成によれば、回転数制御手段は、第1の回転体を回転させる回転源の回転数が許容回転数以下となるように第3の回転体の回転数を制御するので、回転源の回転数が許容回転数を上回ってしまうことを防止することができる。

【0076】また、前記第2の回転体を前記第1の回転体と同一回転方向に回転させる補助回転源を設け、前記負荷判断手段が判断した負荷の大きさに基づいて前記補助回転源を動作させるようにしてもよい(請求項26)。

【0077】このような構成によれば、負荷判断手段が判断した負荷の大きさに応じて補助回転源を動作させることにより、第2の回転体ひいては駆動輪の回転力を任意に調整することができる。

【0078】また、前記負荷判断手段が判断した負荷が増大するに従って前記補助回転源による前記第2の回転体に対する回転力を増大するようにしてもよい(請求項27)。

【0079】負荷が大きくなって第3の回転体の回転数が低下したときは、第2の回転体ひいては駆動輪の回転数が低下してしまう。上記構成によれば、第3の回転体の回転数が低下したときは、負荷判断手段が負荷は大きくなったと判断するので、補助回転源は、第2の回転体に第1の回転体と同一回転方向への回転力を増大する。これにより、第2の回転体ひいては駆動輪の回転数が低下してしまうことを防止できる。このような構成は、ハイブリッド自動車、電動アシスト自転車に好適する。

【0080】また、請求項17記載の自動変速装置を駆動輪毎に対応して設けるようにしてもよい(請求項28)。このような構成によれば、駆動輪に対応して設けられた自動変速装置により各駆動輪は駆動力が走行抵抗と均衡するような回転数に独立して自動調整されるので、車両が旋回した際は内輪側となる駆動輪の回転数は外輪側となる駆動輪の回転数よりも小さくなり、駆動輪に無理な力が作用することはなく車両を旋回することができる。つまり、自動変速機の機能を発揮しながら、ディファレンシャルギヤとしての機能をも発揮することができる。

【0081】この場合、各駆動輪毎に回転源の回転が独立に伝達されるので、一方の駆動輪がスリップした場合であっても、他方の駆動輪の駆動力が失われることはなく、ノンスリップディファレンシャルギヤとしても機能することができる。また、スリップした駆動輪は回転数が急激に上昇することにより駆動力が急激に小さくなるので、スリップを直ちに解消することができる。

【0082】

【発明の実施の形態】(発明の概要)以下、本発明の基本構成を説明する。図1は自動変速装置の断面を示し、図2は自動変速装置の側面を示している。これらの図1及び図2において、自動変速装置1は例えばダブルピニオン式遊星歯車を基本に構成されている。つまり、入力用シャフト2にはサンギヤ(第1の回転体に相当、歯数Z1枚)3が一体に設けられており、回転源4によりサンギヤ3が回転するようになっている。

【0083】また、入力用シャフト2と同軸上に設けられた出力用シャフト5にはリングギヤ(第2の回転体に相当、歯数Z2枚)6が一体に設けられており、リングギヤ6の回転に伴って被回転体7が回転するようになっている。

【0084】一方、図示しない静止部位(または入力用シャフト2)にはプラネタリキャリア(第3の回転体に相当)8が回動自在に支持されている。このプラネタリキャリア8にはシャフト9が回動可能に支持されていると共に、そのシャフト9に装着されたピニオンギヤ(回転伝達手段に相当、歯数Z3枚)10が互いに噛合っている。一方のピニオンギヤ10はサンギヤ3と噛合い、他方のピニオンギヤ10はリングギヤ6と噛合っている。

【0085】さて、回転源4によりサンギヤ3を回転すると、サンギヤ3の回転に伴ってピニオンギヤ10ひいてはプラネタリキャリア8はサンギヤ3と一体となって回転しようとする。このとき、被回転体7は停止しており、リングギヤ6に作用する負荷が大きいことから、ピニオンギヤ10がリングギヤ6から受ける反発力によりプラネタリキャリア8はサンギヤ3と反対回転方向に回転する。この結果、サンギヤ3の回転がリングギヤ6に伝達されることはない。

【0086】ここで、プラネタリキャリア8に対して適宜の手段により停止力を作用させると、プラネタリキャリア8が停止するのに応じてサンギヤ3の回転がピニオンギヤ10を介してリングギヤ6に伝達されるようになるので、リングギヤ6ひいては被回転体7がサンギヤ3と同一回転方向に回転するようになる。

【0087】このようにサンギヤ3及びリングギヤ6が回転した状態でプラネタリキャリア8に作用する力を考察すると、ピニオンギヤ10がサンギヤ3と一体となって回転しようとすることによりサンギヤ3と同一回転方向に作用する回転力と、ピニオンギヤ10がリングギヤ6から受ける反発力によりサンギヤ3と反対回転方向に作用する回転力とが作用する。

【0088】被回転体7の回転開始時はリングギヤ6に作用する負荷が大きく、ピニオンギヤ10がリングギヤ6から受ける反発力によりプラネタリキャリア8に作用しているサンギヤ3と反対回転方向への回転力の方が、サンギヤ3の回転に伴ってプラネタリキャリア8に作用しているサンギヤ3と同一回転方向への回転力を上回っているので、プラネタリキャリア8はサンギヤ3と反対回転方向へ回転している。

【0089】そして、プラネタリキャリア8が停止するのに応じて被回転体7の回転数が上昇すると、リングギヤ6に作用する負荷が小さくなるので、ピニオンギヤ10がリングギヤ6から受ける反発力が低下してプラネタリキャリア8に作用しているサンギヤ3と反対回転方向への回転力が低下する(サンギヤ3と同一回転方向への回転力は変化なし)。これにより、プラネタリキャリア8に作用しているサンギヤ3と同一回転方向への回転力がサンギヤ3と反対回転方向への回転力を上回るようになるので、プラネタリキャリア8は、サンギヤ3と反対回転方向への回転状態から、停止状態を経て、サンギヤ3と同一回転方向へ回転するようになる。

【0090】このようにプラネタリキャリア8がサンギヤ3と同一回転方向に回転している場合は、リングギヤ6は、ピニオンギヤ10が回転するのに応じて回転するのに加えて、プラネタリキャリア8の回転に伴ってピニオンギヤ10により押されることにより回転するようになる。つまり、サンギヤ3からリングギヤ6に伝達される回転の伝達経路としては、1を上回る所定の減速比(=Z2/Z1)による伝達経路と、減速比1による伝達経路との2経路があり、それらの各経路の減速比で回転されるリングギヤ6のそれぞれの回転数の和がリングギヤ6の真の回転数となる。

【0091】この場合、プラネタリキャリア8の停止状態では、サンギヤ3の回転の全てはピニオンギヤ10が回転してリングギヤ6をサンギヤ3と同一回転方向に回転させるのに費やされる。この状態では、サンギヤ3からピニオンギヤ10を介してリングギヤ6に対する減速比(ギヤ比)は、各ギヤの歯数に基づいて(Z3/Z1)×(Z3/Z3)×(Z2/Z3)=Z2/Z1となる。つまり、リングギヤ6の歯数をサンギヤ3の歯数で除した値が自動変速装置1の減速比になる。また、上記式から、ピニオンギヤ10の歯数は減速比に影響を与えないことが分る。

【0092】また、プラネタリキャリア8がサンギヤ3の回転数よりも小さな回転数で回転している状態では、サンギヤ3の回転の一部はピニオンギヤ10が回転することによりリングギヤ6をサンギヤ3と同一回転方向に回転するのに費やされると共に、サンギヤ3の残りの回転はピニオンギヤ10がリングギヤ6をサンギヤ3と同一回転方向に押すのに費やされる。

【0093】そして、プラネタリキャリア8がサンギヤ3と同一回転数で回転している状態では、ピニオンギヤ10はサンギヤ3と一体となって回転するようになるので、サンギヤ3の回転の全てはピニオンギヤ10がリングギヤ6をサンギヤ3と同一回転方向に押すことに費やされる。この状態では、自動変速装置1の減速比1となる。

【0094】要するに、リングギヤ6の回転数は、プラネタリキャリア8の回転数と、サンギヤ3の回転数からプラネタリキャリア8の回転数を減算した値をプラネタリキャリア8の停止状態における自動変速装置1の減速比で除した回転数とを加算した値となる。また、自動変速装置1の減速比は、サンギヤ3の回転数をリングギヤ6の回転数で除した値となる。

【0095】従って、リングギヤ6の回転数を数式で表すと、N2=N3+(N1−N3)/R0と表すことができる。

【0096】但し、サンギヤ3の回転数をN1、リングギヤ6の回転数をN2、プラネタリキャリア8の回転数をN3、プラネタリキャリア8の停止状態における自動変速装置1の減速比をR0とする。

【0097】図3は、サンギヤ3の回転数がN1(一定)の場合におけるプラネタリキャリア8の回転数とリングギヤ6の回転数との関係を示している。

【0098】また、自動変速装置1の減速比RはN1/N2で求めることができるから、R=N1/N2=N1/(N3+(N1−N3)/R0)

=N1・R0/(N3・R0+N1−N3)

=N1・R0/((R0−1)・N3+N1)

となる。

【0099】即ち、自動変速装置1の減速比Rは、サンギヤ3の回転数N1にプラネタリキャリア8の停止状態における減速比R0を乗算した値を、減速比R0から1を減算した値にプラネタリキャリア8の回転数N3を乗算した値とサンギヤ3の回転数N1とを加算した値で除した値となる。このことは、自動変速装置1の減速比Rは、サンギヤ3の回転数N1が一定という条件では、プラネタリキャリア8の回転数N3の回転数N3が大きくなるに従って回転数N3の逆数で小さくなるという関係を意味している。

【0100】図4は、サンギヤ3の回転数がN1(一定)の場合におけるプラネタリキャリア8の回転数N3と自動変速装置1の減速比Rとの関係を示している。

【0101】また、リングギヤ6の回転力T2はT1・R(T1はサンギヤ3の回転力)で求めることができるから、T2=T1・N1・R0/((R0−1)・N3+N1)

と表すことができる。

【0102】図5は、サンギヤ3の回転数がN1(一定)の場合におけるプラネタリキャリア8の回転数N3とリングギヤ6の回転力T2との関係を示している。但し、サンギヤ3の回転力T1はサンギヤ3の回転数にかかわらず一定とする。

【0103】要するに、サンギヤ3の回転数及び回転力が一定という条件では、プラネタリキャリア8の回転数が上昇するに従ってリングギヤ6の回転数が上昇すると同時にリングギヤ6の回転力が低下するという関係となる。

【0104】この場合、図6に示すように被回転体7の回転を維持するのに要する回転力(=負荷)Txがリングギヤ6の回転可能回転数全域にわたって一定であるとすると、図中に示す斜線領域A(リングギヤ6の回転力特性線が負荷特性線を上回っている状態)では、プラネタリキャリア8にはサンギヤ3と同一回転方向への回転力を高めようとする力が作用しているので、プラネタリキャリア8の回転数が上昇する。また、図中に示す斜線領域B(リングギヤ6の回転力特性線が負荷特性線を下回っている状態)では、プラネタリキャリア8にはサンギヤ3と反対回転方向への回転力を高めようとする力が作用しているので、プラネタリキャリア8の回転数が低下する。従って、リングギヤ6の回転力と被回転体7の回転を維持するのに要する回転力とはリングギヤ6の回転力特性線と負荷特性線とが交差するポイントで均衡状態となり、そのときのリングギヤ6の回転数はNxとなる。

【0105】ところで、上記回転力特性線は負荷の大きさに応じて変化する。即ち、図6に示す均衡状態から負荷が大きくなった場合は、負荷特性線は図6に示す均衡状態から図7に示すようにリングギヤ6の回転可能回転数全域にわたって上方に移動する(負荷と均衡するリングギヤ6の回転力はTx´に上昇)。これにより、サンギヤ3の回転数N1が一定という条件では、リングギヤ6の回転力(=Tx)が被回転体7の現在の回転数を維持するのに必要な回転力(=Tx´)よりも小さくなる。このようにリングギヤ6の回転力と負荷との均衡状態で負荷が大きくなった場合には、プラネタリキャリア8に作用しているサンギヤ3と反対回転方向への回転力が増大する状態となるので(サンギヤ3と同一回転方向への回転力は変化なし)、プラネタリキャリア8の回転数が低下し、サンギヤ3とプラネタリキャリア8との回転数差が大きくなる。この場合、自動変速装置1の減速比は、サンギヤ3とプラネタリキャリア8との回転数差が大きくなる程大きくなるので、プラネタリキャリア8の回転数が低下した分だけ自動変速装置1の減速比が上昇してリングギヤ6の回転数が低下する。この結果、負荷の増加に応じてリングギヤ6の回転数は低下するものの、それに伴ってリングギヤ6の回転力が増大するので、回転力特性線と負荷特性線とが交差するまでリングギヤ6の回転数が低下したところでリングギヤ6の回転数が安定する(プラネタリキャリア8の回転数はNxからNx´に低下)。

【0106】また、図6に示す均衡状態から負荷が小さくなった場合は、負荷特性線は図6に示す均衡状態から図8に示すようにリングギヤ6の回転可能回転数全域にわたって下方に移動する(負荷と均衡するリングギヤ6の回転力はTx´に低下)。これにより、サンギヤ3の回転数N1が一定という条件では、リングギヤ6の回転力(=Tx)が被回転体7の現在の回転を維持するのに必要な回転力(=Tx´)よりも大きくなる。このようにリングギヤ6の回転力と負荷との均衡状態で負荷が小さくなった場合には、プラネタリキャリア8に作用しているサンギヤ3と反対回転方向への回転力が低下する状態となるので(サンギヤ3と同一回転方向への回転力は変化なし)、プラネタリキャリア8の回転数が上昇し、サンギヤ3とプラネタリキャリア8との回転数差が小さくなる。この場合、自動変速装置1の減速比は、サンギヤ3とプラネタリキャリア8との回転数差が小さくなる程小さくなるので、プラネタリキャリア8の回転数が上昇した分だけ自動変速装置1の減速比が低下してリングギヤ6の回転数が上昇する。この結果、負荷の減少に応じてリングギヤ6の回転数は上昇するものの、それに伴ってリングギヤ6の回転力が低下するので、回転力特性線と負荷特性線とが交差するまでリングギヤ6の回転数が上昇したところでリングギヤ6の回転数が安定する(プラネタリキャリア8の回転数はNxからNx´に上昇)。

【0107】以上のような動作の結果、リングギヤ6の回転力と負荷との均衡状態で負荷が大きくなると、リングギヤ6は回転数が低下すると同時に回転力が増大し、負荷が小さくなると、リングギヤ6は回転数が上昇すると同時に回転力が低下するので、負荷が変動するにしても、リングギヤ6は回転力が負荷の大きさと均衡するような回転数に自動調整されることになる。

【0108】一方、上記回転力特性線はサンギヤ3の回転数に応じて変化する。即ち、図6に示す均衡状態からサンギヤ3の回転数N1がN1´に低下した場合は、回転力特性線は図6に示す均衡状態から図9に示すようにリングギヤ6の回転可能回転数全域にわたって下方に移動する(リングギヤ6の回転力はTx´に低下)。これにより、負荷が一定という条件では、リングギヤ6の回転力(=Tx´)が被回転体7の現在の回転数を維持するのに必要な回転力(=Tx)よりも小さくなる。このようにリングギヤ6の回転力と負荷との均衡状態でサンギヤ3の回転数が低下した場合には、プラネタリキャリア8に作用しているサンギヤ3と同一回転方向への回転力が低下する状態となるので(サンギヤ3と反対回転方向への回転力は変化なし)、プラネタリキャリア8の回転数が低下し、サンギヤ3とプラネタリキャリア8との回転数差が大きくなる。この場合、自動変速装置1の減速比は、サンギヤ3とプラネタリキャリア8との回転数差が大きくなる程大きくなるので、プラネタリキャリア8の回転数が低下した分だけ自動変速装置1の減速比が上昇してリングギヤ6の回転数が低下する。この結果、サンギヤ3の回転数の低下に応じてリングギヤ6の回転数は低下するものの、それに伴ってリングギヤ6の回転力が増大するので、回転力特性線と負荷特性線とが交差するまでリングギヤ6の回転数が低下したところでリングギヤ6の回転数が安定する(プラネタリキャリア8の回転数はNxからNx´に低下)。

【0109】また、図6に示す均衡状態からサンギヤ3の回転数N1がN1´に上昇した場合は、回転力特性線は図6に示す均衡状態から図10に示すようにリングギヤ6の回転可能回転数全域にわたって上方に移動する(リングギヤ6の回転力はTx´に上昇)。これにより、負荷が一定という条件では、リングギヤ6の回転力(=Tx´)が被回転体7の現在の回転数を維持するのに必要な回転力(=Tx)よりも大きくなる。このようにリングギヤ6の回転力と負荷との均衡状態でサンギヤ3の回転数が上昇した場合には、プラネタリキャリア8に作用しているサンギヤ3と同一回転方向への回転力が増大する状態となるので(サンギヤ3と反対回転方向への回転力は変化なし)、プラネタリキャリア8の回転数が上昇し、サンギヤ3とプラネタリキャリア8との回転数差が小さくなる。この場合、自動変速装置1の減速比は、サンギヤ3とプラネタリキャリア8との回転数差が小さくなる程小さくなるので、リングギヤ6の回転数が上昇した分だけ自動変速装置1の減速比が低下してリングギヤ6の回転数が上昇する。この結果、サンギヤ3の回転数の上昇に応じてリングギヤ6の回転数は上昇するものの、それに伴ってリングギヤ6の回転力が低下するので、回転力特性線と負荷特性線とが交差するまでリングギヤ6の回転数が上昇したところでリングギヤ6の回転数が安定する(プラネタリキャリア8の回転数はNxからNx´に上昇)。

【0110】以上のような動作の結果、リングギヤ6の回転力と負荷との均衡状態でサンギヤ3の回転数が低下すると、リングギヤ6は回転数が低下すると同時に回転力が上昇し、サンギヤ3の回転数が上昇すると、リングギヤ6は回転数が上昇すると同時に回転力が低下するので、サンギヤ3の回転数が変動するにしても、リングギヤ6は回転力が負荷の大きさと均衡するような回転数に自動調整されることになる。

【0111】尚、サンギヤ3の回転力が大きい場合は回転力特性線が上方に移動するので、リングギヤ6を同一回転数に維持するのに要するサンギヤ3の回転数は小さくなる。また、サンギヤ3の回転力が小さい場合は回転力特性線が下方に移動するので、リングギヤ6を同一回転数に維持するのに要するサンギヤ3の回転数は大きくなる。

【0112】以上説明したように、ダブルピニオン式遊星歯車を用いた自動変速装置1によれば、負荷の大きさ及びサンギヤ3の回転数並びにサンギヤ3の回転力に応じてリングギヤ6は回転力が負荷の大きさと均衡するような回転数となるように自動調整されることになる。

【0113】要するに、サンギヤ3は従来の車両用自動変速装置に用いられているトルクコンバータのポンプインペラに相当し、リングギヤ6はタービンランナに相当し、ピニオンギヤ10はステータに相当する。この場合、サンギヤ3の回転がピニオンギヤ10を介してリングギヤ6へ伝達される際の伝達損失は歯車の伝達損失だけであり、トルクコンバータのようなスリップ損失が発生することはないので、理想的には自動変速装置1による回転力の変換効率は100%である。また、自動変速装置1の減速比はサンギヤ3の歯数とリングギヤ6の歯数とにより決定されるので、トルクコンバータよりも大きな減速比を得ることができる。

【0114】尚、本発明の基本構成の特徴は、負荷の変動、或いはサンギヤ3の回転数の変動にかかわらず、リングギヤ6を回転力が負荷と均衡するような回転数に自動調整することにあることから、本発明の基本構成ではプラネタリキャリア8に停止力を作用させる手段は必須要件ではなく、発明を適用する構成に応じて適宜設けるようにすればよい。

【0115】(第1の実施の形態)次に、本発明を車両用自動変速装置に適用した第1の実施の形態を図11を参照して説明する。

【0116】図11は自動変速装置の断面を概略的に示している。この自動変速装置はダブルピニオン式遊星歯車を基本として構成されている。即ち、自動変速装置11の筐体12には入力用シャフト13が支持されている。この入力用シャフト13はエンジン(回転源に相当)14と連結されており、エンジン14の回転に応じて入力用シャフト13が回転する。筐体1において入力用シャフト13と同軸上に出力用シャフト15が支持されている。この出力用シャフト15は図示しないプロペラシャフトを介して駆動輪(被回転体に相当)と連結されており、出力用シャフト15の回転に応じて車両が進行するようになっている。

【0117】入力用シャフト13において筐体12の内部に位置する部位にはダブルピニオン式の遊星歯車16が構成されている。即ち、入力用シャフト13の端部にはサンギヤ(第1の回転体に相当)17が一体に設けられていると共に、サンギヤ17に隣接して歯車からなるプラネタリキャリア(第3の回転体に相当)18が入力用シャフト13に回動自在に支持されている。このプラネタリキャリア18には複数のシャフト19が回動可能に支持されていると共に、そのシャフト19に装着されたピニオンギヤ(回転伝達手段に相当)20が互いに噛合っており、一方のピニオンギヤ20がサンギヤ17と噛合っている。

【0118】また、入力用シャフト13と同軸上にはリングギヤ(第3の回転体に相当)21が図示しない支持手段により支持されており、そのリングギヤ21に他方のピニオンギヤ20が噛合っている。

【0119】リングギヤ21は前後進切換装置22を介して出力用シャフト15と連結可能となっている。この前後進切換装置22は周知のシンクロメッシュ機構を利用した車両用手動変速装置を利用して構成されている。

【0120】即ち、前後進切換装置22はスリーブ23を備え、そのスリーブ23の位置に応じてリングギヤ21が出力用シャフト15と連結されるようになっている。このスリーブ23は、シフトレバーに対する手動操作に応じて直接移動したり、シフトレバーに対する手動操作に応じて電気モータ或いは空圧シリンダ或いは油圧シリンダ等のアクチュエータにより移動されるようになっている。

【0121】図11においては、シフトレバーがパーキングポジション若しくはニュートラルポジションに操作された状態のスリーブ23の位置を示している。この場合、シフトレバーがドライブポジションに操作されたときは、スリーブ23は図中に矢印A方向に移動され、リングギヤ21と出力用シャフト15とが直接連結される。この連結状態では、出力用シャフト15はリングギヤ21と同一回転方向に回転する。また、シフトレバーがリバースポジションに操作されたときは、スリーブ23は矢印Aと反対方向に移動され、リングギヤ21とプロペラシャフトとが奇数枚の歯車24〜28を介して連結される。この連結状態では、出力用シャフト15はリングギヤ21と反対回転方向に回転する。

【0122】一方、筐体12には入力用シャフト13と平行にブレーキ用シャフト29が支持されており、そのブレーキ用シャフト29にワンウェイクラッチ30を介してブレーキ用歯車31が支持されている。このブレーキ用歯車31はプラネタリキャリア18と噛合っており、プラネタリキャリア18がサンギヤ17と反対回転方向に回転した状態でプラネタリキャリア18の回転がブレーキ用歯車31からワンウェイクラッチ30を介してブレーキ用シャフト29に伝達されるようになっている。

【0123】ブレーキ用シャフト29において筐体12の内部となる部位には当該ブレーキ用シャフト29の回転により駆動される油圧ポンプ32が設けられていると共に、筐体12の外部となる部位にはブレーキ板33が装着されている。このブレーキ板33は、油圧ポンプ32により駆動される油圧ブレーキ(停止手段に相当)34により停止力が与えられるようになっている。この場合、油圧ポンプ32はブレーキ用シャフト29の回転数が大きくなるに従って油圧ブレーキ34に対する油圧を増大するようになっており、これに伴って油圧ブレーキ34によるブレーキ板33に対する停止力が増大するようになっている。尚、パーキングポジションでは、出力用シャフト15は図示しない周知のパーキングロック機構によりロックされるようになっている。

【0124】次に、上記構成の作用について説明する。シフトレバーをパーキングポジション若しくはニュートラルポジションに位置させた状態でエンジン14を始動すると、エンジン14がアイドリング状態で回転する。この状態では、リングギヤ21は出力用シャフト15と連結されていないことから、リングギヤ21に作用する負荷は零とみなすことができる。これにより、ピニオンギヤ20及びリングギヤ21はサンギヤ17と一体になって回転する。この場合、リングギヤ21の回転が出力用シャフト15に伝達されることはないので、リングギヤ21が回転するにしても車両が進行することはない。

【0125】そして、シフトレバーをドライブポジションに操作すると、前後進切換装置22のスリーブ23が矢印A方向に移動するので、リングギヤ21が出力用シャフト15ひいては駆動輪と連結される。この連結状態では、駆動輪に作用する負荷は車両の静止抵抗であり、極めて大きいことから、サンギヤ17と一体になって回転していたリングギヤ21が停止し、ピニオンギヤ20がリングギヤ21から大きな反発力を受けるようになる。これにより、プラネタリキャリア18がサンギヤ17と反対回転方向に回転し、プラネタリキャリア18と噛合っているブレーキ用歯車31が回転するようになるので、ワンウェイクラッチ30によりブレーキ用シャフト29及びブレーキ板33が回転するようになる。このとき、ブレーキ用シャフト29の回転に伴って油圧ポンプ32が作動するものの、エンジン14がアイドリング状態では油圧ポンプ32の油圧は低いことから、油圧ブレーキ34によりブレーキ板33に対して停止力が作用することはない。

【0126】さて、車両を発進させるためにアクセルを踏み込むと、エンジン14の回転数の上昇に伴ってプラネタリキャリア18ひいてはブレーキ用シャフト29の回転数が上昇するので、油圧ポンプ32の油圧が上昇して油圧ブレーキ34によるブレーキ板33に対する停止力が増大する。これにより、ブレーキ用シャフト29、ワンウェイクラッチ30及びブレーキ用歯車31を介してプラネタリキャリア18に停止力が作用するようになるので、プラネタリキャリア18が停止するのに応じてサンギヤ17の回転がピニオンギヤ20を介してリングギヤ21に伝達され、リングギヤ21ひいては駆動輪の駆動力が徐々に増大する。そして、駆動輪の駆動力が車両の静止抵抗を上回るようになると、車両が前進し始める。

【0127】ここで、注目すべき点は、上述したようにして油圧ブレーキ34によるブレーキ板33に対する停止力が増大して、ブレーキ用シャフト29の回転数が低下したときは、油圧ポンプ32の油圧力が低下するので、油圧ブレーキ34によるブレーキ板33に対する停止力が低下することである。つまり、油圧ブレーキ34はブレーキ板33を完全にロックすることはないので、油圧ポンプ32、ブレーキ板33及び油圧ブレーキ34は半クラッチ可能なクラッチ手段として機能するものであり、車両を円滑に発進させることができる。

【0128】この場合、サンギヤ17の回転状態でプラネタリキャリア18に作用する力は、ピニオンギヤ20がサンギヤ17と一体となって回転しようとすることによりサンギヤ17と同一回転方向に作用する回転力と、ピニオンギヤ20がリングギヤ21から受ける反発力によりサンギヤ17と反対回転方向に作用する回転力とになる。

【0129】車両が走行を開始すると、リングギヤ21に作用する負荷が静止抵抗から走行抵抗となり(但し、車両が定速度で走行している場合)、ピニオンギヤ20がリングギヤ21から受ける反発力が低下するので、プラネタリキャリア18に作用しているサンギヤ17と同一回転方向への回転力がサンギヤ17と反対回転方向への回転力を上回るようになる。この結果、プラネタリキャリア18はサンギヤ17と同一回転方向に回転しようとする。

【0130】ここで、プラネタリキャリア18がサンギヤ17と同一回転方向に回転しようとしたときは、油圧ブレーキ34によるブレーキ板33に対する停止力の作用状態にかかわらずワンウェイクラッチ30の作用によりプラネタリキャリア18はサンギヤ17と同一回転方向にフリーな状態で回転するようになる。

【0131】さて、サンギヤ17の回転数がエンジン14の回転数であるN1(rpm )、エンジン14のトルクが回転数にかかわらずT1 (N・m)、プラネタリキャリア18の停止状態における遊星歯車16の減速比をR0とすると、リングギヤ21の回転数は、プラネタリキャリア18の停止状態ではサンギヤ17の回転数をプラネタリキャリア18の停止状態における遊星歯車16の減速比で除したN1/R0(rpm )となる。また、プラネタリキャリア18がサンギヤ17の回転数よりも小さな回転数で回転している状態では、リングギヤ21の回転数は、発明の概要で説明したように、プラネタリキャリア18の回転数と、サンギヤ17の回転数からプラネタリキャリア18を回転数を減算した値をプラネタリキャリア18の停止状態における遊星歯車16の減速比R0で除した回転数とを加算した値となる。そして、プラネタリキャリア18がサンギヤ17と一体になって回転した状態では、リングギヤ21の回転数は、サンギヤ17の回転数と同一のN1(rpm )となる。

【0132】この関係式を数式で表すと、N2=N3+(N1−N3)/R0と表すことができる。

【0133】図3は、サンギヤ17(エンジン14)の回転数がN1(一定)の場合におけるプラネタリキャリア18の回転数とリングギヤ21(車速)との関係を示している。

【0134】また、遊星歯車16の減速比RはN1/N2で求めることができるから、R=N1/N2=N1/(N3+(N1−N3)/R0)

=N1・R0/(N3・R0+N1−N3)

=N1・R0/((R0−1)・N3+N1)

となる。

【0135】即ち、遊星歯車16の減速比Rは、サンギヤ17(エンジン14)の回転数N1にプラネタリキャリア18の停止状態における減速比R0を掛合わした値を、減速比R0から1を減算した値にプラネタリキャリア18の回転数N3を掛合わした値とサンギヤ17の回転数N1とを加算した値で除した値とる。このことは、遊星歯車16の減速比Rは、サンギヤ17の回転数N1が一定という条件では、プラネタリキャリア18の回転数N3が大きくなるに従って回転数N3の逆数で小さくなるという関係を意味している。

【0136】図4は、サンギヤ17の回転数がN1(一定)の場合におけるプラネタリキャリア18の回転数と遊星歯車16の減速比Rとの関係を示している。

【0137】また、リングギヤ21の回転力T2はT1・R(T1はサンギヤ17の回転力(エンジン14のトルク))で求めることができるから、T2=T1・N1・R0/((R0−1)・N3+N1)

と表すことができる。

【0138】図5は、サンギヤ17(エンジン14)の回転数がN1(一定)の場合におけるプラネタリキャリア18の回転数N3とリングギヤ21の回転力T2(駆動輪の駆動力)との関係を示している。但し、サンギヤ17の回転力T1はサンギヤ17の回転数にかかわらず一定とする。つまり、エンジン14のトルクはエンジン14の回転数にかかわらず一定とする。

【0139】要するに、エンジン14の回転数及びトルクが一定という条件では、プラネタリキャリア18の回転数が上昇するに従って車速が上昇すると同時に駆動輪の駆動力が低下する関係となる。

【0140】ところで、車両の走行抵抗は、ころがり抵抗と空気抵抗と勾配抵抗との合計である。ここで、ころがり抵抗は、走行速度に関係なく車両重量に比例する。また、空気抵抗は、走行速度の2乗に比例する。また、勾配抵抗は、勾配と車両重量に比例する。従って、空気抵抗を無視すると、車両が平坦地を走行する場合は、走行抵抗は車両の速度にかかわらず一定とみなすことができる。

【0141】この場合、発明の概要で説明したように、駆動輪の駆動力が走行抵抗を上回っている状態では(図6中に示す斜線領域A)、プラネタリキャリア18にはサンギヤ17と同一回転方向への回転力を高めようとする力が作用しているので、プラネタリキャリア18の回転数が上昇し、それに伴って車速は上昇すると同時に駆動輪の駆動力は低下する。また、駆動輪の駆動力が走行抵抗を下回っている状態では(図6中に示す斜線領域B)、プラネタリキャリア18にはサンギヤ17と反対回転方向への回転力を高めようとする力が作用しているので、プラネタリキャリア18の回転数が低下し、それに伴って車速は低下すると同時に駆動輪の駆動力が増大する。このような制御が自動的に行われる結果、駆動力特性線と走行抵抗特性線とが交差した均衡状態となるように車速が自動調整されるようになる。尚、図6中に示すTxは、走行抵抗と均衡するリングギヤ21の回転力を示している。

【0142】ところで、上記走行抵抗特性線は車両の走行状態に応じて変化する。即ち、車両が平坦地から上り坂を走行するようになって車両の走行抵抗が大きくなった場合は、走行抵抗特性線は図6に示す均衡状態から図7に示すように車両の走行可能速度全域にわたって上方に移動する(走行抵抗と均衡するリングギヤ21の回転力はTx´に上昇)。これにより、エンジン14の回転数が一定という条件では、駆動輪の駆動力(駆動力と対応するリングギヤ21の回転力はTx)が現在の車速を維持するのに必要な駆動力(駆動力と対応するリングギヤ21の回転力はTx´)よりも小さくなる。このように駆動輪の駆動力と走行抵抗との均衡状態で走行抵抗が大きくなった場合には、プラネタリキャリア18に作用しているサンギヤ17と反対回転方向への回転力が増大する状態となるので(サンギヤ17と同一回転方向への回転力は変化なし)、プラネタリキャリア18の回転数が低下し、サンギヤ17とプラネタリキャリア18との回転数差が大きくなる。この場合、遊星歯車16の減速比は、サンギヤ17とプラネタリキャリア18との回転数差が大きくなる程大きくなるので、プラネタリキャリア18の回転数が低下した分だけ遊星歯車16の減速比が上昇して駆動輪の回転数が低下する。この結果、走行抵抗の増加に応じて車速は低下するものの、それに伴って駆動輪の駆動力が増大するので、駆動力特性線と走行抵抗特性線とが交差するまで車速が低下したところで車速が安定する(プラネタリキャリア18の回転数はNxからNx´に低下)。つまり、エンジン14の回転数が一定の状態で走行抵抗が大きくなって車速が低下したときは、自動的にシフトダウンが行われることになる。

【0143】また、車両が上り坂から平坦地を走行するようになり車両の走行抵抗が小さくなった場合は、走行抵抗特性線は図6に示す均衡状態から図8に示すように車両の走行可能速度全域にわたって下方に移動する(走行抵抗と均衡するリングギヤ21の回転力はTx´に低下)。これにより、エンジン14の回転数が一定という条件では、駆動輪の駆動力(駆動力と対応するリングギヤ21の回転力はTx)が現在の車速を維持するのに必要な駆動力(駆動力と対応するリングギヤ21の回転力はTx´)よりも大きくなる。このように駆動輪の駆動力と走行抵抗との均衡状態で走行抵抗が小さくなった場合には、プラネタリキャリア18に作用しているサンギヤ17と同一回転方向への回転力が増大した状態となるので(サンギヤ17と同一回転方向への回転力は変化なし)、プラネタリキャリア18の回転数が上昇し、サンギヤ17とプラネタリキャリア18との回転数差が小さくなる。この場合、遊星歯車16の減速比は、サンギヤ17とプラネタリキャリア18との回転数差が小さくなる程小さくなるので、プラネタリキャリア18の回転数が上昇した分だけ遊星歯車16の減速比が低下して車速が上昇する。この結果、走行抵抗の減少に応じて車速は上昇するものの、それに伴って駆動輪の駆動力が低下するので、駆動力特性線と走行抵抗特性線とが交差するまで車速が上昇したところで車速が安定する(プラネタリキャリア18の回転数はNxからNx´に上昇)。つまり、エンジン14の回転数が一定の状態で走行抵抗が小さくなって車速が上昇したときは、自動的にシフトアップが行われることになる。

【0144】以上のような動作の結果、駆動輪の駆動力と走行抵抗との均衡状態で走行抵抗が大きくなると、駆動輪は回転数が低下すると同時に駆動力が増大し、走行抵抗が小さくなると、駆動輪は回転数が上昇すると同時に駆動力が低下するので、走行抵抗が変動するにしても、駆動輪は駆動力が走行抵抗の大きさと均衡するような回転数に自動調整されることになる。

【0145】一方、上記駆動力特性線はエンジン14の回転数に応じて変化する。即ち、エンジン14の回転数が低下してサンギヤ17の回転数がN1からN1´に低下した場合は、駆動力特性線は図6に示す均衡状態から図9に示すように車両の走行可能速度全域にわたって下方に移動する(駆動力と対応するリングギヤ21の回転力はTx´に低下)。これにより、走行抵抗が一定という条件では、駆動輪の駆動力(駆動力と対応するリングギヤ21の回転力はTx´)が現在の車速を維持するのに必要な駆動力(駆動力と対応するリングギヤ21の回転力はTx)よりも小さくなる。このように駆動輪の駆動力と走行抵抗との均衡状態でエンジン14の回転数が低下した場合には、プラネタリキャリア18に作用しているサンギヤ17と同一回転方向への回転力が低下する状態となるので(サンギヤ17と反対回転方向への回転力は変化なし)、プラネタリキャリア18の回転数が低下し、サンギヤ17とプラネタリキャリア18との回転数差が大きくなる。この場合、遊星歯車16の減速比は、サンギヤ17とプラネタリキャリア18との回転数差が大きくなる程大きくなるので、プラネタリキャリア18の回転数が低下した分だけ遊星歯車16の減速比が上昇して駆動輪の回転数が低下する。この結果、エンジン14の回転数の低下に応じて車速は低下するものの、それに伴って駆動輪の駆動力が増大するので、駆動力特性線と走行抵抗特性線とが交差するまで車速が低下したところで車速が安定する(プラネタリキャリア18の回転数はNxからNx´に低下)。つまり、走行抵抗が一定の状態でエンジン14の回転数が低下して車速が低下したときは、自動的にシフトダウンが行われることになる。

【0146】また、エンジン14の回転数が上昇してサンギヤ17の回転数がN1からN1´に上昇した場合は、駆動力特性線は図6に示す均衡状態から図10に示すように車両の走行可能速度全域にわたって上方に移動する(駆動力と対応するリングギヤ21の回転力はTx´に上昇)。これにより、走行抵抗が一定という条件では、駆動輪の駆動力(駆動力と対応するリングギヤ21の回転力はTx´)が現在の車速を維持するのに必要な駆動力(駆動力と対応するリングギヤ21の回転力はTx)よりも大きくなる。このように駆動輪の駆動力と走行抵抗との均衡状態でエンジン14の回転数が上昇した場合には、プラネタリキャリア18に作用しているサンギヤ17と同一回転方向への回転力が増大する状態となるので(サンギヤ17と反対回転方向への回転力は変化なし)、プラネタリキャリア18の回転数が上昇し、サンギヤ17とプラネタリキャリア18との回転数差が小さくなる。この場合、遊星歯車16の減速比は、サンギヤ17とプラネタリキャリア18との回転数差が小さくなる程小さくなるので、プラネタリキャリア18の回転数が上昇した分だけ遊星歯車16の減速比が低下して駆動輪の回転数が上昇する。この結果、エンジン14の回転数の上昇に応じて車速は上昇するものの、それに伴って駆動輪の駆動力が低下するので、駆動力特性線と走行抵抗特性線とが交差するまで車速が上昇したところで車速が安定する(プラネタリキャリア18の回転数はNxからNx´に上昇)。つまり、走行抵抗が一定の状態でエンジン14の回転数が上昇して車速が上昇したときは、自動的にシフトアップが行われることになる。

【0147】以上のような動作の結果、駆動輪の駆動力と走行抵抗との均衡状態でエンジン14の回転数が低下すると、駆動輪は回転数が低下すると同時に駆動力が増大し、エンジン14の回転数が上昇すると、駆動輪は回転数が上昇すると同時に駆動力が低下するので、エンジン14の回転数が変動するにしても、駆動輪は駆動力が走行抵抗と均衡するような回転数に自動調整されることになる。

【0148】尚、エンジン14としてトルクが大きなものを用いた場合は駆動力特性線が上方に移動するので、同一速度を維持するのに必要とするエンジン14の回転数は小さくなる。また、エンジン14としてトルクが小さなものを用いた場合は駆動力特性線が下方に移動するので、同一速度を維持するのに必要とするエンジン14の回転数は大きくなる。

【0149】以上説明したように、ダブルピニオン式の遊星歯車16を用いた本実施の形態によれば、エンジン14のトルクが回転数にかかわらず一定という条件では、駆動輪の駆動力が走行抵抗と均衡するような車速に自動調整されることになる。

【0150】要するに、サンギヤ17は従来の車両用自動変速装置に用いられるトルクコンバータのポンプインペラに相当し、リングギヤ21はタービンランナに相当し、ピニオンギヤ20はステータに相当する。この場合、サンギヤ17の回転がピニオンギヤ20を介してリングギヤ21に伝達される際の伝達損失は歯車の伝達損失だけであり、トルクコンバータのようなスリップ損失が発生することはないので、理想的には遊星歯車16による回転力の変換効率は100%である。また、遊星歯車16の減速比はサンギヤ17の歯数とリングギヤ21の歯数とに比率により決定されるので、トルクコンバータよりも大きな減速比を得ることができる。

【0151】尚、車両を加速するためにアクセルを大きく踏込んだときは、駆動輪には大きな負荷が作用し、ピニオンギヤ20がリングギヤ21から受ける反発力が極めて大きくなるので、プラネタリキャリア18にはサンギヤ17と反対回転方向への大きな回転力が作用する。このため、プラネタリキャリア18の回転数が急激に低下してリングギヤ21ひいては駆動輪の回転数が低下して車速が低下するように思われるものの、アクセル操作と同時にエンジン14ひいてはサンギヤ17の回転数が上昇し、それに伴ってリングギヤ21が回転数が上昇するので、アクセル操作により車両を加速させることができる。

【0152】さて、アクセルを戻してエンジン14をアイドリング状態としたときは、リングギヤ21の回転数がサンギヤ17の回転数よりも上回るようになるので、今度は現在の減速比(平坦地を定速度で走行中のときは1に近い)の逆数でもってリングギヤ21の回転によりサンギヤ17ひいてはエンジン14を回転することになる。つまり、車両の慣性力によりアイドリング状態のエンジン14を回転させることになり、リングギヤ21にはエンジン14が負荷として作用するようになるので、エンジンブレーキにより車両に制動力を作用させることができる。ここで、エンジン14がアイドリング状態となった直後においては、リングギヤ21からピニオンギヤ20を介してサンギヤ17に対する減速比は1に近いことから、エンジンブレーキによる制動力は小さいものの、リングギヤ21にエンジン14が負荷として作用した状態では、ピニオンギヤ20がサンギヤ17から大きな反発力を受ける。この結果、プラネタリキャリア18の回転数が急激に低下し、遊星歯車16の減速比が急激に大きくなるので、エンジンブレーキにより大きな制動力を得ることができる。この場合、エンジンブレーキによる制動力が作用する場合は、シフトダウンが連続的に行われることに相当するので、車速を円滑に低下させることができる。

【0153】一方、車両の停止状態でシフトレバーをリバースポジションに操作したときは、前後進切換装置22のスリーブ23が矢印A方向と反対方向に移動するので、リングギヤ21が奇数枚の歯車24〜28を介して出力用シャフト15ひいては駆動輪と連結される。

【0154】そして、アクセル操作によりエンジン14の回転数を上昇させると、プラネタリキャリア18がサンギヤ17と反対回転方向に回転する回転数が上昇するので、油圧ブレーキ34によるブレーキ板33に対する停止力が増大してブレーキ用シャフト29ひいてはプラネタリキャリア18が停止するようになる。これにより、サンギヤ17の回転をリングギヤ21ひいては駆動輪に伝達することができるので、車両を後進させることができる。また、車両を前進させる場合と同様にして、駆動輪は駆動力が走行抵抗とが均衡するような回転数に自動調整される。

【0155】このような実施の形態によれば、ダブルピニオン式の遊星歯車16において、サンギヤ17を入力用に設定し、リングギヤ21を出力用に設定すると共に、プラネタリキャリア18を回動自在に設け、サンギヤ17とプラネタリキャリア18との回転数差が大きくなる程遊星歯車16の減速比が大きなるようにしたので、リングギヤ21は回転数が上昇すると同時に回転力が小さくなるという関係、つまり駆動輪は車速が上昇すると同時に駆動力が小さくなるという関係となる。従って、駆動輪の駆動力が車両の走行抵抗と均衡するような車速に自動調整されるので、従来の自動変速装置と違って、エンジン14の回転を最大効率で駆動輪に伝達することができ、エンジン14の燃費を大幅に向上することができる。

【0156】また、遊星歯車16の減速比は滑らかに可変するので、変速時のショックが全くなく、車両を滑らかに加速させたり、減速させることができる。また、基本構成はダブルピニオン式の遊星歯車16であることから、エンジン14の回転が減速されて出力されるまでに要する歯車の枚数が従来の自動変速装置に比較して大幅に少なく、伝達損失が極めて小さいと共に耐久性に優れていると共に、従来のCVTと違って、出力の大きなエンジンにも用いることができる。

【0157】また、遊星歯車16の減速比を大きく設定した場合は、小さなトルクのエンジンでも大きな回転力を得ることができるので、大形の車両であっても小さなエンジンを使用することが可能となる。

【0158】また、プラネタリキャリア18は回動自在に設けられているので、サンギヤ17或いはリングギヤ21の回転変動はプラネタリキャリア18が回動することにより吸収することができ、エンジン14のトルク変動或いは走行抵抗の変動による車両の不快な振動を防止することができる。

【0159】しかも、以上のような優れた効果を発揮する構成は、従来の自動変速装置に使用されているダブルピニオン式の遊星歯車16を利用して容易に実施することができるので、コストを大幅に低減することができる。また、自動変速装置11の大幅な小形化及び軽量化を図ることができるので、自動変速装置11の配置スペースの削減により車室の拡大を図ることができると共に車両重量を低減して燃費の向上に寄与することができる。

【0160】また、ダブルピニオンの2つのピニオンギヤ20を遊星歯車の半径方向に対して傾けて設けるようにしたので、ピニオンギヤ20を半径方向に設ける構成に比較して、自動変速装置11の小形化を図ることができる。

【0161】また、シフトレバーに対する操作に応じて手動或いはアクチュエータにより前後進切換装置22を切換えるようにしたので、従来用いられていた自動変速装置制御用の油圧ポンプを用いることなく実施することができ、エンジン14の出力低下を防止することができると共に、車両が故障した際は車両を支障なく牽引することができる。

【0162】また、車両を加速するためにアクセルを踏込んだときはシフトダウンが自動的に行われる結果、リングギヤ21に作用する負荷がエンジン14に直接作用せず、エンジン14がアクセル操作量に応じた回転数に上昇してから、駆動輪の駆動力と走行抵抗とが均衡するような車速まで上昇するので、アクセルレスポンスに優れた自動変速装置を実現することができる。このことは、エンジン14を高回転に維持した状態で車両を加速することが可能であることを意味しているので、高回転タイプのエンジンを使用することができる。また、アクセルを踏込んだときにエンジン14に大きな負荷が直接作用しないことから、エンジン14の燃焼状態が悪化して排気ガスが極端に汚れてしまうこともないと共に、エンジン14の耐久性が低下してしまうこともない。さらに、近年、実用に供されているリーンバーンエンジン或いは筒内直接噴射エンジンの自動変速装置として適用した場合には、負荷が小さな場合の制御であるリーンバーン領域を多用することが可能となるので、燃費の大幅な向上を図ることができる。加えて、今後発売が予定されている燃料電池車の自動変速装置として適用した場合にも燃料消費を抑制することが期待できる。

【0163】また、サンギヤ17と反対回転方向に回転するプラネタリキャリア18に停止力を作用させることによりクラッチ手段を実現するようにしたので、遊星歯車16の構成要素を利用してクラッチ手段を構成することができ、クラッチ手段としてトルクコンバータを使用する従来の自動変速装置に比較して、全体構成を大幅に簡単化且つ小形化することができる。しかも、プラネタリキャリア18自身の回転を利用して油圧ポンプ32を駆動することによりプラネタリキャリア18に対して停止力を作用させる構成であるので、プラネタリキャリア18に対する停止力を得るためにエンジン14の出力を利用して油圧ポンプ32を駆動する構成に比較して、エンジン14の出力が低下してしまうことを防止できる。また、車両の走行状態では、サンギヤ17の回転はリングギヤ21に最大効率で伝達されるので、トルクコンバータを用いた構成に比較して、エンジン14の燃費を大幅に向上することができる。

【0164】また、ブレーキ板33及び油圧ブレーキ34は筐体12の外部に設けられているので、クラッチ手段の保守点検或いは交換が容易である。さらに、駆動輪がスリップしたときは、駆動輪に作用する負荷の低下に伴って遊星歯車16の減速比が急激に低下し、駆動輪の駆動力が急激に低下するので、駆動輪のグリップ力が回復してスリップ状態を自動的に解消することが期待できる。また、エンジンブレーキにより車両に制動力が作用するときは遊星歯車16の減速比が円滑に上昇するので、雪道のように滑り易い路面でも車両を安全に減速することができる。

【0165】尚、トルクコンバータのようにクリープ現象を得たい場合は、エンジン14のアイドリング状態で油圧ブレーキ34によりブレーキ板33に対して停止力を僅かに作用させるようにしてもよい。また、油圧ブレーキ34とは別にブレーキ板33に停止力を与える手段、例えば磁石或いは発電機により停止力を作用させるようにしてもよい。この場合、ブレーキ板33に停止力を作用させる手段として発電機を利用したときは、発電機によりバッテリを充電することによりバッテリの放電を抑制することができる。また、発電機の負荷を制御することによりブレーキ板33に対する停止力を制御するように構成したときは、クラッチ手段を実現しながら、クリープ現象による車速を調整することができる。このような構成はハイブリッド車に有効であり、発電機を補助動力源として活用することができる。

【0166】このような本実施の形態は、エンジン14を回転源とする車両、例えば一般の乗用車に限らず、オートバイ、スクータ、ディーゼル機関車、電車、或いはバス、トラックなどのような大型車両、さらには戦車のように車両重量が大きくて発進時の負荷が大きい場合に有効である。また、発進時の負荷が極めて大きい場合は、プラネタリキャリア18に停止力を作用させるブレーキ手段を複数設けることが有効である。

【0167】尚、プラネタリキャリア18に停止力を作用させる手段としては、油圧ブレーキ34に代えて、ドラムブレーキを使用するようにしてもよい。また、クラッチ手段としてはトルクコンバータ或いはフルードカップリングを用いるようにしてもよい。この場合には、本構成の自動変速装置11としてはクラッチ手段は不要となるので、プラネタリキャリア18がサンギヤ17と反対回転方向に回転してしまうことを規制するための手段、例えばワンウェイクラッチを用いる必要がある。また、トルクコンバータを用いた場合は、車両の走行状態でトルクコンバータを常時ロックアップすることが可能となるので、燃費の向上を図ることができる。また、前後進切換装置22に代えて、従来の自動変速装置に用いられている遊星歯車及び多板式クラッチを利用した周知構成を用いるようにしてもよい。

【0168】また、シフトポジションが走行ポジションに操作された状態でリングギヤ21を前後進切換装置22に連結する連結装置を設けるようにしてもよい。この連結装置は、リングギヤ21の回転をワンウェイクラッチを介して前後進切換装置22に伝達するもので、車速が例えば20Km/h未満若しくは80Km/h以上ではリングギヤ21の回転をワンウェイクラッチを介して前後進切換装置22に伝達すると共に、20Km/h以上80Km/h未満ではリングギヤ21の回転を前後進切換装置22に直接的に伝達するようになっている。これは、車両が低速走行時で減速比が大きな場合は、アクセルを戻したときに大きなエンジンブレーキによる制動力が作用して車両を円滑に走行させることができないと共に、車両が高速走行している場合にアクセルを戻したときは、エンジンブレーキによる制動力が作用することにより車速が低下してしまって燃費が悪化するからである。この場合、このような構成の連結装置を運転者によるスイッチ操作により作動させるようにしてもよい。

【0169】また、自動変速装置11からの出力を周知のオーバードライブ機構を介して出力するようにしてもよい。この場合、オーバードライブ機構を運転者によるスイッチ操作により作動させるようにしてもよい。

【0170】また、サンギヤ17の回転数の上昇に従って油圧ブレーキ34によるブレーキ板33に対する停止力を増大させるようにしてもよい。つまり、サンギヤ17の回転数が大きいときはサンギヤ17を停止するのに要する停止力も大きいので、ブレーキ板33に対する停止力を増大するにしてもブレーキ板33が完全に停止することはなく、クラッチ手段として機能させることができるからである。

【0171】尚、本実施の形態における遊星歯車16の減速比がプラネタリキャリア18の回転状態にかかわらず常に1となるように構成した場合は、遊星歯車16は単なるクラッチ手段として機能することに注目すべきである。つまり、リングギヤ21の回転数を求める数式N2=N3+(N1−N3)/R0において、R0=1とすると、N2=N1となり、プラネタリキャリア18の回転数にかかわらずリングギヤ21の回転数はサンギヤ17の回転数と同一となる。このことは、ブレーキ手段によりクラッチ手段を実現できることを意味している。

【0172】(第2の実施の形態)次に、本発明を車両用自動変速装置に適用した第2の実施の形態を図12を参照して説明するに、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この第2の実施の形態は、第1の実施の形態において、プラネタリキャリアの回転数を制御する機能を付加したことを特徴とする。

【0173】自動変速装置の断面を概略的に示す図12において、自動変速装置41にはプラネタリキャリア18に対して停止力を付与する手段と、プラネタリキャリア18をサンギヤ17と一体化させる力を付与する手段とが設けられており、何れの手段を作動させるかによってプラネタリキャリア18の回転数を制御するようになっている。

【0174】即ち、サンギヤ17が設けられた入力用シャフト13には副サンギヤ42が一体に設けられていると共に、その副サンギヤ42とサンギヤ17との間に歯車43が回動自在に支持されている。この歯車43には複数のシャフト44が回動可能に支持されていると共に、そのシャフト44の両端に歯車45,46が装着されている。一方の歯車45は副サンギヤ42と噛合い、他方の歯車46はプラネタリキャリア18と一体に設けられた歯車47と噛合っている。この場合、副サンギヤ42及び歯車45,46,47の歯数は同一に設定されている。

【0175】一方、筐体12には入力用シャフト13と平行に第1のブレーキ用シャフト48及び第2のブレーキ用シャフト49が回動可能に支持されている。第1のブレーキ用シャフト48において筐体12の内部に位置する端部には歯車50が一体に設けられており、その歯車50がプラネタリキャリア18と噛合っていると共に、第1のブレーキ用シャフト48において筐体12の外部に位置する端部にはブレーキ板51が一体に設けられている。また、第2のブレーキ用シャフト49において筐体12の内部に位置する端部には歯車52が一体に設けられており、その歯車52が歯車43と噛合っていると共に、第2のブレーキ用シャフト49において筐体12の外部に位置する端部にはブレーキ板53が一体に設けられている。

【0176】ブレーキ板51,53は油圧ブレーキ54,55により停止力がそれぞれ与えられるようになっており、これらの油圧ブレーキ54,55は制御装置56により駆動されるようになっている。この制御装置56は、モード切換スイッチ57によりノーマルモード、スポーツモード、エコノミーモード、マニュアルモード、スノーモードが設定されるようになっており、各モードに応じて油圧ブレーキ54,55に対する駆動を制御するようになっている。

【0177】即ち、制御装置56は、モード切換スイッチ57によりノーマルモードが設定されている場合は、油圧ブレーキ54,55を駆動することはない。これにより、歯車43及びプラネタリキャリア18に停止力が作用することはない。この場合、副サンギヤ42は、歯車43に回動可能に支持されたシャフト44に設けられた歯車45,46、プラネタリキャリア18に一体に設けられた歯車47を介してプラネタリキャリア18に連結されているものの、歯車43はフリーな状態で回転するので、エンジン14の回転に伴って副サンギヤ42が回転するにもかかわらず副サンギヤ42の回転がプラネタリキャリア18に伝達されることはない。従って、プラネタリキャリア18はフリーな状態で回転するので、ノーマルモードを設定した場合は、第1の実施の形態と同一の作用となり、遊星歯車16によりエンジン14の回転を最大効率で駆動輪に伝達することができる。

【0178】また、制御装置56は、モード切換スイッチ57によりスポーツモードが設定されている場合は、油圧ブレーキ54を駆動することによりブレーキ板51ひいてはプラネタリキャリア18に所定の停止力を与える。この場合、プラネタリキャリア18に対する所定の停止力はプラネタリキャリア18を完全に停止させるものではなく、上述したノーマルモードの場合の回転数よりも低めとなるようにプラネタリキャリア18の回転数を制御するものである。これにより、遊星歯車16の減速比がノーマルモードの場合に比較して大きくなるので、駆動輪の駆動力を高めて大きな加速力を得ることができる。

【0179】また、制御装置56は、モード切換スイッチ57によりエコノミモードが設定されている場合は、油圧ブレーキ55を駆動することによりブレーキ板53ひいては歯車43に所定の停止力を与える。このとき、歯車43に停止力が作用するのに応じて副サンギヤ42の回転が歯車45,46、47を介してプラネタリキャリア18に伝達されるようになるので、プラネタリキャリア18にはサンギヤ17と一体化する力が作用するようになり、プラネタリキャリア18はフリーな状態で回転する場合に比較して回転数が高くなる。この場合、歯車43に対する所定の停止力は、プラネタリキャリア18をサンギヤ17と完全に一体化させるものではなく、上述したノーマルモードの場合の回転数よりも高めとなるようにプラネタリキャリア18の回転数を制御するものである。従って、遊星歯車16の減速比がノーマルモードの場合に比較して小さくなるので、駆動輪の駆動力が低下して加速力は低下するものの、エンジン14の回転数を低めに維持させながら車速を上昇させることができ、エンジン14の燃料消費を低減することができる。

【0180】尚、上述したスポーツモード及びエコノミモードは車両を加速させる際の動作であり、車両が定速で走行する場合はノーマルモードが設定されるようになっている。これは、定速走行時はノーマルモードでの走行状態において遊星歯車16の変換効率が最も高いからである。

【0181】また、制御装置56は、モード切換スイッチ57によりマニュアルモードが設定されている場合は、現在のサンギヤ17とプラネタリキャリア18との回転数差に基づいて遊星歯車16の現在の減速比を求め、その減速比を維持するように現在のサンギヤ17の回転数に基づいてプラネタリキャリア18の回転数を制御する。または、予め設定された複数の減速比のなかから現在の減速比に最も近い減速比となるように現在のサンギヤ17の回転数に基づいてプラネタリキャリア18の回転数を制御する。つまり、制御装置56は、第1の実施の形態で説明した減速比Rを求める数式R=N1・R0/((R0−1)・N3+N1)にサンギヤ17の現在の回転数を代入することにより演算される減速比が所定値となるようにプラネタリキャリア18の回転数を制御するのである。

【0182】そして、シフトアップスイッチ58が操作されたときは、遊星歯車16の現在の減速比から1段階小さな減速比となるようにプラネタリキャリア18の回転数を制御する。また、シフトダウンスイッチ59が操作されたときは、現在の減速比から1段階大きな減速比となるようにプラネタリキャリア18の回転数を制御する。従って、マニュアルモードにおいてはシフトアップスイッチ58及びシフトダウンスイッチ59に対する操作によりスポーツ走行を楽しむことができる。

【0183】尚、シフトアップスイッチ58及びシフトダウンスイッチ59に対する操作を行っている間は連続的に油圧ブレーキ54,55を駆動してブレーキ板51,53に停止力を作用させることにより、プラネタリキャリア18の回転数を連続的に上昇或いは低下させることにより遊星歯車16の減速比を連続的に変化させるようにしてもよい。

【0184】また、制御装置56は、モード切換スイッチ57によりスノーモードが設定されている場合は、車両の発進時に油圧ブレーキ55によりブレーキ板53ひいては歯車43に所定の停止力を作用させる。これにより、プラネタリキャリア18にサンギヤ17と一体化させる力が作用し、車両の発進時における遊星歯車16の減速比がノーマルモードの減速比よりも小さくなるので、発進時の駆動輪の駆動力が通常よりも小さくなり、駆動輪がスリップすることなく車両を発進させることができる。

【0185】また、制御装置56は、フットブレーキ60が足踏操作されたときは、その操作量に比例して油圧ブレーキ54によるブレーキ板51ひいてはプラネタリキャリア18に対する停止力を増大するようになっている。これにより、プラネタリキャリア18には通常のエンジンブレーキの際の停止力に比較して大きな停止力が作用するようになるので、遊星歯車16の減速比が急激に大きくなり、車両には大きなエンジンブレーキによる制動力が作用するようになる。このような構成は、バス或いはトラックのように車両の重量が大きくエンジンブレーキによる制動力が小さい場合に有効である。この場合、エンジンブレーキが過大でエンジン14の回転数が過度に上昇してオーバレブするようなときは、プラネタリキャリア18に対する停止力を弱めることによりエンジン14が許容回転数を上回らないように制御することが重要である。

【0186】このような実施の形態によれば、マニュアルモードを設定した場合は、シフトアップスイッチ58及びシフトダウンスイッチ59に対する操作により減速比を任意に切換えることができるので、マニュアル操作によりスポーツ走行を楽しむことができる。

【0187】また、油圧ブレーキ54,55に対する駆動によりプラネタリキャリア18の回転数を制御する構成であるので、ブレーキ手段という簡単な構成で実施することができる。

【0188】また、プラネタリキャリア18の回転数を制御するためのブレーキ手段を筐体12の外部に構成しているので、筐体12の内部に設ける構成に比較して、ブレーキ手段の保守点検或いは交換が容易となる。

【0189】尚、プラネタリキャリア18に停止力を作用させる構成及びプラネタリキャリア18にサンギヤ17との一体力を作用させる構成としては、既存の自動変速装置と同様に、湿式多板クラッチ或いはベルト式ブレーキを用いるようにしてもよい。

【0190】この第2の実施の形態で注目する点は、プラネタリキャリア18の回転数を検出できる結果、サンギヤ17の回転数(エンジン14の回転数)からプラネタリキャリア18の回転数を減算した回転数に基づいて負荷の大きさを判断し、負荷の大きさに応じて各種制御が可能となる。その一例としては、負荷の大きさに応じてリーンバーンエンジン或いは筒内直噴エンジンのリーンバーン制御を最適に行うことができ、燃料消費の向上を図ることができる。

【0191】また、ブレーキペダルに対する足踏操作により駆動輪がロックしたときは、リングギヤ21が停止することに伴ってプラネタリキャリア18がサンギヤ17と反対回転方向に回転するようになるので、車両の走行状態でプラネタリキャリア18がサンギヤ17と反対回転方向に回転したときは、駆動輪に対するブレーキを解除することによりABS(Antilock Brake System )を実現することができる。また、駆動輪がスリップしたときは走行抵抗が急激に小さくなり、プラネタリキャリア18がサンギヤ17と同一回転方向に回転する回転数が通常よりも急激に上昇するので、そのことに基づいて駆動輪にブレーキを作用させることによりスリップ防止機能を実現できる。

【0192】(第3の実施の形態)次に本発明の第3の実施の形態を図13を参照して説明するに、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この第3の実施の形態は、ダブルピニオン式の遊星歯車と同様の機能を歯車の組合わせで実現したことを特徴とする。

【0193】自動変速装置の断面を概略的に示す図13において、自動変速装置61の筐体12に支持された入力用シャフト13には、入力用歯車62が一体に設けられていると共に歯車63及び出力用歯車64が回動可能に支持されている。歯車63には複数のシャフト65が回動可能に支持されており、そのシャフト65の両端に歯車66,67が装着されている。一方の歯車66は入力用歯車62と噛合い、他方の歯車67は出力用歯車64と噛合っている。この出力用歯車64には前後進切換装置22が接続されている。この場合、入力用歯車62の歯数<歯車66の歯数、歯車67の歯数<出力用歯車64の歯数に設定されている。

【0194】さて、車両の停止状態では出力用歯車64には車両の静止抵抗が作用しているので、エンジン14の回転状態でシフトレバーをドライブポジションに切換えたときは、入力用歯車62が回転するにもかかわらず出力用歯車64は停止している。これにより、歯車67が出力用歯車64から大きな反発力を受けるようになるので、歯車63が入力用歯車62と反対回転方向に回転し、それに伴ってブレーキ用歯車31ひいてはブレーキ板33が回転するようになる。

【0195】そして、アクセル操作によりエンジン14の回転数が上昇すると、油圧ポンプ32の油圧が上昇し、油圧ブレーキ34によるブレーキ板33に対する停止力が増大するようになるので、歯車63の停止するようなる。これにより、入力用歯車62の回転が歯車66及び歯車67を介して出力用歯車64に伝達されるようになり、車両が前進するようになる。そして、車速が上昇し、駆動輪の駆動力と車両の走行抵抗とが均衡したところで車速が安定する。

【0196】この場合、第1の実施の形態で説明した遊星歯車16のプラネタリキャリア18の停止状態における減速比に相当する減速比は、(歯車66の歯数/入力用歯車62の歯数)×(出力用歯車64の歯数/歯車67の歯数)となる。つまり、入力用歯車62がダブルピニオン式のサンギヤに相当し、歯車63がプラネタリキャリアに相当し、出力用歯車64がリングギヤに相当し、歯車66,67がピニオンギヤに相当する。

【0197】このような第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同一の作用効果を得ながら、遊星歯車16に比較して、大きな減速比を得ることができる。また、入力用シャフト13の半径方向に複数の歯車が位置する遊星歯車に比較して、自動変速装置61の外形寸法を小さく構成することが可能となる。

【0198】(第4の実施の形態)次に本発明を車両用自動変速装置に適用した第4の実施の形態を図14及び図15を参照して説明するに、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この第4の実施の形態は、制御装置によりプラネタリキャリアの回転を制御することによりクラッチ手段を実現したことを特徴とする。

【0199】自動変速装置の断面を概略的に示す図14において、自動変速装置71の基本構成はダブルピニオンギヤ式の遊星歯車16である。また、本実施の形態では、ブレーキ用歯車31はブレーキ用シャフト29に一体に設けられており、プラネタリキャリア18の回転方向にかかわらずブレーキ板33がプラネタリキャリア18の回転に伴って回転するようになっている。また、ブレーキ板33ひいてはプラネタリキャリア18の回転を検出する回転センサ72が設けられていると共に、油圧ブレーキ34によるブレーキ板33に対する停止力を制御する制御装置73が設けられている。

【0200】図15は制御装置73の動作を示すフローチャートである。この図15において、制御装置73は、エンジン14の回転状態でアクセル操作が行われているかを判断している(S1)。

【0201】さて、運転者がアクセル操作すると(S1:YES)、回転センサ72の検出結果に基づいてプラネタリキャリア18がサンギヤ17と反対回転方向に回転しているかを判定する(S2)。このとき、車両は停止しており、リングギヤ21は停止しているので、プラネタリキャリア18はサンギヤ17と反対回転方向に回転している。従って、制御装置73は、プラネタリキャリア18はサンギヤ17と反対回転方向に回転していることから(S2:YES)、プラネタリキャリア18の回転数に応じた停止力を油圧ブレーキ34によりブレーキ板33ひいてはプラネタリキャリア18に作用させる(S3)。従って、アクセル操作に伴ってエンジン14の回転数が上昇すると、制御装置73は、プラネタリキャリア18に対する停止力を増大するので、エンジン14の回転は駆動輪に伝達されて車両が前進するようになる。このとき、制御装置73は、プラネタリキャリア18に対する停止力によりプラネタリキャリア18の回転数が低下したときは、プラネタリキャリア18に対する停止力を低下させるので、プラネタリキャリア18が完全に停止してしまうことはない。このことは、制御装置73は、半クラッチ可能なクラッチ手段として機能していることを意味している。

【0202】そして、制御装置73は、車速が上昇したときは(S4:YES)、プラネタリキャリア18に対する停止力を弱め(S5)、プラネタリキャリア18がサンギヤ17と同一回転方向に回転したことを確認したときは(S6:YES)、プラネタリキャリア18に対する停止力を解除する(S7)。この結果、第1の実施の形態と同様に、プラネタリキャリア18の回転数の上昇に伴って車速が上昇し、駆動輪の駆動力と車両の走行抵抗とが均衡したところで車速が安定する。

【0203】ところで、車両が急な坂道を走行するようになったときは車速が低下し、ついにはプラネタリキャリア18がサンギヤ17と反対回転方向に回転するようになったときは、エンジン14の回転を駆動輪の有効に伝達することができなくなる。このような場合、制御装置73は、アクセルが操作されている状態で(S1:YES)、プラネタリキャリア18はサンギヤ17と反対回転方向に回転したきは(S2:YES)、プラネタリキャリア18の回転数の大きさに応じて油圧ブレーキ34によりブレーキ板33ひいてはプラネタリキャリア18に停止力を作用させるので(S3)、エンジン14の回転を駆動輪に有効に伝達して車速を上昇させることができる。

【0204】尚、図15には示していないが、制御装置73は、シフトダウン操作若しくはフットブレーキが操作されたときは、プラネタリキャリア18に停止力を作用させて回転数を低下させることにより、減速比を大きくしてエンジンブレーキによる制動力を増大させるようになっている。

【0205】このような実施の形態によれば、制御装置73によりプラネタリキャリア18の回転を制御するようにしたので、制御装置73によりクラッチ手段の実現と減速比の調整を行うことができる。

【0206】(第5の実施の形態)次に本発明をクラッチペダル付きの車両用自動変速装置に適用した第5の実施の形態を図16を参照して説明するに、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。

【0207】自動変速装置の断面を概略的に示す図16において、自動変速装置81の基本構成はダブルピニオンギヤ式の遊星歯車16である。また、本実施の形態では、クラッチペダル82の非操作状態においてはブレーキ板33は油圧ブレーキ34により停止されていると共に、クラッチペダル82に対する足踏み操作に応じて油圧ブレーキ34によるブレーキ板33に対する停止力が解除されるように構成されている。

【0208】さて、シフトレバーに対する操作によりニュートラルポジションに切換えた状態、或いはクラッチペダル82を足踏み操作した状態でエンジン14を始動すると共に、クラッチペダル82を足踏み操作した状態でシフトレバーに対する操作によりニュートラルポジションからドライブポジションに切換える。

【0209】この場合、車両が停止しており、リングギヤ21に作用する負荷が大きいことから、プラネタリキャリア18はサンギヤ17と反対回転方向に回転するので、ブレーキ用歯車31ひいてはブレーキ板33が回転するようになる。

【0210】そして、クラッチペダル82に対する足踏み操作を徐々に解除すると、油圧ブレーキ34によりブレーキ板33に停止力が作用するようになるので、エンジン14の回転が駆動輪に伝達されて車両が前進し、車輪の駆動力と走行抵抗とが均衡したところで車速が安定する。

【0211】また、クラッチペダル82を足踏み操作してシフトレバーに対する操作によりリバースポジションに切換えた状態で、クラッチペダル82に対する足踏み操作を解除することにより車両を後進させることができる。

【0212】このような実施の形態によれば、クラッチ操作により車両を発進させることができるので、クラッチ操作による車両の発進操作を楽しみながら、走行時においてはエンジン14の回転を最大効率で駆動輪に伝達することができる。

【0213】(第6の実施の形態)次に本発明を車両用自動変速装置に適用した第6の実施の形態を図17を参照して説明するに、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この第6の実施の形態は複数のエンジンの回転を合成するように構成したことを特徴とする。

【0214】例えば2つのエンジンの回転を同一の減速比で出力用シャフトに合成して伝達する場合、両方のエンジンの回転数を完全に一致させる必要がある。これは、エンジンの回転数が異なっている場合は、回転数の高いエンジンにとって回転数が低いエンジンが抵抗となり、エンジンの回転を駆動輪に有効に伝達することができないからである。

【0215】自動変速装置の断面を概略的に示す図17において、自動変速装置91の基本構成はダブルピニオン式の遊星歯車16である。また、本実施の形態では、遊星歯車16は並列に設けられていると共に、各遊星歯車16のリングギヤ21には歯車92が一体に設けられており、その歯車92の回転が歯車93により合成されて前後進切換装置22を介して出力用シャフト15ひいては駆動輪に伝達するように構成されている。

【0216】このような実施の形態によれば、各遊星歯車16は独立してエンジン14の回転を最大効率で駆動輪に伝達する最適減速比に自動調整されるので、両方のエンジン14の回転数が異なる場合であっても、回転数の低いエンジン14が回転数の高いエンジン14の抵抗となることはなく、エンジン14の回転を最大効率で合成して駆動輪に伝達することができる。従って、このような構成を採用すれば、2機の4気筒エンジンの回転を合成するように構成することにより8気筒エンジンを実現することができる。また、2機の6気筒エンジンの回転を合成するように構成することにより12気筒エンジンを実現することができる。さらに、3機の4気筒エンジンの回転を合成するように構成することにより12気筒エンジンを実現することができる。このことは、既存のエンジンを組合わせることにより多気筒エンジンを実現することができることを意味するものであり、高い機械精度或いは点火制御を必要とする多気筒エンジンを容易に実現することができ、開発コスト或いは製造コストを大幅に削減することができる。この場合、始動しているエンジン14に対応して設けられている自動変速装置の出力回転のみを駆動輪に伝達するように構成することにより、停止しているエンジンの影響を受けることなく始動しているエンジンのみでの走行が可能となる。また、このような構成は、異なる減速比の自動変速装置を組合わせたり、異なるトルク特性のエンジンを組合わせることも可能とするものであり、さらにはエンジンとモータとを組合わせたハイブリッド自動車、或いは複数のモータを組合わせた電気自動車、電車等を実現できるものである。また、人力とモータとを組合わせた電動アシスト自転車、さらには各種回転源の回転を合成するのにも有効である。

【0217】尚、主回転源の回転と補助回転源の回転とを合成して駆動輪に伝達する構成において、補助回転源の回転に対応した遊星歯車16のリングギヤ21の回転をワンウェイクラッチを介して駆動輪に伝達するように構成することにより、補助回転源の回転数が主回転源の回転数よりも低い場合でも主回転源の回転に影響を与えることはない。この場合、補助回転源がモータのときはブレーキ用シャフト29、ブレーキ用歯車31,油圧ポンプ32、ブレーキ板33、油圧ブレーキ34を設ける必要はなく、その代わりにプラネタリキャリア18がサンギヤ17と反対回転方向に回転することを規制するワンウェイクラッチを設ける必要がある。また、複数の遊星歯車16のリングギヤ21の回転をワンウェイクラッチを介して駆動輪に伝達することにより合成した場合は、エンジンブレーキのような回転源による制動力を得ることができないものの、互いの回転の影響を受けることなく簡単に回転を合成することができる。

【0218】また、共通の出力用シャフトに複数の遊星歯車のリングギヤの回転を伝達するのに代えて、特定の遊星歯車のリングギヤと接続された出力用シャフトに他の遊星歯車のリングギヤの回転を伝達するように構成してもよい。

【0219】(第7の実施の形態)次に本発明を電車の自動変速装置に適用した第7の実施の形態を図18を参照して説明するに、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。

【0220】自動変速装置の断面を概略的に示す図18において、自動変速装置101の基本構成は第1の実施の形態と同様にダブルピニオン式の遊星歯車16である。また、本実施の形態では、サンギヤ17は入力用シャフト13を介してモータ102と連結され、リングギヤ21は出力用シャフト15を介して電車の車輪と連結されている。また、プラネタリキャリア18は、ワンウェイクラッチ103を介して筐体12に支持されている。この場合、ワンウェイクラッチ103は、プラネタリキャリア18がモータ102の正回転方向と反対回転方向に回転することを規制している。

【0221】また、ブレーキ用歯車31はブレーキ用シャフト29に一体に設けられており、ブレーキ用歯車31において筐体12の外部に位置する部位にはロックギヤ104が一体に設けられていると共に、そのロックギヤ104をロックするためのロックアーム105が設けられている。このロックアーム105はロックギヤ104から離間しており、電車を前進させる場合はその離間状態でモータ102を正回転させる。また、ロックアーム105は図示しないアクチュエータの駆動に応じてロックギヤ104をロックするようになっており、電車を後進させる場合はそのロック状態でモータ102を逆回転させる。尚、本実施の形態では、第1の実施の形態で設けられていた前後進切換装置22は設けられていない。

【0222】さて、電車を前進させるためにモータ102を正回転すると、電車が停止していることから、リングギヤ21に作用する負荷が極めて大きく、ピニオンギヤ20がリングギヤ21から受ける反発力が大きいので、プラネタリキャリア18はモータ102の正回転方向と反対回転方向に回転しようする。このとき、プラネタリキャリア18はワンウェイクラッチ103によりモータ102の正回転方向と反対回転方向に回転することが規制されているので、プラネタリキャリア18は停止したままである。これにより、モータ102の回転がピニオンギヤ20を介してリングギヤ21に伝達されるので、リングギヤ21ひいては電車の車輪が回転して電車が前進する。

【0223】電車が前進し始めると、リングギヤ21に作用する負荷が低下し、ピニオンギヤ20がリングギヤ21から受ける反発力が低下するので、プラネタリキャリア18がサンギヤ17と同一回転方向に回転するようになる。この結果、遊星歯車16の減速比が低下するので、電車の速度が上昇し、車輪の駆動力と電車の走行抵抗とが均衡したところで電車の速度が安定する。

【0224】また、電車を後進させるときは図示しないアクチュエータを駆動することによりロックアーム105によりロックギヤ104をロックさせる。この状態でモータ102を逆回転すると、プラネタリキャリア18がモータ102の逆回転方向と反対回転方向(ワンウェイクラッチ103の回転可能方向)に回転しようとする。このとき、プラネタリキャリア18は、ロックアーム105によるロックギヤ104に対するロックにより回転することが規制されているので、モータ102の逆回転方向への回転はサンギヤ17からピニオンギヤ20を介してリングギヤ21に伝達され、電車は後進するようになる。この場合、プラネタリキャリア18は停止しているので、遊星歯車16の減速比は一定である。

【0225】このような実施の形態によれば、ベクトル制御のような複雑な回転制御を行うことなく単にモータ102を正回転するだけで電車を円滑に加速することができると共に円滑に減速することができる。また、モータ102の回転を車輪に最大効率で伝達することができるので、電力消費を低減することができる。

【0226】この場合、遊星歯車16の作用によりモータ102には大きな負荷が作用しないので、モータ102として小形のものを用いることが可能となると共に、モータ102が過負荷状態となってしまうことを防止できる。

【0227】また、ロックアーム105によりロックギヤ104をロックすることによりプラネタリキャリア18を停止するように構成したので、簡単な構成で電車を後進させることができる。このような実施の形態は、クラッチ手段を必要としない電気自動車にも適用することができる。

【0228】(第8の実施の形態)次に本発明を電車の自動変速装置に適用した第8の実施の形態を図19を参照して説明するに、第1の実施の形態及び第7の実施の形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この第8の実施の形態は、電車の走行方向にかかわらず自動的な無段変速を実現したことである。

【0229】自動変速装置の断面を概略的に示す図1において、自動変速装置111の基本構成は第1の実施の形態と同様にダブルピニオン式の遊星歯車16である。また、本実施の形態では、プラネタリキャリア18には1対のブレーキ用歯車31が噛合っており、そのブレーキ用歯車31がワンウェイクラッチ30を介してブレーキ用シャフト29と連結されている。この場合、一方のブレーキ用歯車31に装着されたワンウェイクラッチ30は、当該ワンウェイクラッチ30が設けられたブレーキ用シャフト29の停止状態でプラネタリキャリア18がモータ102の正回転方向と反対回転方向に回転することを規制するようになっている。また、他方のブレーキ用歯車31に装着されたワンウェイクラッチ30は、当該ワンウェイクラッチ30が設けられたブレーキ用シャフト29の停止状態でプラネタリキャリア18がモータ102の逆回転方向と反対回転方向に回転することを規制するようになっている。

【0230】また、各ブレーキ用シャフト29において筐体12の外部にはロックギヤ104が一体に設けられており、そのロックギヤ104はロックアーム105によりロックされるようになっている。この場合、電車を前進させる場合は、一方のブレーキ用シャフト29に設けられたロックギヤ104をロックアーム105によりロックした状態でモータ102を正回転させる。また、電車を後進させる場合は、他方のブレーキ用シャフト29に設けられたロックギヤ104をロックアーム105によりロックした状態でモータ102を逆回転させる。

【0231】さて、電車を前進させる場合は、一方のブレーキ用シャフト29に設けられたロックギヤ104をロックアーム105によりロックした状態でモータ102を正回転する。このとき、リングギヤ21に作用する負荷が極めて大きく、ピニオンギヤ20がリングギヤ21から受ける反発力が大きいので、プラネタリキャリア18はモータ102の正回転方向と反対回転方向に回転しようする。この場合、ブレーキ用シャフト29はロックされており、当該ブレーキ用シャフト29に設けられているワンウェイクラッチ30によりプラネタリキャリア18はサンギヤ17と反対回転方向に回転することが規制されているので、モータ102の回転がサンギヤ17からピニオンギヤ20を介してリングギヤ21に伝達され、車輪が回転して電車が前進する。

【0232】そして、電車が前進し始めると、リングギヤ21に作用する負荷が低下し、ピニオンギヤ20がリングギヤ21から受ける反発力が低下するので、プラネタリキャリア18がモータ102の正回転方向と同一回転方向に回転するようになる。この結果、遊星歯車16の減速比が低下し、電車の速度が上昇するので、車輪の駆動力と車両の走行抵抗とが均衡したところで電車の速度が安定する。

【0233】また、電車を後進させる場合は、他方のブレーキ用シャフト29に装着されたロックギヤ104をロックアーム105によりロックした状態でモータ102を逆回転することにより、前進の場合と同様にして、モータ102の回転を最大効率で車輪に伝達して電車を後進させることができる。

【0234】このような実施の形態によれば、ロックアーム105によりロックするロックギヤ104を選択することにより、前進は勿論、後進する際も、自動的な無段変速することが可能となり、電車を円滑に加速或いは減速することができると共に、モータ102の回転を最大効率で車輪に伝達することができる。このような実施の形態を電気自動車に適用した場合は、前進のみならず後進する際にも自動的な無段変速が可能となる。

【0235】(第9の実施の形態)次に本発明を電車の自動変速装置に適用した第9の実施の形態を図20を参照して説明するに、第7の実施の形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この第9の実施の形態は、電車の進行方向にかかわらず自動的な無段変速を何の制御も行うことなく実現したことを特徴とする。

【0236】自動変速装置の断面を概略的に示す図20において、自動変速装置121の基本構成は第1の実施の形態と同様にダブルピニオン式の遊星歯車16である。また、本実施の形態では、1対の遊星歯車16のサンギヤ17はワンウェイクラッチ(入力回転伝達手段に相当)122を介して入力用シャフト13に支持されている。この場合、一方の遊星歯車16に設けられたワンウェイクラッチ122は、モータ102が正回転したときに当該モータ102の回転をサンギヤ17に伝達し、他方の遊星歯車16に設けられたワンウェイクラッチ122は、モータ102が逆回転したときに当該モータ102の回転をサンギヤ17に伝達するようになっている。

【0237】また、各遊星歯車16のプラネタリキャリア18はワンウェイクラッチ123を介して筐体12に支持されている。この場合、一方の遊星歯車16に設けられたワンウェイクラッチ123はプラネタリキャリア18がモータ102の正回転方向と反対回転方向に回転することを規制し、他方の遊星歯車16に設けられたワンウェイクラッチ123はプラネタリキャリア18がモータ102の逆回転方向と反対回転方向に回転することを規制するようになっている。

【0238】また、筐体12の内部には入力用シャフト13と平行に出力用シャフト124が設けられていると共に、この出力用シャフト124にワンウェイクラッチ(出力回転伝達手段に相当)125を介して1対の出力用歯車126がそれぞれ支持されており、その出力用歯車126が各遊星歯車16のリングギヤ21とそれぞれ噛合っている。この場合、一方の遊星歯車16に対応して設けられたワンウェイクラッチ125は、一方の遊星歯車16のリングギヤ21がモータ102の正回転方向と同一回転方向に回転した状態でリングギヤ21の回転に伴って回転する出力用歯車126の回転を出力用シャフト124に伝達するようになっている。また、他方の遊星歯車16に対応して設けられたワンウェイクラッチ125は、他方の遊星歯車16のリングギヤ21がモータ102の逆回転方向と同一回転方向に回転した状態でリングギヤ21の回転に伴って回転する出力用歯車126の回転を出力用シャフト124に伝達するようになっている。

【0239】さて、電車を前進させるためにモータ102を正回転すると、一方の遊星歯車16に対応して設けられているワンウェイクラッチ122の作用により、モータ102の回転が一方の遊星歯車16のサンギヤ17のみに伝達されるので、一方の遊星歯車16が有効に作動し、リングギヤ21がモータ102の正回転方向と同一回転方向に回転する。これにより、リングギヤ21の回転が出力用歯車126からワンウェイクラッチ125を介して出力用シャフト124に伝達されるので、電車が前進し、車輪の駆動力と電車の走行抵抗とが均衡したところで電車の速度が安定する。

【0240】また、電車を後進させるためにモータ102を逆回転すると、他方の遊星歯車16に対応して設けられたワンウェイクラッチ122,125の作用により、入力回転が他方の遊星歯車16にのみ有効に伝達されると共に、有効に作動した遊星歯車16の出力回転が出力用シャフト124に伝達されるので、前進の場合と同様にして、モータ102の回転を最大効率で車輪に伝達して電車を後進させることができる。

【0241】このような実施の形態によれば、何の制御を行うことなく、前進は勿論、後進する際も、自動的な無段変速することが可能となり、車両を円滑に加速或いは減速することができると共に、モータ102の回転を最大効率で車輪に伝達することができる。

【0242】このような実施の形態を電気自動車に適用した場合は、前進のみならず後進する際にも何の制御を実行することなく自動的な無段変速が可能となる。このような構成は、回転源が逆回転可能な場合に有効である。

【0243】(第10の実施の形態)次に本発明を電車の自動変速装置に適用した第10の実施の形態を図21を参照して説明するに、第1の実施の形態及び第7の実施の形態と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。この第10の実施の形態は、プラネタリキャリアがサンギヤと反対回転方向に回転することを規制するワンウェイクラッチの機能をブレーキ手段により実現させるように構成したことを特徴とする。

【0244】自動変速装置の断面を概略的に示す図21において、自動変速装置131の基本構成は第1の実施の形態と同様にダブルピニオン式の遊星歯車16である。また、本実施の形態では、サンギヤ17はモータ102により回転し、リングギヤ21の回転により車輪が回転する。そして、プラネタリキャリア18の回転によりブレーキ板33が回転するようになっている。

【0245】また、ブレーキ用シャフト29と一体に設けられたブレーキ板33は、油圧ブレーキ(停止保持手段に相当)34により停止されている。この場合、油圧ブレーキ34は、出力用シャフト15に設けられた油圧ポンプ32により油圧が与えられることによりブレーキ板33に対する停止力を解除するようになっている。

【0246】さて、電車を前進させるためにモータ102を正回転すると、油圧ブレーキ34によりプラネタリキャリア18が停止していることから、サンギヤ17の回転がピニオンギヤ20を介してリングギヤ21に伝達され、車輪が回転して電車が前進する。これにより、リングギヤ21の回転が上昇し、油圧ブレーキ34によるブレーキ板33に対する停止力が解除されるようになるので、プラネタリキャリア18がサンギヤ17と同一回転方向に回転するようになる。この結果、遊星歯車16の減速比が低下して電車の速度が上昇するので、車輪の駆動力と車輪の走行抵抗とが均衡したところで電車の速度が安定する。

【0247】ところで、電車の走行抵抗が大きくなってピニオンギヤ20がリングギヤ21から受ける反発力が大きくなったり、モータ102の回転数が低下することにより、プラネタリキャリア18の回転数が低下してリングギヤ21ひいては駆動輪の回転数が低下したときは、油圧ブレーキ34からブレーキ板33に与えられる油圧が低下するので、油圧ブレーキ34によるブレーキ板33ひいてはプラネタリキャリア18に対する停止力が増大する。これにより、電車が停止するような状態ではプラネタリキャリア18が停止するので、モータ102の回転を車輪に確実に伝達することができる。

【0248】また、電車を後進させるためにモータ102を逆回転すると、電車の停止状態ではプラネタリキャリア18が停止しているので、前進する場合と同様にして、モータ102の回転を車輪に伝達して電車が後進させることができる。

【0249】このような実施の形態によれば、電車の速度が上昇するに従ってプラネタリキャリア18に対する停止力を解除するようにしたので、電車の進行方向にかかわらずワンウェイクラッチを用いることなくモータ102の回転を車輪に伝達することができる。このような実施の形態は電気自動車にも好適する。

【0250】尚、電車の速度が所定速度(例えば10Km/h)となった状態、つまりリングギヤ21の回転数が所定回転数以上となった状態で、プラネタリキャリア18に対する停止力を解除するようにしてもよい。また、サンギヤ17の回転数の上昇に応じて油圧ブレーキ34によるブレーキ板33に対する停止力を解除するようにしてもよい。

【0251】(第11の実施の形態)次に本発明を電車の自動変速装置に適用した第11の実施の形態を図22を参照して説明するに、第4の実施の形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この第11の実施の形態は、プラネタリキャリアの回転を制御装置により制御することを特徴とする。

【0252】自動変速装置の断面を概略的に示す図22において、自動変速装置141の基本構成は第1の実施の形態と同様にダブルピニオン式の遊星歯車16である。また、本実施の形態では、サンギヤ17はモータ102により回転し、リングギヤ21の回転により車輪が回転する。そして、プラネタリキャリア18の回転によりブレーキ板33が回転するようになっている。

【0253】また、制御装置(検出手段、停止保持手段に相当)142は、回転センサ72によりブレーキ板33の回転方向を検出し、その検出結果に基づいて油圧ブレーキ34を制御するようになっている。

【0254】即ち、制御装置142は、モータ102の回転状態でプラネタリキャリア18がサンギヤ17と反対回転方向に回転する場合は油圧ブレーキ34によりブレーキ板33に間欠的に停止力を作用させると共に(停止力を作用させるときは停止力を徐々に増大する)、停止力を解除した状態で回転センサ72によりブレーキ板33ひいてはプラネタリキャリア18の回転方向を検出するようになっている。この場合、制御装置142は、油圧ブレーキ34によるブレーキ板33に対する停止力を解除した状態でプラネタリキャリア18がサンギヤ17と反対回転方向に回転した場合はブレーキ板33に間欠的に停止力を作用させることを継続し、プラネタリキャリア18がサンギヤ17と同一回転方向に回転した場合は油圧ブレーキ34によるブレーキ板33に対する停止力を解除するようになっている。

【0255】さて、電車を前進させるためにモータ102を正回転すると、リングギヤ21に作用する負荷が大きく、ピニオンギヤ20がリングギヤ21から受ける反発力が大きいことから、プラネタリキャリア18はサンギヤ17と反対回転方向に回転する。従って、制御装置142は、油圧ブレーキ34によりブレーキ板33ひいてはプラネタリキャリア18に対して間欠的に停止力を作用させるので、サンギヤ17の回転がピニオンギヤ20を介してリングギヤ21に間欠的に伝達され、車輪が回転して電車が前進する。この場合、電車の走行開始時はリングギヤ21に作用する負荷が大きく、ピニオンギヤ20がリングギヤ21から受ける反発力が大きいので、油圧ブレーキ34によるプラネタリキャリア18に対する停止力を解除した状態ではプラネタリキャリア18はサンギヤ17と反対回転方向に回転する。従って、制御装置142は、油圧ブレーキ34によりブレーキ板33に対する間欠的な停止力の作用状態を継続する。

【0256】そして、電車が前進するようになると、リングギヤ21に作用する負荷が低下し、ピニオンギヤ20がリングギヤ21から受ける反発力が低下するので、油圧ブレーキ34によるプラネタリキャリア18に対する停止力の解除状態でプラネタリキャリア18はサンギヤ17と同一回転方向に回転するようになる。従って、制御装置142は、油圧ブレーキ34によるブレーキ板33に対する停止力を完全に解除する。これにより、プラネタリキャリア18はサンギヤ17と同一回転方向に回転するようになるので、電車の速度が上昇し、車輪の駆動力と電車の走行抵抗とが均衡したところで電車の速度が安定する。

【0257】ところで、電車が上り坂を走行することにより走行抵抗が大きくなったり、モータ102の回転が低下したりして電車が停止するような状態となったときは、プラネタリキャリア18がサンギヤ17と反対回転方向に回転するようになるので、モータ102の回転を車輪に伝達することができなくなる。このような場合、制御装置142は、プラネタリキャリア18に停止力を間欠的に作用するようになるので、モータ102の回転を車輪に伝達することができるようになる。

【0258】また、電車を後進させるためにモータ102を逆回転すると、前進する場合と同様にして、モータ102の回転を車輪に伝達することにより電車が後進すると共に、電車が停止するような状態では、プラネタリキャリア18に間欠的に停止力が作用するので、モータ102の回転を車輪に伝達することができる。

【0259】このような実施の形態によれば、制御装置142によりプラネタリキャリア18に停止力を間欠的に作用させると共に、プラネタリキャリア18に対する停止力を解除した状態でプラネタリキャリア18がサンギヤ17と同一回転方向に回転した場合はプラネタリキャリア18に対する停止力を解除するようにしたので、モータ102の回転方向にかかわらずモータ102の回転を車輪に伝達することができる。

【0260】(第12の実施の形態)次に本発明を車両用自動変速装置に適用した第12の実施の形態を図23を参照して説明するに、第1の実施の形態及び第9の実施の形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この第12の実施の形態は、自動変速装置をノンスリップディフレンシャルギヤとしても機能させることを特徴とする。

【0261】自動変速装置の断面を概略的に示す図23において、自動変速装置151の基本構成は第9の実施の形態で説明した自動変速装置121である。即ち、エンジン14の回転は、筐体152に支持された入力用シャフト153からクラッチ手段154、前後進切換装置22を介して傘歯歯車のような直交軸ギヤ155の入力側ギヤ155aに伝達されるようになっている。

【0262】また、直交軸ギヤ155の出力側ギヤ155bには自動変速装置121の入力用シャフト13が接続されている。また、自動変速装置121の出力用シャフト124には駆動輪156が接続されている。つまり、自動変速装置121は車両の駆動輪156に対応して設けられていることになる。

【0263】さて、エンジン14の回転状態で前後進切換装置22を前進に切換えると共にクラッチ手段154を動作させると、エンジン14の回転は、入力用シャフト153から前後進切換装置22及び直交軸ギヤ155を介して自動変速装置121に伝達される。この場合、自動変速装置121は、当該自動変速装置121に接続された駆動輪156の駆動力が走行抵抗と均衡するようにその回転数を自動調整することから、第9の実施の形態で説明したように無段の自動変速装置として機能する。これにより、エンジン14の回転を最大効率で駆動輪156に伝達することができるので、駆動輪156が回転して車両が前進する。

【0264】また、前後進切換装置22を後進に切換えた場合は、自動変速装置121は無段の自動変速装置として機能するので、前進の場合と同様にして、車両を後進させることができる。

【0265】この場合、自動変速装置121はディファレンシャルギヤとしても機能する。つまり、各駆動輪156は自動変速装置121の作用により独立に回転することができるので、車両が旋回した際は内輪側となる駆動輪156の回転数は外輪側となる駆動輪156の回転数よりも無理なく小さくなることができ、ディファレンシャルギヤとして機能することができる。

【0266】要するに、自動変速装置121は、自動変速装置としての機能を発揮しながらディファレンシャルギヤとして機能することになり、ディファレンシャルギヤを用いる必要がなくなる。尚、両方の自動変速装置121のサンギヤ17の回転数は同一であるので、内輪側となる駆動輪156の回転数は外輪側となる駆動輪156よりも回転数は小さいものの駆動力は大きくなる。

【0267】ここで、注目すべき点は、車両の走行状態では各自動変速装置121はエンジン14と直結されているので、一方の駆動輪156がスリップしたときであっても、他方の駆動輪156の駆動力が失われることはなく、ノンスリップディファレンシャルギヤとして機能することである。また、スリップした駆動輪156は走行抵抗が急激に小さくなり、それに伴って駆動輪156の回転数が上昇すると同時に駆動力が低下するので、スリップを直ちに解消することができる。

【0268】この場合、クラッチ手段154としては、第1の実施の形態で説明した自動変速装置11と組み合わせることが望ましく、自動変速装置11の減速比と自動変速装置121の減速比との組合わせにより極めて大きな減速比を得ることができる。また、自動変速装置11の遊星歯車16を、プラネタリキャリア18の停止状態における減速比が1となるように構成した場合は、遊星歯車16は減速比1となり、完全なクラッチ手段として機能することになる。このように遊星歯車16の減速比を1とする構成としては、遊星歯車の構成を複数の歯車で実現する第3の実施の形態において、歯車62,66,67,64の歯数を全て同一に設定することにより実施することができる。

【0269】このような実施の形態によれば、自動的な無段変速を実現しながらノンスリップディファレンシャルギヤの機能を付加することができ、自動変速装置の付加価値を高めることができる。このような構成は、ハイブリッド自動車、電気自動車等にも適用することができる。

【0270】また、前後輪に対応して自動変速装置121を設け、エンジン14の回転を各自動変速装置121を介して駆動輪に伝達するように構成した場合は、前後輪への駆動力分割手段及びディファレンシャルギヤを用いることなく4輪駆動車を実現することができる。

【0271】さらに、自動変速装置121を前輪駆動車の前輪に対応して設けた場合は、トルク変動を自動変速装置121のプラネタリキャリア18の回転により吸収することができるので、等速ジョイントを用いることなく駆動輪のトルク変動を防止できる。

【0272】尚、駆動輪に対応した自動変速装置としては、第8の実施の形態の自動変速装置111を用いるようにしてもよい。この場合、ロックアーム105を制御する必要がある。

【0273】(第13の実施の形態)次に本発明を自転車の自動変速装置に適用した第13の実施の形態を図24を参照して説明する。自動変速装置の全体を概略的に示す図24において、自動変速装置161の基本構成はダブルピニオン式の遊星歯車16である。また、本実施の形態では、サンギヤ17はペダル162により回転され、図示しないプラネタリキャリアはワンウェイクラッチを介して自転車のフレームに支持されている。また、リングギヤ21の外周にはスプロケット163が形成されており、リングギヤ21の回転に応じてスプロケット163からチェーン164を介して後輪用ギヤ165が回転することにより図示しない後輪が回転するようになっている。

【0274】さて、自転車を前進させるためにペダル162を回転すると、リングギヤ21に作用する負荷が大きく、ピニオンギヤ20がリングギヤ21から受ける反発力が大きいので、プラネタリキャリアはサンギヤ17と反対回転方向に回転しようする。この場合、図示しないワンウェイクラッチによりプラネタリキャリアがサンギヤ17と反対回転方向に回転することが規制されているので、プラネタリキャリアは停止したままである。これにより、ペダル162の回転は、サンギヤ17からピニオンギヤ20を介してリングギヤ21に伝達されるので、リングギヤ21がサンギヤ17と同一回転方向に回転する。この結果、リングギヤ21の回転がスプロケット163からチェーン164を介して後輪用ギヤ165を通じて後輪に伝達されるので、自転車が前進する。

【0275】自転車が前進し始めると、ピニオンギヤ20がリングギヤ21から受ける反発力が低下するので、プラネタリキャリアがサンギヤ17と同一回転方向に回転するようになる。この結果、遊星歯車16の減速比が低下するので、自転車の速度が上昇し、後輪の駆動力と自転車の走行抵抗とが均衡したところで自転車の速度が安定する。

【0276】このような実施の形態によれば、自動変速装置161は、走行開始時のようにペダル162に対する踏込み力が大きいとき或いは上り坂のように走行抵抗が大きいときは大きな減速比となり、ペダル162に対する踏込み力が小さいとき或いは平坦地或いは下り坂のように走行抵抗が小さいときは小さな減速比となるので、踏込み力或いは走行抵抗の大きさに応じて減速比を自動調整することができる。従って、従来の手動式の変速装置に比較して、変速操作が全く不要となると共に、踏込み力の弱い年配者或いは年少者でも安定して走行することができ、さらにはペダル162の回転を最大効率で後輪に伝達することができるという驚異的な自転車を製作することができる。

【0277】尚、このような実施の形態は、入力の回転方向が一方向である場合に有効であることから、風力発電機、水力発電機、火力発電機等の各種発電機、車両の発電機、空圧ポンプ、油圧ポンプ、真空ポンプ、或いは車両用ターボチャージャ、スーパーチャージャ、飛行機のプロペラの回転装置、飛行機のターボファンジェット、飛行機或いはヘリコプターのプロペラ、船のスクリュー、スノーモービル、釣用のリール、長尺線形物のリール、フライホイール等に好適である。

【0278】具体的には、例えば風力発電機では変速装置が設けられていないことから、風車による回転力が発電機の静止抵抗を下回っている状態では、発電機が回転せず発電できないと共に、風車による回転力が発電機の回転を維持するのに必要な回転力を上回っている状態では、風車の回転を効率よく発電機に伝達することができない。そこで、本実施の形態の自動変速装置を風力発電機に適用した場合、風車の回転を遊星歯車16により発電機に伝達するように構成することにより、風速が弱い環境でも発電機を回転することができる。また、風車による回転力が発電機の回転を維持するのに必要な回転力(=負荷)を上回った状態では、遊星歯車16の減速比が小さくなるに伴って発電機の回転数が上昇し、風車による回転力と発電機の回転を維持するのに必要な回転力とが一致したところで発電機の回転が安定するので、発電機の発電効率を大幅に高めることができる。尚、発電機の回転数が上昇するに従って遊星歯車16のプラネタリキャリアに停止力を作用させるように構成した場合、発電機の回転数が過度に上昇することを防止して発電機を保護することができる。

【0279】また、本実施の形態では、被回転体を回転させる際の応答性が極めて高いので、例えば車両用ターボチャージャ或いはスーパーチャージャのコンプレッサを自動変速装置を介して回転するように構成した場合、コンプレッサの回転数を短時間で上昇させることができ、エンジンの出力を短時間で高めることができる。要するに、被回転体の回転方向が一方向である場合は、本発明を適用することができる可能性があり、その応用範囲は極めて広い。

【0280】また、第6の実施の形態のように複数の回転源の回転を合成するように構成した場合は、回転源の回転数にかかわらず効率よく合成することができるので、このような構成を風力発電機に適用した場合は、複数の風車の回転を効率よく合成することができる。

【0281】(第14の実施の形態)本発明を電動アシスト自転車の自動変速装置に適用した第14の実施の形態を図25を参照して説明する。基本構成は第13の実施の形態と同一であり図示を省略する。電気的構成を示す図25において、補助モータ171により後輪に対して駆動力が付与されるようになっている。また、サンギヤ回転センサ172によりサンギヤ17の回転数を検出すると共に、プラネタリキャリア回転センサ173によりプラネタリキャリアの回転数を検出するようになっており、制御装置174は、サンギヤ17とプラネタリキャリアとの回転数差に基づいて補助モータ171の回転を制御するようになっている。

【0282】即ち、第13の実施の形態においては、サンギヤ17とプラネタリキャリアとの回転数差は負荷の大きさを示しており、負荷が大きいときはサンギヤ17とプラネタリキャリアとの回転数差は大きく、負荷が小さいときはサンギヤ17とプラネタリキャリアとの回転数差は小さい。従って、制御装置174は、サンギヤ17とプラネタリキャリアとの回転数差が大きい程補助モータ171の回転数が大きくなるように制御する。これにより、負荷の大きさに応じて補助モータ171の回転が補助力として付与されるので、上り坂でも自転車の速度が低下することなく進むことができる。

【0283】このような実施の形態によれば、遊星歯車16のサンギヤ17とプラネタリキャリアとの回転数差に基づいて負荷の大きさを検出するようにしたので、トルクセンサ等の特別の手段を用いることなく遊星歯車16の構成を利用して実施することができ、構成を簡単化することができる。

【0284】本発明は、上記各実施の形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。ダブルピニオン式の遊星歯車16を複数直列に接続するようにしてもよい。この場合、極めて大きな減速比を得ることができるので、大型バス、大型トラック等の大形車両に有効である。

【0285】また、ダブルピニオン式の遊星歯車16からなる自動変速装置を手動式変速装置における1つのギヤとして実施するようにしてもよい。この場合、第1の実施の形態で説明したようなクラッチ手段を備えて構成したときは、クラッチ手段が不要な自動変速装置として機能させることができる。

【0286】また、ダブルピニオン式の遊星歯車16からなる自動変速装置をエンジンと手動式変速装置との間に介在させることにより、エンジンのトルク特性を改善することができる。この場合、プラネタリキャリアがエンジンの回転方向と反対回転方向に回転することを規制する必要がある。

【0287】また、遊星歯車16のプラネタリキャリア18の回転をモータにより制御するようにしてもよい。また、本発明を前輪及び後輪を異なるエンジンで駆動する自動車に適用したり、前輪及び後輪の一方をエンジンで駆動すると共に他方をモータで駆動するようなハイブリッド自動車に適用するようにしてもよい。

【0288】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の自動変速装置及び車両用自動変速装置によれば、基本的にダブルピニオン式の遊星歯車を利用して負荷の大きさ及び回転源の回転数並びに回転源の回転力に応じて減速比を自動的に調整できるようにしたので、小形で且つ簡単な構造で、変速のショックを伴わず、しかも何の制御を行うことなく入力回転を最大効率で出力回転に変換することができるという極めて優れた効果を奏する。

 

【図面】

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