LITTLEWHEEL modelcar museum

1/43愛好者養成講座 概論篇(2)

独断と偏見で語る1/43メーカー

☆星の数ほどもあるメーカー

 03年現在、果たして1/43キットのメーカーって何社くらいあるのでしょう? 多分、正確な数字を把握している人は業界内にも殆どいないんじゃないかな。新しいメーカーが出来ては潰れ、また出来るの繰り返し。一説には200から300位あるとも(ホントかよ)。ヨーロッパに旅行した友人によれば、あちらの専門店には得体の知れないキットがゴマンとあったらしい。ああ行きたいぞー! 

 とは言っても、ちゃん企業の体裁を整えているトコはむしろ少数派で、大半はマニアのオッチャンが自宅のガレージでレジンやメタルをちゅーちゅー流しているような零細規模。こうしたメーカーの大半はフランス、イタリア、イギリスに集中していて、フランスはレジン、イタリアとイギリスはホワイトメタルが主流でしたが、だんだんレジンが優勢になってきています。

 ここでは、私が仕事や趣味である程度の台数を作った事のあるメーカーのキットについて、解説します。ただし、以下の記述はあくまでキタザワの主観に基づくもので、多分に私情や独断、偏見も入っております。各々のメーカーの一般的な傾向をまとめたもので、個々のキットによっては当てはまらない場合もあります。

 最初のキット選びは「43ってイイじゃん!」と感じるか「こんな厄介なもの2度と作るか!」とブチ切れるか、の分岐点。初心者の皆さんは1/43キットの実際の購入にあたっては、実物をよく御覧になってからの購入をお勧めします。オークションや通販など、見ずテンで買うのは慣れてきてからにしましょう!


(1)レジンキット・メーカー

プロバンス・ミニチュア・オートモビルズ Provence Miniture Automobiles(フランス)

 80年代に43キットにハマった人なら一度はお世話になった「青い箱」プロバンス・ムラージュが04年9月に活動を停止したのち、同社のスタッフの一部が再興したブランド。05年に再び倒産したが、レジン完成品メーカーHECO傘下に入ってまたも復活! しぶとい!(笑) 青箱時代は「ボディ/シャシー/タイヤ&ホイール!だけ」みたいな簡素なキットが多かったが、次第に43業界全体の傾向に流されてエッチング多用、ウィンドウもヒートプレスから平板外貼りウィンドウ(無理窓)にシフト。精密にはなったが、かつてのお手軽な作りやすさを失った。でもオークションには青い箱はまだまだよく出てきます。

ラインナップ 30〜70年代の旧車、モーターショーのコンセプトカー、ラリー、パリダカ、ルマンにデイトナとなんでもござれ。ドアやエンジンフードを開閉できる「オープン」キットもある。デカール替えのバリエーションも豊富。
レジンの質 黄色(ナチュラル)で柔らかく加工しやすい。けっこう弾力もあるので、落としても簡単に割れたりはしない。気泡は結構あるので下地作りは丁寧に。
モールド 非常にキレイで、パーツの合わせも比較的良好。スジ彫りは細くてシャープ。実物に忠実というより原型師の心の目で捉えたエッセンスをカッコ良くカタチにしている作風なので、プロポーション解釈には好き嫌いがあるかも。ごく稀に「大ハズレ」あり、シロウト持ち込みの原型か? かつては「オニの一体成型」が売りだったが、03年以降の新製品はパーツ点数を増やす傾向にあり、精密さはアップしたが初心者向けではなくなった。
エッチング 非常に豊富だが、合わせはイマイチな場合が多い。また、意味不明なパーツもちらほら。まあ使わなきゃイイだけの事だ。
ウィンドウ BBR式の平板外貼り、いわゆる「無理窓」。窓の黒いシール部分も印刷されているが、触ると指紋がついて取れなくなり、ワックスをかけるとコーティングが剥がれて曇り、使えなくなる。新会社は昔のシャープなヒートプレスに戻してほしいぞ!
デカール 小さい文字に潰れが多く、書体は今一つ不正確。ボディとの合わせは良好。貼りやすくクリアーコートにも強い。
ホイール リムはアルミの挽き物、スポーク部はレジンかホワイトメタル、稀にエッチングの物もある。ワイヤホイールの場合は非常に質感の高いエッチング・スポークの完成ホイールがつくのでお徳感高い。
タイヤ 最大の欠点。ホイールと寸法が合わない物が多く、無理にはめると1、2年で必ずパックリ割れる。また5年から10年でゴムが劣化し、染み出した油でデカールや他のパーツを傷める恐れあり。出来れば別売の良質なタイヤに交換した方が良い。買ったらタイヤは別の小袋に移しておこう。
当たり外れ 比較的少ない。ただしロット数が多いため、ゴム型が壊れたまま気付かずに成型しているケースもある。「ダクト埋まってるじゃん!」とかね。ゴム型の表面が荒れてしまってガサガサな鮫肌キットもあるので注意。買う前にナデナデしてみよう。
オレ的評価 旧プロバンスは個人的には最も好きなメーカー。作りやすいし完成時の佇まいが良いのが魅力。似てる似てないなんてホントは大した事じゃないって事を、ここのキットから学びました。カッコ良ければイイのだ。好きな車種なら通販で見ずテンでも買っちゃうぞ。

 

スターター Starter (フランス)

 真っ赤な箱のスターターはプロバンス・ムラージュの最大のライバルだったが、2000年頃にプロバンスと合併、完成品メーカーに転身。04年の旧プロバンス倒産で同時に消滅した。90年代のキットの流通量は非常に多かったので、オークションなどではまだまだ赤い箱は健在だ。

ラインナップ 旧車、ショーカー、レースカー、ジャンル問わず。CカーやNASCARにはコダワリがあるらしい。20/30年代のヴィンテージ・レーサーや、グループBの怪物マシンなどにも良い物が多い。全然エンスー的訴求力のない50年代のダッサダサな実用車なんかも出ていて、これもなかなか捨て難い。全体的にプロバンスよりも変態度高し。
レジンの材質 ナチュラルだが、ベージュに近い色合い。プロバンスとは違って手触りはこちらの方が滑らか。柔らかくて加工しやすい。気泡は非常に少ない。削ると甘い匂いがする。
モールド 出来不出来の差が非常に大きく、ビックリするくらい似ていない物もある。実車のマイナーチェンジに合わせて成型品を盛ったり削ったりして改造して原型にしているので、後の世代になるほど形が崩れてしまう。仕上げ自体はとてもキレイだが、スジ彫りが浅い物が多く、厚塗りすると埋まりやすい。表面の小パーツはほとんど一体成型。ヘッドライトはクリア樹脂の塊である場合が多い。インテリアはかなりイイ加減。
エッチング 多くはないが、効果的に取り入れて見せ場にするのが上手い! ボディとの合わせも良い。
ウィンドウ ヒートプレスはなかなかシャープ。外貼り式のキットも多いが、絞ってあるので貼りやすい。合わせは良好だが、切断線のモールドが甘く、切り離すのが結構難しい。老眼がひどくなったらちょっと辛いかも…
デカール カルトグラフ。極めて良質。
ホイール ホイールリムは洋白の挽き物にニッケルメッキ、塗装するものは真鍮。質感は高いが、径が小さめの物が多い。ワイヤホイールはエッチングではなく編み込みの繊細な物が入っている事が多く、お徳。
タイヤ プロバンスとは違ってゴムの質が良く、割れたり劣化したりはしない。ただ、小さめのホイールにブ厚いタイヤを履いている場合が多く、完成するとアシ周りが少し貧弱に見える。
当たり外れ 多いので要注意。スポンジで包んだボディとシャシーを輪ゴムで縛っている物が多く、輪ゴムに負けて屋根が落っこちたりピラーが曲ったりしている個体が少なくない。見ずテンで買うのは危険だ。
オレ的評価 作り易さではプロバンスと良い勝負だし、妙な車種が出ていて面白い。似てないキットをキッチリ作って笑いを取るのも楽しいぞ。ただ、今一つ精密感には欠けるので、ディティールアップは不可欠。プロバンスよりもウデの差が出やすい。

ビービーアール BBR (イタリア)

 高品質なセミハンドメイド完成品で絶大な人気を誇るBBRは、キットにも力を入れている。F1はホワイトメタルだが、スポーツカー系はレジンボディだ。メジャーブランドだが、自分で作る素材としてはコレがけっこう曲者。完成品の大量生産を第一に考えられたパーツ構成は、必ずしも趣味のハンドメイド向きではない。少し慣れてから挑戦した方がイイ。

ラインナップ フェラーリを中心に膨大で、ロードカーもレースカーも揃う。細かいディティールの変化もきっちり考証。珍しいショーカーやワンオフも押えているので、コレクションの幅は広がりそうだ。ただし、いわゆる「変なクルマ」は皆無。いかにも売れそうな車種しか出さない。アタマ硬そう。
レジンの材質 灰色で、非常に硬く緻密な材質。気泡はほとんど無い。ただし非常に硬いので改造には不向き。また意外に脆いく、硬い床に落とすと粉々になったりするから注意が必要。比重が重く完成時の重量感はメタルに近い物がある。
モールド あくまで私個人の主観だが、60年代のフェラーリをはじめとする、丸みのあるクルマはことごとくプロポーションに妙な癖があるようだ。原型自体は素晴らしくキレイに仕上げてあるし、インテリアとの合わせも良好。インパネやシートの彫刻も秀逸。成型はおっそろしくキレイでバリも少ない。ボディの湯口はちゃんとグラインダーでカット処理してある。変形しているのも見た事がない。ゴム型の管理も良いようで、型の壊れなども少ない。総じて工業製品的。シャシー(ただの板っぺらだが)はホワイトメタル。
エッチング 非常に多い。ウィンドウ枠、グリルやエアインテーク/ダクト、エンブレム、ブレーキディスクとキャリパーなど、ディティールはすべてエッチングで表現。精密感、イイ物感は非常に高いが、作りやすいとは言えない。個人的にはやり過ぎだと思う。
ウィンドウ かつて多くの43モデラーを悩ませた諸悪の根源、エンビ平板とエッチングの窓枠を、無理矢理曲げながら外側から貼り付ける、いわゆる「無理窓方式」(←命名:俺)だったが、04年後期の新製品から、黒サッシものに限ってはエッチングのサッシを廃して黒シール部とサッシがエンビに直接プリントされ、外形も切り抜き加工済みになった。依然キレイに貼るにはコツが要るものの、かなり取っ付きやすくなった。
デカール カルトグラフ。セル層が薄く、クリアーコートすると段差が消える。極めて良質で貼りやすい。
ホイール きれいな成型のホワイトメタル、もしくはアルミリムのワイヤホイール。インジェクション成型の物もある。いずれも非常に良質だが、気持ち小さめか。
タイヤ ダイキャスト・ミニカーなみのパターンまで入った上等なもの。ゴムの質が良く劣化の恐れもほとんど無い。
当たり外れ 製品の製造管理、出荷管理が非常にしっかりしていて、破損/欠品などほとんど無いようだ。万一欠品の時にも、ちゃんと対応してくれるらしい。イタリア語が出来ればだけどね。
オレ的評価 昔は嫌いだったんだけど、仕事でかなりの数を作って、キレイに作るコツを掴んだら、だんだん好きになってきた。完成時には独特の雰囲気があり、揃えだすとハマるかも。ただ、良質な完成品も作ってるので、それよりキレイに作れないと悔しいぞ。

 

MRコレクション MR Collection (イタリア)

 経営者がBBRのボスと親族らしく、キットの構成も非常によく似ている。良い所もイヤな所もそっくりだ。ただ、全体的な完成度は何故かBBRよりも少し落ちるので憎めない(笑)。03年ごろから完成品オンリーになったようで、キットの出荷はごく稀に。

ラインナップ BBRよりはマイナーな車種を選んでおり、ショーカーやワンオフも多く「変なクルマ」も色々揃う。ワンオフのフェラーリなんか、面白いものが色々あるな。マニアへの訴求力はむしろこっちの方が高い。
レジンの材質 ベージュで粉っぽく、ザラザラした手触り。柔らかいので加工しやすいが、見るからに安っぽい感じがする。BBRの2軍扱いだから良い樹脂は使わせてもらえないのか?
モールド モールドは少々ボヨーンとしていて、スジ彫りは運河だし、シャープさに欠ける。プロポーションは良好。アッチコッチ開いた状態になったキットも出ていて、プロバンスの同種の物よりは作りやすい。バリは少ないけど、穴が埋まっていたりスジ彫りがヨレていたりするのが気になる。型ゴムが柔らかすぎるのかな?塗装前の養生に手間がかかるぞ。
エッチング BBR同様、非常に多い。レジンのボディのダルさをエッチングでカバーしているという感じだが、エッチングのシャープさが却って違和感になってしまうものもある。仮組をちゃんとしておきたい。
ウィンドウ これもBBRと全く同じ「無理窓」。しかもボディの設計が不正確だから、尚更やりにくい。
デカール カルトグラフ。良質。
ホイール ホワイトメタルのきれいな成型の物か、もしくはアルミリムのワイヤホイール。いずれも非常に良質。
タイヤ ダイキャスト・ミニカーなみのパターンまで入った上等なもの。ゴムの質が良く劣化の恐れもほとんど無い。
当たり外れ まあ少ないと思うが、BBR程の完璧さは感じられない。
オレ的評価 BBRと全く同じ理由であんまり好きじゃないんだけど、BBRほど「うちって一流。どうよ?」っていう感じがしないので、あんまりイヤにならない。ワンオフ物のフェラーリなど、アイテムが非常にそそるのでどうも私情が入るなあ。でも作る時はウィンドウは自分でヒートプレスしてるぞ。あーめんどくさ。

アレザン Arezan (フランス)

 非常にユニークなラインナップを持つメーカーで、まさに我が道を行くという表現がピッタリ。大手のプロバンスやBBRとはアイテムがぶつからないように工夫しているのだろう。キット構成は単純で作りやすいが、細部のリアリティはあまり追求していない。イヤなら買ってくれなくて結構、と開き直っているようなその姿勢がイイ。作りやすいので初心者でも大丈夫だ。

ラインナップ かなり多く、車種選択も独特。70年代以降のフェラーリ以外のスーパーカー、ショーカー、試作車が中心。誰も知らないような「変なクルマ」がゴマンと揃う。平たくて四角いクルマが好きらしい。ダイキャストとバッティングするような量産車も平然とキット化している。レーシングカーは少なく、ロードカー中心。商売っ気が感じられないのが素敵。
レジンの材質 ボディは灰色だが、BBRとは違って柔らかく加工しやすい。気泡はけっこう多い。裏側見ると気絶するので見ない事。インテリア/シャシーは黒いレジンである事が多く、表面が荒れて見えるが実際にはそうでもない。
モールド ディフォルメが大人しめで、スマートな感じ。原型の仕上げはとてもきれいで、塗装のクリアランスも考慮している。四角いクルマが得意のようだ。微妙に実車と違うプロポーションだったりするが、完成すると、ちゃんとそのクルマに見えるから不思議。ウィンドウ周りなど、実車とは違う構成になっていたりする。バリ少なく、キレイに抜けているが、細部の欠けなどはけっこうある。表面はきれいなのに、裏返すと天井裏やサイドシルは気泡大爆発! 見なかった事にして忘れよう。
エッチング ワイパー以外はほとんど使わない。もうちょっとあってもイイと思うが…
ウィンドウ シャープなヒートプレスでボディとの合わせもとても良い。擦り合わせの必要がないくらいだ。ただ、他のメーカーよりも薄い塩ビを使っているのでペナペナだ。取扱いは丁寧に。05年ごろから「無理窓」を導入し始めた。
ホイール リムはアルミの挽き物、スポーク部はレジン。そこそこリアルという程度。
タイヤ ゴムの質はほどほどだが、リムとの寸法はちゃんと合っている。劣化頻度は不明だが、質感がプロバンスのに似ているから用心した方がイイ。
当たり外れ ほとんど無いと思う。事後変形や大きな欠け、割れなどは見た事がないから、出荷管理はきちんとしているようだ。
オレ的評価 面白い車種が多く興味が惹かれるのだが、何故かこれまで自分で購入した事がないんだよね。仕事で沢山作った経験から言えば、けっこう好きなメーカーだ。今後の課題かな。

ルネッサンス Renaissance (フランス)

 もとプロバンス・ムラージュの原型師だったエチエンヌ・ドーンが独立して創業したメーカーだが、キットの様式はプロバンスとは全く違う。違う事をやりたかったから独立したんだろうね。1/43キットが中心だが、1/24のトランスキットも出している。ルマンやデイトナなどのレース物が中心で、ポルシェ911系のキットは特に有名。けっこう作りにくいので初心者向けではない。

ラインナップ かなり多い。レースもの中心でバリエーション豊富。シルエットフォーミュラやCカーが多い。かなり詳細に実車取材しているようで、ディティールの違いを細かく再現する。ドライバー側のドアだけ切り離し可能になっているキットも多いが、開けた状態で作るにはかなりのウデが必要。
レジンの材質 白っぽくて粉っぽい。柔らかいがスジ彫りを彫ろうとすると引っ掛かる。大きな気泡が非常に多いから埋めるのが大変だ。
モールド 非常に荒っぽい。ヤスリ跡がそのまま残っているものも珍しくないし、左右非対称、細部の歪み、曲がり、大らかに無視している。裏側はほとんど削りっぱなしで整えていないからガタガタだし、ダクトの内部など見える部分もヤスリやノミの跡だらけだ。小パーツのゴミ度はかなり高い。バリは凄く多いし、細部の欠けや型の破損による埋まりなども珍しくない。
エッチング 物凄く多い。ボディ表面のディティールはもう100パーセント、エッチングに頼っている。しかも肝心のボディの精度が低いので全然合わない。
ウィンドウ 外貼りだが一応ヒートプレス。しかし絞りがボヨーンとアマい。エッチングのサッシとボディの合わせも良くない。
デカール カルトグラフ。良質。
ホイール リムはアルミの挽き物、スポーク部はエッチング。ものによってはプレス加工もしてある。内部にはディスク・ブレーキも再現される。とてもリアルで良い風情だ。大きさもちょうどイイ。
タイヤ ゴムの質はほどほど、リムとの寸法は合っているが、バリだらけだ。
当たり外れ けっこうあると思う。事後変形は少ないが、大きな欠け、割れが珍しくないので、よく見て買いたい。
オレ的評価 ドーンは「仕上げ」という言葉を知らないらしい。「仮組」という言葉も知らないかも知れない。「作りやすさ」という言葉は絶対知らないはずだ。でも出来上がると凄くカッコ良くなるんだよね。初心者には絶対お勧め出来ないが、マゾ系ベテランモデラーには格好の素材になると思う。実はけっこう好き。ああ、もっといじめて!

テナリブ Tenariv (フランス)

 独特の材質、独特の成型、独特の臭気(?)でレジンメーカーでは最も「ゴミ度」が高い。ここのキットを笑ってスカッと作れるようになったら、もう立派にプロを張れる。それだけに重症のマゾ系マニアにはこよなく愛されるメーカー。初心者は絶対に手を出さない事。あ、でも逆にここから入門して慣れちゃえば、どんなキットでも笑いながら作れるか。ショック療法向け。

ラインナップ かなり多い。他のメーカーが出さない隙間を付いてくるので、出来云々の前につい手が出る。70年代中期の一番カッコ良かった頃のF1や、60年代の隠れた名車など、痛い所を突いてくる。しょうがないなあ。
レジンの材質 白くてベタベタしてて、おしっこ臭い(←最悪だ)。中性洗剤で洗うと一旦はベタベタしなくなるが、時間が経つとまたベタベタしてくる。脆くてポロポロくずれるくせに、スジ彫りしようとするとスゲー硬い。デザインナイフでちょっとだけ削ろうとするとグサッと切れ込んでしまう。ネジ穴を開けようとすると周囲ごと持っていかれてドカン!と大穴が開いたりする。落とすと割れる。あーもうワケ判らんぞ。夢見そうだ。くれぐれも改造はしない事。
モールド 少々荒い。いかにも手で削りました、という素朴な雰囲気。ダクトの中とか裏側なんか凸凹だ。しかしプロポーションは非常に良い。この点で全ての難点を帳消しにしているかも。ただし細部のモールドは大雑把で、修正が必要。バリは凄く多いし、しかもベタベタしてるので、一度剥がれたバリがまたくっついて取れなくなってる(笑)。
エッチング 少ない、というかほとんど無い。ワイパーくらい付けてくれ。
ウィンドウ ぬるーく絞ったヒートプレス。透明度低く、ボディとの合わせも良くない。入念な仮組が必要。いっそ自作するか。
デカール メーカー不明。印刷は少々不鮮明。クリアーコートは可能。
ホイール ホワイトメタルもしくはベタベタレジン。運が良ければアルミのリムが付く。モールドはチョーぬるい。
タイヤ タイヤに見えない事もないという程度。別売品に替えるに限る。
当たり外れ かなりあると思う。大きな気泡や欠け、割れが珍しくないので、よく見て買いたい。
オレ的評価 仕事で20台くらい作ったら、イヤでイヤでしょうがなかったのが突き抜けて好きになってしまった。まさに1/43のブラックホールだ。向こう側はホワイトホールに通じてる。塗装するまではずっとアンモニア臭に悩まされるが、サフを塗っちゃえばもう匂わないから大丈夫。出来上がると意外なほど佇まいが良いので驚かされる。キレイに作れたら自惚れて良い。

トロン Toron (イタリア)

 あんまり見かけないが、たまに見かけると決まって大好きなクルマなのでついつい手が出る。出来は1流とは言えないので作るにはちょっと覚悟が必要か。ここは膨大な種類の別売パーツを出していて、大変お世話になってるので、けなすには忍びないなあ。箱が小さくて弱々しいので父性本能を刺激されるのだ。

ラインナップ 多いんだろうけど、あまり見かけない。60年代のイタリアの名車が多いようだ。
レジンの材質 黄色くて半透明な感じ。バター味のチェルシーにそっくりだが、食べられません。硬くて加工しづらい。気泡は少ない。
モールド 細部のモールドが全く無い単純な形状。こんなの俺でも作れそうだ、と野望を抱かせるシロウトくさい造形。プロポーションもけっこうテキトーだが、ツボはちゃんと押えているので「このクルマ何?」ってなことにはならない。カタチが単純なのでキレイに抜けている。バリも少ない。ボディ以外はホワイトメタルだ。
エッチング 物凄く多い。基本形状以外はすべてエッチングに頼っている。サッシにも使っている所なんか、BBR的だが、ボディの彫刻がヌルイのでピタッと来ない所はMRっぽい。
ウィンドウ BBR式「無理窓」が多い。そんな所見習うんじゃない! まれにヒートプレスしたのもあるようだ。
デカール おそらくカルトグラフ。良質。
ホイール シャープな成型のホワイトメタル。リムも挽き物ではないが、ちゃんと丸い。
タイヤ まあまあ悪くない。劣化の恐れもなさそうだ。
当たり外れ 作った数が少ないので断言出来ないが、そんなに心配はないと思う。
オレ的評価 基本的にエッチング・パーツ屋さんなので、そこン所は凄く出来が良い。それがすべて、とも言える。それだけに、エッチングが好きか嫌いかで評価が分かれるなあ。車種的にはササる物が多い。

 まだまだ他にもレジンのメーカーはいっぱいありますが、せめて違う車種を10個位は作ってみないと、そのメーカーについて論評するのはマズイと思うので、このヘンにしておきましょう。いずれまた追加するかも知れません。


(2)ホワイトメタルキット・メーカー

ルフ系メーカー

 エーエムアール AMR(フランス)

 ル・フェニックス Le Phoenix(フランス)他

 御存じ43世界の風雲児、天才原型師アンドレ・マリー・ルフが原型を担当しているメーカーはいくつかあり、ここではそれらを総称して「ルフ系」とする。

 ルフは元々ダンハウゼンの原型師で、いにしえのプランビーのキットのほとんどは彼の手になるものだ。その後自分のブランドAMRを起すが、これが潰れたり乗っ取られたり、また始めたりと色々で、このヘンの経緯は全部書くと一大伝奇ロマンになっちゃうので止めておく。最初のAMRがダンハウゼンとのゴタゴタで潰れた後、ルフが原型主任として招聘されて設立されたメーカーがル・フェニックスだ。作風は完全にAMRと一緒で、中身も箱を見なければAMRと見分けがつかない程よく似てる。途中から、ルフに育てられた若い原型師に交代したのでルフの原型でないキットも多々あるのだが、これがまたルフの作風そっくり。2002年ごろに活動停止した。一方ルフ自身は93年ごろ新AMRを設立したが、04年8月、突然の病に倒れて永眠、残っていた原型を使ってキットのリリースが細々と続いている。

 ピラニア・モデルは新AMRのサイド・ブランドで、アストンマーティンなどの英国車を主にキット化している。

 Meri-BAMというブランドもやはりルフが原型を作っているようで、内容は上2ブランドにそっくりだ。レジンの方で既出のToronにもメタルキットのラインがあり、一部はルフの原型だ。また英国のTins-Metalというメーカーは、古いプランビーズの原型をそのまま使っている。ディティール表現などはさすがに1世代前という感じだが、ルフらしい特徴(インテリアの構成とか)はすでにある。

 他にも、ルフが原型に関わったメーカーは沢山あり、慣れてくると「ああこれルフだね」とすぐ判るくらい、その個性は強烈。ここではこれらルフ系のキットの一般的な特徴を記しておきます。

ラインナップ フェラーリが断然多いが、60年代物を中心に色々ある。コルベットとか、ポルシェ、ベンツとか意外な物もあるぞ。ルフ物しか集めない熱狂的なファンもいるらしい。お金持ちですね。
メタルの材質 ちょー上等。鉛よりスズが多いのか、白っぽくて硬くコシがある。ス穴は非常に少ない。ウィンドウサッシがボディと一体になっている場合、磨くと非常にきれいなクロームメッキ様の光沢が出る。
モールド 非常に個性的。全体にゴツく、ずんぐりしていて筋肉デブっぽい。似ていないのも結構あるが、完成すると信じられないくらいカッコ良い。表面も非常にきれいで、職人の手仕事の極致という感じ。スジ彫りは幅が広く、深いがダルい。寸法がちょっとデカい。1/42? 肉厚なボディがビシッとキレイに抜けていて、とにかくきれいだ。バリも少ない。メタルの質の良さと相まって高級感炸裂。インテリアのパーツは独特の構造で、作りやすい。
エッチング 基本的にあまり多用しない。必要最小限。
ウィンドウ わりとシャープなヒートプレスで、合わせも比較的良い。他のメーカーより厚いエンビを使ってるようで、しっかりしている。
デカール 非常に良質。
ホイール ワイヤーの場合はアルミリムにエッチングの組立済みで極めて上質。アロイホイールは挽き物のリムにシャープな成型のホワイトメタル。
タイヤ 上質なゴムで、劣化の恐れもない。パターンもちゃんと入ってるし、寸法もドンピシャ。文句無し。
当たり外れ 何しろ高級品です。あまり無いと思うよ。
オレ的評価 「舶来イイもの好み」の心にグサリと刺さる品質感。持ってるだけで幸せになれる。まさしく43キット界のロールスロイスって所かな。高いからそうそう買えませんけどね。10個くらい持ってるなんて口が避けても言えないわい。作らずに寝かせておくとドンドン値が上がるので投機的価値もある。なんてイヤな事書いちまったな。俺は絶対売らないで作っちゃうもんねー。

タメオ Tameo(イタリア)

 F1ならおまかせの老舗メーカー。プロポーションのみのシリーズと、カウルが外れてエンジンまで再現されるシリーズがあり、極めて高品質。エッチングと鋳造パーツの合わせもよく、最近のキットはプラモデルみたいにパチパチ組める。インストもBBRへの対抗策としてどんどん親切になり、CGイラストを多用していて非常に詳細だ。カルトグラフ製のデカールも超高品質。英国のディストリビューター向けのサブ・ブランド、シルバーラインSilverLineもここの製品で、キット内容はほぼ一緒。

ラインナップ 70年代から現在まで、膨大な種類のF1がそろう。グループ6やロードカーなんかも少しだが出ている。
メタルの材質 良質、わりと硬い。ス穴は少ない。
モールド 正直言って、F1のプロポーションってよく判らないんだよね。似てるとか似てないとか、何をもって言ってるのかね。ここのキットはチャンとそれらしく見えると思うがね。BBRよりはマッシブな感じがするけど気のせいかな。ボディは結構バリが多い。小さいパーツには一部ロストワックスを導入、非常にシャープ。
エッチング 非常に多い。これはアイテムの性格上仕方がないだろう。真鍮と洋白を使い分けたり、細やかな心遣いあり。曲げやすく、合わせも良い。総じてよく考えられたパーツ構成だ。スタンダードなラインのキットは2005年以降、エッチングが削減される傾向。
ウィンドウ F1だからね。窓はありません。コクピットのバイザーはちゃんと絞ってあります。
デカール 必殺カルトグラフ。キットの主役と言ってもいい。印刷きれい、貼りやすく、クリアーコートにも強い。
ホイール 挽き物のアルミリムにエッチングのスポーク部を組み合わせる。極めて良質。
タイヤ 上質なゴムで、劣化の恐れなし。安心だ。
当たり外れ あまり無い。
オレ的評価 仕事ではよく作るけど、個人的にはあんまり興味無いからなあ。まあ良いんじゃないでしょうか。でも1/43のF1はハコ車よりずっと難しいよ。F1以外は見るのもイヤだ!ってんならともかく、プロバンスあたりを少し作って慣れてからトライした方が良いと思うな。タメオをバシッとキレイに素早く作れるようになれば、充分プロでやっていけます。

ビービーアール BBR(イタリア)

 かつては1/43のF1ではタメオと双璧をなすブランドだったが、実車メーカーのロイヤリティ高騰や、タバコデカール問題からキットのリリースは減り、最近はとんと御無沙汰。ハコ車はレジンだが、フォーミュラカーはホワイトメタルとエッチングだ。キット構成はタメオとよく似ているが、CGイラストを多用した判りやすいインスト、CADで設計したボディなど、常に一歩先を行くテクノロジーでライバルメーカーをリードしてきた。

ラインナップ これまた膨大な種類のF1がそろうが、旧いマシンにはあまり熱心じゃないようだ。
メタルの材質 材質はタメオとほぼ一緒。表面はこっちの方がきれいな感じ。ス穴は少ない。
モールド 同じ車種をタメオと作りくらべると、驚くほど形が違う。こっちの方が全体にスマートで線が細い印象がある。でもどっちもちゃんとそのクルマに見えるぞ(少なくとも俺にはね)。CADで作っているから左右対称が完璧に出てる。正確で良いが可愛げはない。バリは少ない。タメオより丁寧な仕事をしているみたいだ。ま、しかし所詮ホワイトメタルである。小さな穴が潰れてたりするのは仕方がない。
エッチング 非常に多い。タメオと切磋琢磨しているので構成も似ているが、細部の表現はこちらの方が様式的というか、抽象的でミニカーっぽい。合わせはさすがに良いぞ。仮組みなんか要らないくらいだ。
ウィンドウ コクピットのバイザーは極薄エンビ平板。ちゃんと曲げてくれよー。
デカール カルトグラフ。タメオに入っているのとはセルの厚さが微妙に違っていたりする。
ホイール 挽き物のアルミリムにエッチングもしくはホワイトメタルのスポーク部を組み合わせる。
タイヤ 上質なゴムで、劣化の恐れなし。
当たり外れ あまり無いと思う。生産管理がしっかりしていて、工業製品って感じだ。
オレ的評価 タメオよりは初心者は作りやすいんじゃないかっていう気がするが…

レーシング43 Racing43(イタリア)

 ラリーに徹底的にこだわるメーカー。かつてはF1やロードカーも出していたが、最近はもうラリー一辺倒。WRCだけじゃなく、ヨーロッパ選手権やイタリア国内選手権など、ローカルイベントのエントラントも押さえる。作り手の方が資料が無くて困るほどだ。日本車やランチア。フォード等のメジャーな車種だけでなく、セアトやシュコダ、コルスに出たポルシェやフェラーリ等も出ている。値段もお手頃で買いやすい。四角いクルマの方が得意みたいで、70年代のGr.4やGr.Bには良いキットが多い。

 05年あたりから材質を徐々にレジンにスイッチしつつある。レジン製のキットはBBRに良く似た作風で、かなり毛色が違う。

ラインナップ 同一年度の同じ車種でもイベント違いが何種類も揃うし、デカール替えでプライベーターやローカル車両もごっそり出る。全体ではまさに天文学的バリエーションで、ここのキットを一人で全部作るのは多分物理的に不可能だ。
メタルの材質 あんまり良くない。表面はガサガサ、ス穴も多い。硬いので変形は少ない。
モールド いかにも手作りという感じで、素朴と言やぁ聞こえが良いが、結構いい加減。左右対称も出てないし、原型表面の傷がそのまま成型されてたりして。イマイチ似てない物も多いので、カタチにこだわる神経質なモデラーには向かない。バリやモールドの潰れも目立つ。サイドシルなんかモールドがバリに呑み込まれてる。下地作りは丁寧に。コクピットのパーツはかなり細かく再現されているが、ゴミ度高く、仕上げは結構大変。どうせ大して見えないだろ、という割り切りが必要だ。
エッチング 非常に多い。ボディ表面のインテークやルーバーなどのモールドは全てエッチングに頼っている。ボディとの合わせは良いので、それほど苦労なく取り付けられて、精密感抜群。出来上がると意外に良く見えるのはそのお陰。ただしヘッドライトもエッチングに透明樹脂を垂らしたのが入っていて、綺麗なんだけどリアリティには欠ける。
ウィンドウ ヒートプレスだが、あんまり合いは良くない。サイドウィンドウはヘロヘロで使えないものが多い。
ホイール ホワイトメタルのベースにエッチングをペタンと貼付ける方式か、メタルのカタマリか。どちらにしてもリアリティは今一つ。
タイヤ プロバンスと同じゴムで、ストックしとくと5年くらいで劣化し油を吹き出してカチンカチンになる。おまけにホイールに大して大幅に小さいので組んで数年でパックリ割れる。買ったらすぐタイヤは捨てて、別売品に替えちゃおう。
当たり外れ 少々の型の壊れはシカトで抜くので、かなりある。初心者は見ずテンで買うのは危険。
オレ的評価 結構厳しい事を書いたけど、これは愛情の裏返し。実は非常に好きなメーカーである。作りにくいトコもあるが慣れちゃえばおそるるに足らず。カルトのデカールが全ての欠点を帳消しにしてくれるし、何より作っていてすごく面白いのだ。男の子ならこれくらい平気で作れなくてどうする?(別に作れてもモテませんが)

 

エスエムティーエス smts(イギリス)

 英国最大のメタルキット・メーカー。元々はかなり甘い作風で、昔のコーギーやディンキーなどをキット化したみたいな素朴な感じだったが、21世紀に入ってからメキメキと品質が良くなり、新しいキットはAMRにも負けないくらいに内容が充実している。他のメーカーのキャスティングも手掛け、自社でもアメリカ車の別ブランドを持っていたりするらしい。今後、要注目だ。

 05年に活動停止したSRCの原型を全て引き取り、ほぼそのままの内容で再販している。こちらのキットはsmtsオリジナルよりも繊細な雰囲気だ。

ラインナップ 英国車が中心で、ジャガーやアストンはあらかた揃う。TVRやロータスもあるぞ。ランボやフェラーリなどイタリア車も意外に出ていて、しかも妙にマニアックな車種が多い。微妙な車型違いや年式違いも押えてくれるので、ピンポイントで好きな車種が入手出来る。つまり「俺様仕様」が可能。ロードカーが中心だが、旧いフォーミュラカーなんかもある。
メタルの材質 昔はあんまり良くなかったが、01年以降ぐっと良くなった。柔らかく変形しやすいのが欠点。うっかり踏んづけるとペタンコになるぞ。
モールド 手作り感強く、素朴な感じだがプロポーションはなかなか良い。割と肉薄に出来ている。スジ彫りがあまり深くないので彫り直す必要あり。左右対称とか細かい事を求めてはいけないよ。バリやモールドの潰れ、歪みが多い。つまりはお楽しみ度も高いってことだ。下地作りはじっくりやりたい。バンパーなどのメッキパーツは独特の質感があり、風情が良い。インテリアのパーツはプラモデル的なバスタブ構成の物が多いが、再現度は結構高く、雰囲気は充分。
エッチング 結構たっぷり入っていて、完成すると豪華になるぞ。ボディとの合わせも悪くない。
ウィンドウ ヒートプレスで、合いも悪くないが、あまりシャープな絞りではない。薄過ぎて変形しちゃってるのもよくある。いちいち返品してもどうせまた同じようなのが来るから無駄だ。自作しちゃおう。
デカール セル層が黄色く、クリアーコート不可。SRC再販キットだけはカルトグラフと思われる良質なものが入っている。
ホイール ホワイトメタルのカタマリか、それにメッキをかけたもの。まあこんなもんかな、という程度の出来。
タイヤ 劣化してカチンカチンになる恐れあり。
当たり外れ 結構あるようだ。よく見て選んで買いたい。ただしボディの歪みは簡単に修正出来るので、余り気にしないように。
オレ的評価 地味な英国のクルマがいろいろ出ているので、最近注目のメーカーである。旧車のイメージが強いが、エリーゼなど新し目のクルマも一杯出てるから見逃せない。完成するとズッシリと重く、見た目にも重量感があるのが良い。ダイキャストのミニカーとは全く違った世界が表現されているので、作り甲斐がある。ただし作り手のウデの差は非常に出るので覚悟せよ。

ケイアンドアール・レプリカス K&R Replicas(イギリス)

 英国車、それも地味な実用車系を熱心にリリースし続けるマニアックなメーカー。およそ模型映えしない英国フォードやトライアンフなんかのセダンがゴッソリ(きゃー)。旧車だけじゃなく70年代のやる気無さそうな実用車までキット化している。英国のフジミ?なんちゃって。SMTSとは提携関係にあるのか、一部キャスティングを外注しているらしいキットもある。

ラインナップ わずかにフェラーリの戦前のグランプリカーなんかもあるものの、ラインナップのほとんどは英国車。MGやジャガーもあるが、エンスー訴求力皆無のポピュラーカーにむしろ良いキットが多い。オープンカーの場合、幌を上げたのと畳んだのと両方出ている。ここのキットにグサリと来たあなたは重度の英国性変態です。
メタルの材質 とても良い。AMRのメタルに似たスズの割合が多いもので、結構硬い。
モールド 出来不出来がハッキリしていて、良いものはプロポーションもディティールもモールドも素晴らしいが、とんでもなく出来の悪いキットも結構ある。鋳造もけっこう荒く、バリも多い。パーツの合わせもイマイチ。キットはあくまで素材と考えるべし。
エッチング ほとんど(いや全く)使わない。エッチングというものの存在を知らないのかもしれない。
ウィンドウ ヒートプレスだが素材が薄すぎてペナペナだ。絞りはアマアマ。全く使えないものも時々ある。
デカール クリアーコートほとんど不可。小さなエンブレムのみの物はなんとかいけるか。
ホイール ホワイトメタルのカタマリか、もしくはそれにメッキをかけたもの。真円が出ていない可能性高い。今どき、ワイヤーホイールもメタルの一体物だったりする。かえって潔いぞ。精密なら良いってモンじゃないのだ。でも俺は別売品に替えちゃうけどね。
タイヤ 割れたり劣化したりする恐れはないようだが確証はない。という前に、カタチが良くなくてタイヤに見えない。
当たり外れ 生産管理はしっかりしているようで、事後変形などはあまりない。
オレ的評価 印象としてはSMTSに似ているが、更に味が濃い感じ。英国車の深い世界にどっぷり使って気持良ーく溺死したい人向け。エッチングに頼って精密度の向上に血道を上げる43業界の傾向に背を向けて、独り我が道を行く孤高のメーカー。いつまでも志を曲げずに頑張って欲しい。東の辺境から応援してるよー。


(番外編)プラスティックモデル・メーカー

エレール Heller(フランス)

 「ヘラー」って読んでいる人、結構多いけど、フランス語では語頭のHは発音しません。インジェクション・キットのメーカーとしては世界で唯一、1/43のキットをコンスタントにリリースし続けているメーカー。70年代から連綿と作り続けているので、カタログ落ちしているものも含めると相当のアイテム数が揃います。80年代にはグンゼ(現GSIクレオス)が自社パッケージで出していた事もあります。エアフィックスの43キットもここの箱違いで、中身は完全に一緒。

ラインナップ 70年代にはヨーロッパの普通のクルマ、すなわち現在ではかなりエンスーな車種を多くリリース。80年代にはF1やGr.C、90年代以降はWRCものが中心。70年代初期のものが最も精密で、80年代には一時的にレベルが落ちたが、最近のキットはそれなりに悪くない出来に戻った。
プラの材質 柔らかいのでヒケが多い。古くなると箱の中で変形していたりする。
金型の出来 出来不出来が激しく、同じメーカーとは思えない程だ。繊細なモールドとは言い難いが、独特の味はある。
成型 歪みやバリが多い。ボディはランナーからネジ切ってあるので、湯口付近が損傷しているケースが多い。生産ラインに乱暴な奴がいるのか?
エッチング もちろん入ってない。
ウィンドウ 古いキットは合いが良過ぎて塗装すると入らない。80年代の物はボディと全然合わないのもある。90年代以降は少し良くなった。ワイパーがモールドされてるのがちょっと痛いんだよねえ。
デカール 印刷のズレ、小さい文字の潰れ、文字色のミスなど多く、かなり残念。
ホイール 昔はメッキがかかっていたが、90年代以降はメッキ無し。モールドはアマい。
タイヤ モナカ合わせ、もしくはプラのカタマリ。ヒケ多し。トレッドパターンは入っていない。
当たり外れ クリアーパーツの割れに注意。と言ってもシュリンクパックされているので選び様がないけどね。オークションで古いデッドストックを買う時は、変形はある程度覚悟しよう。
オレ的評価 値段はレジンの1/10だし、気泡もないし、気楽に作れるんだけど、レジンの練習用にはならない。キットの構成が余りに違っているので、エレールがキレイに作れるからといってレジンも上手く出来るとは限らないのだ。ある意味1/24のキットよりも難しいと言える。これはこれで独特の世界であると認識すべし。

エーエムティ/アーテル AMT/ERTL(アメリカ)

 あまり知られていないが、70年代末くらいに1/43キットをリリースした事がある。昔、全種類作ったが、1/25のエンジンをオミットしてスケールダウンしたような構成で、いずれも素晴らしい内容。程度の良いデッドストックを見つけたら絶対買うべし。

ラインナップ 50年代末のシェビー、60年代末のカマロ、マスタング、コルベットなど数種類のみ。アメ車エンスーの王道を行く車種ばかりだ。
プラの材質 柔らかいのでヒケが多い。1/25キットと全く同様。
金型の出来 いずれも素晴らしく良い。エレールとは比較にならん出来の良さ。
成型 非常にシャープでキレイ。
エッチング 入ってない。
ウィンドウ 1/25と同じで前後ウィンドウが一体。なぜかサイドはガラ空きだ。
ホイール キレイなメッキがかかっていて、モールドはシャープ。
タイヤ ゴム風プラ、トレッドパターン入り。1/25とよく似ている。
当たり外れ これから買うって事は古いものしかないので、ある程度覚悟しよう。
オレ的評価 エレールよりもはるかにハイレベルなモールドで、プロポーションも最高。アメプラのディープな世界ってホントに凄いぜ。もう一度生産してくれないかなー。

モノグラム Monogram(アメリカ)

 ここも80年代に「アルティメット・シリーズ」と称して2種類だけ1/43キットをリリースしている。これがまた素晴らしい内容なのだ。

ラインナップ シェルビー289コブラと、コルベット・ロードスター(C2)のみ。
プラの材質 1/24シリーズと全く同じで、コシがある上質のプラ。
金型の出来 なんとエンジン、シャシーまで再現されたフルディティールで、1/24の完璧な縮小版。プロポーションも素晴らしいぞ。眺めているだけで号泣ものだ。
成型 非常にシャープ。申し分ない。
エッチング これがまたテンコ盛りだ。明らかに、当時盛んになり始めたレジン/メタルキットに真っ向勝負を挑んだもの。
ウィンドウ もちろんプラ。薄くてシャープだ。
ホイール コブラは何とエッチングのワイヤー入り。さすがにリムはメッキのプラだけどね。コルベットはキレイなメッキで繊細なモールド。
タイヤ ゴム風プラ、トレッドパターン入り。1/25とよく似ている。
当たり外れ モノグラムは古くなっても変形は少ないので、割と安心だ。ただ、箱が柔いのでぶっ潰れているのも多い。
オレ的評価 モノグラムの底力を感じさせる驚異的な内容。値段も結構高かったけどね。90年代まで再販されていたので、結構出物がある。見つけたら即ゲットでしょう。私は両方とも持ってるけど、色違いを作りたいのでもっと欲しいなあ。そろそろ再販してチョー。新作も欲しいけど、もうこういうのは出さないのかな?

ロッソ Rosso

 日本で唯一、1/43プラモデルをコンスタントにリリースしたメーカー。ヘルパの1/43プラ完成品に強い影響を受けて、極めて高い成型精度とエッチングやダイキャストなどの金属素材も取り入れた、ハイテックな作風が特徴だったが、80年代後半のごく短期間しか活動せず、さまざまな事情から金型の所在も不明で、他メーカーからの再販の見込みも全くなし。

ラインナップ R32スカイラインのロードカーとレーシング仕様、NSX、RX−7(FD)、フェラーリのF1数種類。ある意味タミヤ的な王道を行くアイテム選定。
プラの材質 タミヤに近い、上質なプラ。
金型の出来 極めて精密だが、設計がタイト過ぎて組みにくい箇所もある。
成型 非常にシャープ。バリも少なくキレイ。
エッチング F1の足周りなど、最少限度に適切に使用。あくまで補助的存在。
ウィンドウ もちろんプラ。綺麗な成型だ。
ホイール プラ。出来は全く文句無し。
タイヤ 上質なゴム、1/24プラモデルの縮小版。
当たり外れ ほぼ無いと思う。
オレ的評価 まさしくタミヤの縮小版のような内容。エレールとは次元が違う。もっと長続きして色々なキットを出して欲しかったなあ。RX−7は倒産寸前にリリースされたので、1ロットしか作っておらず、幻のキット。オークションなんかでもチョー高価だが、手に入れる価値はある。


→概論篇の目次に戻る