721系の成り立ち

JR北海道721系は、老朽化してきた711系や、客車の置き換えと、混雑が激しい札幌地区の通勤輸送の改善、千歳空港のアクセス用などを目的として計画され1988年9月に最初の2編成が製造された。基本となったのはJR東日本(旧国鉄)の211系で、それをベースにして片側3ドアながら寒冷地を考慮して片開きでデッキ付き構造とされた。また、定員確保のため211系より少し車体長が長くなっていている。もちろん、711系よりも少し長い。前面スタイルは特急DCのキハ183系をベースとしたもので、大きな変更点としては左右の窓の大きさが同じになり、ライト類が角型から丸型になっている所。
 制御方式は711系と同じサイリスタ連続位相制御としながら、加速性能を良くするため同じ3両ユニットで2M1Tの構成としモーター出力も大きくして当時としては国内在来線最高クラスの加速性能を誇った。最高運転速度は130km/hとされたが、実際に130km/h運転を開始したのは2002年3月になってからで、それまでは120km/hにとどめられていた。1000番からは制御方式がVVVF方式に変更され1M2T編成になったが、モーター出力が215kwにされ加減速性能はそれまでの物と同一となっている。
 車内は居住性と空港アクセスを考慮して転換クロスシート、また乗降時を考慮して客室端の座席は1人掛けシートになっていて、そこは現在優先席とされていることが多い。2001年にはF-15以降の奇数編成の苫小牧寄りと6両固定のサハ721の半室が指定席uシートに改造された。また、北海道の普通列車用車輌としては初の冷房付きになっていて、窓は基本的に開閉できないが、1両に4ヶ所冷房故障時のために一部開閉できるようになっている。
 721系は7年間にわたって114両が製造され、函館本線小樽―滝川間、千歳・室蘭線札幌―苫小牧間で運転されている。(回送では室蘭本線糸井まで運転されていた事がある。)
 2002年3月からの130km/h運転に伴い、対象車輌が1000番台を除き原番号+3000番に変更されると共に、破損防止のため、客室窓がポリカーボネィトに取り替えられ、ヘッドライトも下の2つが白いHIDライトに変更されている。
 2003年には実に9年ぶりに増備され、中間車のみの増備車と1000番台の1001〜1008が複雑に組み替えられ、6両固定編成7本と3両編成のF-5001が作られた。この増備車は従来の721系とは外観、中身共にかなり異なっていて、731系や785系uシート車などの要素がかなり入った格好になっている。また、同時にエアポート用のuシートが半室から1両全室に増強された。この増備で721系の総数は135両になった。


721系の区分

区分 編成番号

解説

1次車 F1〜F8

1988年製造分。札幌―琴似間の高架化に合わせて製造された。721系を製造した車輌メーカー3社全てが製造している。この区分だけ座席の色が赤で、デッキの壁も青に白抜きのすずらん模様とかなり派手な装い。口が悪い人は「まるでディスコのようだ」と言っていた。車外の車輌番号が黒文字なのはこの区分だけ。

2次車 F9〜F16(3016) 1989年製造分。基本的には1次車と変わりないが、内装色の評判が悪かったのか、座席の色が茶色をベースとした物になり、デッキの壁も水色にすずらん模様と言った落ち着いた物になった。細かい所では客室前後の壁に付いている暖房器がカバー付きの物からカバーなし、角丸の物になっている。また、車外についている車輌番号が黄緑に白の縁取りの物になった。
3次車 F17(3017)〜F18(3018) 1990年製造分。2次車との変化はない。この区分の特筆すべき事としては、F-17編成がJR北海道の苗穂工場でノックダウン生産されたと言う事だろうか。年度の製造数も2本と全体を通じて一番少ない。
4次車 F19(3019)〜F22(3022) 1991年製造分。非VVVF車の3両編成の最終生産分。この区分からクモハの屋上についている放熱器カバーの形が台形の物から、クーラーキセと同じ断面の物に変わっていて、初めて外観に変化がついた。また、この区分から車輌番号が白文字になった。客室端の暖房器が角丸から、角の折り目がはっきりついたものに変わっている。F-22編成は92年に増備されたF-23の3両を組み込んで6両固定編成化された。
5次車 F23(3023)
F101・201(3101・3201)〜F103・203(3103・3203)
1992年製造分。新千歳空港ビルへの乗り入れを控えて、初めて登場した6両固定編成で、そのため、サハ721型とモハ720型が新形式として登場している。
F-23は4次車のF-22編成に増結して6両固定編成を作るために製造されたため、モハ720、モハ721、サハ721型だけが存在する。細かい所で車内の室温計がアナログからデジタル式に変わっている。そのため、F22-23編成には車輌によって両方の室温計が付いている。(ただし、4次車以前の編成でもデジタル式に交換されているのもあるが、形が違うのですぐにわかる。)
6次車 F1001〜F1005 1993年製造分。それまでのサイリスタ連続位相制御から特急用の785系のシステムを基本としたVVVF制御に変わり、初めてシステム的に大きな変化がついた。モーター出力も大きくなり、中間車のみがM車となり、両端がクハとなったため、札幌方が2000番台と区別されている。2000番台にはそれまであった雪切室がなくなったため初めて車椅子スペースが設けられいてるが、なぜか0,100番台の雪切室の反対側となっている。また、その部分に隣接した座席は苫小牧方向に固定されていて転換不可能になっている。また、細かい所では窓の厚さが従来より1mm薄い4mmの熱線吸収ガラスになり、椅子も軽量化されている。。F-1005のみ他の編成と少し制御システムが違っていたと言う記憶があるのだが、資料が無く定かではない。2003年9月〜11月の8次車の増備に伴って8次車と編成替えが行われ、F-4101〜F4104・F-5001・F-5101〜F-5103に組み込まれている。
7次車 F1006〜F1009 1994年製造分で。基本的には6次車と同じで変化はない。F-1009は95年に次の731系のシステムの試験のため、VVVF素子がGTOからIGBTに変更されたのを始めとして、731系とほぼ同じシステムに変更されていて、M車屋上の機器が撤去されている。2003年9月〜11月の8次車の増備に伴ってF-1009を除き8次車と編成替えが行われ、F-4101〜F4104・F-5001・F-5101〜F-5103に組み込まれている。現存する1000番台はF-1009のみである。
8次車 F-4101〜F4104
F-5001
F-5101〜F-5103
実に9年ぶり、2003年製造分。全て中間車のみで、旧F-1001〜1008編成と併せて組み替え6両貫通編成となっている。(F-5001のみは3両編成)9年ぶりの新造車と言うこともあって、従来の721系とはかなり変化している。外観ではまず窓配置が変わり、Uシート車以外では戸袋窓が無くなり、721系では初めて転落防止用の外幌も設けられた。またモハではパンタがシングルアームとなり、サハも含めて床下はボディマウントが施され着雪防止対策としている。他にクーラーの容量増大に伴いクーラーキセも従来の物よりも大きい。車内に目を移すと、5001とuシート車を除いて一番大きな変化がデッキの仕切が廃止され従来一人がけ座席の部分がロングシート化されている。また、シート地の色も従来無かった青系統の物が採用されていて、手すりも大きくなっている。乗降ドアの上部3箇所には情報パネルが設けられ、天井の作りが731系に類似した感じになっている。uシート車の車内は従来車のイメージを一番残しているが、色使いはかなり変わった感じになっている。また、uシートの座席は789系やキハ261系の普通車と基本的に同じ物が使われている。
モーター出力が230psに大きくなったため同一編成内に従来からのモハと新造のモハが混在しないように編成が組まれ、従来モハの編成が4000番台、新造モハの編成が5000番台となっている。

戻る