TZR250 SP ヤマハ伝統パラレルツインのブレイクスルーポイントだったのか。

 2年間でやめちゃったね・・・(泣)


後方排気

スタイリングはファクトリーマシンYZRのイメージが反映されており管理人のような当時のヤマハ小僧は「カッチョイー」と感涙していた。NSRや後の3XVのように市販レーサーとの共通点はなくあくまでロードスポーツとして開発された筈なのだが最初のモデル(1KT)がその心臓部をTDRやR1Zに活用されていったような展開もなく短命なマシンとなった。故に製造メーカーにとっては金のかかったマシンなのだが個人的には車輌個体で見ると結構寂しい。スクリーンは歪みまくっており使用に耐えるものではないしフレームの溶接もRZVや1KTと異なり自動化されたようでフレーム裏側は見るたびにがっかりしたものだ。ステップ廻りもとりあえずつけました。レベルで造型的なセンスは感じられない。

そうは言ってもこの後方排気エンジン、パワーバンド域での気持ちよさはシリーズ随一だと思う。「パアーンッ」といった排気音とシンクロして実にいい。Vツインの「バイーン」といった感じはそそらないのだ。(笑)逆にその他の居住性とか使い勝手といった部分は「なんですか?それ」といった状態。ジーパンあたりで夏場に乗れば低温ヤケド間違いなしだ。

ジャンク Introductory chapter (入手直後)

ボロイことは聞いていたので引き取り時にキックは違和感なく踏みおろすことができたこととフレームにダメージなし、書類確認程度でお買い上げだ。このままバラされてパーツとして処分されるのは可哀想だ。(やっぱ変ですか・・・?)販売ショップ(YSP)のシールから遠く四国からやってきた車輌のようだ。

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外装は89年式の白/赤にしたかったので問題にしていなかった。早速キャブをばらす。外見の熟成された(腐蝕)様子とは裏腹にフロート室には綺麗なガスが残っていた。リードバルブを外しクランクを除いてみても長期不動車という訳ではなさそうだ。「神様ありがとうございます。」と感謝しつつチャンバーを外す。排気ポートからピストンとご対面だ。ちょっぴり縦傷が確認できるがリングからの吹き抜けも全くない。「これはひょっとして出物だったか!」と一瞬販売してくれたショップに感謝したがピストンヘッドに全くカーボンが付着していないことに気付く。「?他の状態から察するに前オーナーがオーバーホールするような方とは思えないし変だなあ」と感じ腰上はやっぱりばらしてチェックすることに決めた。

これは・・・ CYLINDER HEAD (シリンダーヘッド)

3MA4は他のグレードと異なり気筒毎に独立したヘッドとなる。ガスケットはメタル1枚物でペラペラだ。圧縮比も市販車としては高く設定されている。


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燃焼室とご対面。「・・・・・・・・・・。」ヘッドにも殆どカーボンの付着なし。シリンダーベース、ヘッドガスケットの状態からもばらされていたことは間違いないようだ。しかしこのシリンダーヘッドは一体。ピストンヘッドに損傷は全く見られないので組みなおされたことは間違いないようだ。しかしこのヘッドをそのまま組むとは豪気だ。

(後ろにちらっと写ってるのは90TZのシリンダーおよびヘッド。TZRとの互換性は全くない。)    

NG CYLINDER (シリンダー)

アルミメッキだが1KT以来のヤマハ製シリンダーとすぐにわかるシリンダー。レーシングマシンのように掃気ポートと排気ポートが接近しており強度的に大丈夫なのか心配になるほどだ。補助排気ポートも初めて採用された2XTよりかなり拡大されている。鋳鉄スリーブのRZやRZVは掃気面を滑らかにしてやろうなどと感じるがこの辺のモデルになってくると全然感じない。

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排気面側には結構な縦線が深く刻まれていた。ここに至ってピストン構成パーツの破損があったと確信。その後リングやピストンを交換して組まれたエンジンを無理して乗っていたと推測。調子が良い筈ないので手放したのだろう。ショップがこんな強引な手法を採るとは思えないし若人が友人らと原付時代の経験を活かして?がんばってみたのかなあ。などと現実逃避をしていたが再メッキか代替品がなければ何ともならん状態だ。腰上がこうではクランクも怪しい・・・。こいつは手強そうだ。

ピストン

PISTON (ピストン)

ボアストロークは先代1KTの 56.4X50.0mmから56.0X50.7mmに変更。ピストンの新しくなった。1KT、3MA、3XVの各モデルピストンに互換性はないが3MAと3XV(STDモデル)のピストンリング類は統合されている。


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カーボンの付着すら殆ど見られなかったピストン。シリンダー(ヘッド)の程度からこのピストンに交換してからエンジンに火が入ったのは極少時間だろう。スタッドボルトの腐蝕が激しいがクランクケースにも塗りたくったガスケットが確認できたので腰上だけでなく下側もバラしたようだ。(クランクケース位は無事であって欲しい)

 

やふーおーくしょん yahoo auction (ヤフオク)

バラした腰下はベアリングの位置決めを無視した組み方がされており回り止めのピンがケースを醜くえぐっていた。元々1000台しか生産されていない個体だが当時のヤフオクではそこそこ出品されていた。

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ただし89年式エンジンの4〜5倍はする価格が問題だった。今なら絶対手はださないがこのころは90SPモデルのパフォーマンスを味わいたかったんでしょうなあ。(笑)結局ミッションがSTD化された奴を落札。皆乾式クラッチでないことが理由か判らないが入札は自分のみ。大径キャブとカーボンリードバルブが付いて諭吉1枚也。外見とは裏腹に今度の奴は程度良好だった。

 

クランク CRANKSHAFT (クランクシャフト)

バランサーギアの付いたクランクシャフト。センター部オイルシールはRZやRZVのラビリンスシールのように再利用できるものではない。オーバーホールはこの辺のモデルに精通したショップに任せるのが無難だ。

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当時、F3ではなくSPクラスの3MAが2レース毎にクランクシャフトは交換していたことからも直接の好敵手?であるMC18、VJ21と比較しても耐久性に劣ることは否めない。(今となっては経年変化による劣化の方がはるかに重要な問題だが)ただでさえピーキーな特性により高回転域を多用するエンジンをプロダクションレーサーのように扱えばすぐに寿命がやってくるだろう。ちなみにMC18が4000キロで交換を推奨されていたらしい。VJ21にいたっては1シーズンケースを割ることなく走っていたようだ。スズキ2ストマシンに採用されるシールは相当グレードが高いのだろうか。(前者がJHA、後者はSRSスガヤの紹介記事より。当然馬力規制のある公道走行バイクとしての耐久性は別なのだろうが・・・。)

ミッション TRANSMISSION (ミッション)

カセット式となり1KTのようにケースを分割しなくてもギアレシオの変更が可能となった。といっても私のような一般ユーザーがその恩恵を受けることは全くない。(笑)3XVのように冷却系と別になっていないため交換毎に冷却水も抜き取る必要がある。

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カセット式ミッションをレーサーと共用していないクランクケースで実現したのは3MAがヤマハ2スト初ではない。以外だが5年も前に発売されたRZVも採用している。こちらはクラッチ側からミッションを抜くのではなくフロントスプロケ側から抜かねばならず面倒かつ交換可能なギアの設定もない完全なイメージ造りのための飾りだったのに対しこちらは本格的だ。STD状態でファースト29T、セカンド26T、サード24Tとしたクロスレシオな設定はストップアンドゴーといった公道走行には「勘弁してくれ」というのが正直な感想だ。 

3XVよりは手を入れ易いのだが・・・

CARBURETOR (キャブレター)

吸入側が車体前方にあることからキャブレターもこんな場所にある。この構成であることが2ストモデルにしては異様なほど低重心な構成となり、独特なハンドリングに寄与している。89モデルは32パイのミクニ製TMモデルであったが90モデルでは30パイに小径化されている。

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プロダクション対応モデルの3MA4だけ34パイの大口径キャブを装備していたが鈍感な管理人には違いが全くわかりません。基本的な構成は全モデル共通だがスロットルワイヤーはリンク式で左右の同調をとっており、ニードルの調整、交換には時間がかかる。ストリートマシンでチャンバー交換に伴うセッティングは根気を伴うことになるだろう。苦労に見合ったパフォーマンスをストリートで感じることも難しいのが自分の感想だ。元々高回転仕様のエンジンに対応しているSTDのマフラーは重さを除けばかなり出来がいいのかもしれない。また前述した通りクラッチは湿式化してまともに?走る様に改良している。

 

このステップは素晴らしい

BACK STEP(バックステップ)

スポーツショップイシイ製バックステップ。ノーマルの出来損ないステップとは雲泥の差があり、ミッションも節度のある感じでスコスコ決まりとても気持ちよいタッチに変貌する。後方排気のTZRは、シートレールやシフトペダル類が先代1KTがアルミ製だったのが安っぽいスチールへと退化?している。リアアームピポッド部分も鋳造肌そのままで何の処理もされていない。

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プレートの厚さも充分あり昨今のファッショナブルなストリート用ステップ?とは異なり虚飾を廃したレーシングステップだ。流石にステップバーに時代を感じるがお勧めできる一品だ。画像からも分かるがリンク部分をひっくり返すだけで逆チェンジ化が可能だ。
ヤフオクで見かけたら是非手に入れておこう。(笑)

 

オーリンズ製リアサスペション  REAR SUSPENSION (リアサスペション)

当時(新車)良く動くサスペションに感激したことを記憶している。250CCクラスで別体式ガスタンクを(プロダクション仕様車以外で)標準装備していたのは珍しかったと思う。

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3MA4はリンクを含めサス廻りは専用品。ホイールリム幅4.5インチに対応するため〜などといった話も聞くが何のことはないサス以外はリンクプレートが他モデルと異なっている程度。しかもプレートには「1WG」とあることから初期型FZR400と同じものであろう。この車輌はカタログ落ちしているオーリンズ製サスペションをスクーデリアオクムラさんでオーバーホールをお願いして装着している。試したことはないがスズキRGV−Γ(VJ21〜22)用をオーバーホールついでに3MA仕様に変更してもらえるとか・・・。(真偽不明)
事実なら一品モノでつくってもらうより(Γ用を新品購入しても)安上がりかもしれませんね。
(タンクの位置が逆なのはホースの向きが・・・)

スポーツショップイシイ製チャンバー

EXHAUST PIPE (チャンバー)

当然?大学時代の車輌に装着していた当時物スポーツショップイシイ製チャンバーを再び装着。89年式用で販売されていた製品だが90年式に使用しても問題ないようだ。ただしエアクリーナボックスレスでの使用を前提とした商品でもある。

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余談だが89〜90年はスポーツショップイシイからOXレーシングへと同社の改変期でもあった。イシイ製チャンバーは高速、中低速仕様別に2種類のエキパイフランジがセットされる。今日オークションで出品されている商品で両方そろっているモノは中々みかけませんね。ストリートチャンバー(マジックファイヤ)はラインナップされていなかったがJMCA等の規格もなかった当時は売る方もおかまいなしに販売していた。(SUGOのCDIはMFJライセンスを購入時に掲示しないと売ってくれなかったなあ)
SP、F3クラス共に積極的に参戦していたのはイシイとRC甲子園位だったと思う。したがってレースの世界では先代1KTや後輩3XVほどメジャーな車輌ではなかった。

 

 

TZR250SP 3MA4

1980年代末期から90年初頭は250CCクラスの最盛期。こんな個性的な車種が堂々とラインナップされていたのだ。管理人は初期型と少変更のあった(黒ストロボラインの奴)しか乗ったことがなかった。90年式の3MA3は多少マイルドになっていると聞くがこの年はパフォーマンスは別としてNSRがそういった方向に大きくモデルチェンジをしており不人気車といわれた88TZR(2XT)以上に街中では見かけなかった。このプロダクション対応モデルにいたってはロードスポーツの延長線上にSPクラスやF3クラスがあったことを忘れてしまっている奇形種ではないかと感じる。特に乾式クラッチ、クロスミッションはSTD車輌の物に変更した方がずっと気持良く乗ることができると思う。

短命なモデルで足廻りをRZ系にスワップされたりして個体を減らしているがバイクブーム絶頂期の車輌。昨今のXJR400等中型車年間販売数より遥かに売れており今でもそこそこ物はある。管理人のように苦労してでも独特のハンドリングとヤマハ最後のパラ2エンジンを今のうちに味わっておこう。(笑)


 

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