TZR250その2 2XTフレームに1KTの発動機とは・・・。

 「妄想爆発 パラ2 レーサー」


気分だけ1986年にトリップ

250CCの2ストロークロードスポーツ車が国内メーカーから出荷されなくなって10年になる。モータースポーツの世界でも消え去っていくこのレシプロエンジンに私達が触れることが出来る期間も僅かとなっているのではないだろうか。パーツは勿論、2ストオイルの供給も一般市場での流通は止まってしまう日もそんなに遠くないうちにやってくるのだろう。
自分自身も今のスタイルでバイクに接していられる時間は残り僅かだろうと感じてきたこともあり、3MAや3XVではなく大好きな1KTで楽しみたい。でも学生時代から共に過した1KTを公道走行不可にしてしまう気にもなれない。じゃあストックパーツでサーキット専用マシンを・・・・というのが発端です。

細かいセットアップは今後のお楽しみ?といった状態だが出来上がった車体から既存のTZRの面影はなくなってしまい同年代のTZイメージとなっている。
でも1KTが発表された当時は「TZがストリートバイクに!」とびっくりしたんだけどなあ。(笑)

3XVを壊した際に車体は組み上げていたのです

Introductory chapter (製作にあたって)

最初はTZ250(1RK)の車体に1KTの発動機を載せてやろうと考えていたが後々のメンテナンスを考えればTZRのままで作った方が良いだろうと判断した。ただしTZRの外装は、新品はもちろん中古市場でも消耗品として使用するには非現実的な価格となっているためFRP製のTZ用を流用することは最初から決めていた。

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1990年代の半ばごろは、高校時代の悪友や職場の方々より「乗らないし邪魔だからもってって」と不動の1KTやMC18を引き取っては直していたが殆どは次のオーナーの下で処分されてしまっている。どうやら人はお金を払わずに手に入れるモノは大事にしないようだ(笑)
88年式のTZR(2XT)は珍しいこともあり自分の1KTと発動機、電装、ラジエター、アンダーチューブ、リア廻り、ホイールをそっくり交換し、部品取りドナーとして手元に残してあった。3XVBを直すためもう1台レーサーを譲ってもらった時にガレージが手狭になったこともあり処分しようと思ったのだが・・・。結果的には残しておいて良かったのかなあ?
 

歴代TZRそろい踏み(タンクだけ・・・) FUEL TANK  (燃料タンク)

ノーマルタンクは、後述するシングルシートとのマッチングがどうにもならないことと転倒して凹ますことを思うと勿体無いことから手持ちのストックが複数あるタンクからの流用を考えたのだが・・・。

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具体的には3MAと3XVのタンクで検討してみた。(RZVのは流石にデカすぎ)3MAはボリュームがありすぎてタンクがメインフレームからはみ出そうなことと車体に固定するのも面倒くさい感じがするため速攻で却下。3XVの方は収まりも良好なため最初は画像の黒いタンクを右下の3MAタンクの様に赤白カラーにリペイントするつもりだった。
しかしカウリング類をフィッティングするとタンクだけ浮いて見えてきてしまい・・・。(没)
流石に当時モノTZのアルミタンクは持っていなかったのでヤフオクで調達した。「綺麗です」という商品説明とは裏腹に塗装を剥がせばパテまみれで満身創痍のボコボコタンク・・・。(よくあるパターンですね。)

ボコボコアルミタンクは可能な限り引っ張りだしているのですが・・・ COWLING (カウリング)

TZRとTZのメインフレーム部分が同一と勘違いされている方が多いが両車は似ているだけで別物だ。しかしTZのカウリングを流用してもあまり違和感がないと思うのは贔屓目にすぎるだろうか。

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形になると俄然ヤル気(何の?)になってくるの筈なのでカウルとタンクを車体に仮組みして各種ステー類の検討をしてみる。固定は、基本的にエビナット(ブラインドファスナー)を埋め込みアルミ板などを加工したステーをボルトを介して処理している。唯一アルミタンクを固定するのにSTDタンク後部固定部分のステーはクリアランス確保のため2ミリ程度の折り返しを施している。ノーマルシートカウルやオイルタンク固定ステー類はリベットで止められているため取り外してしまっているが元のストリートバイクにもどせない補強や加工は行っていない。(もどす事もないんですが・・・)。

塗装は缶スプレーです。 

SEAT COWLING (シートカウル)

かつてのヤマハモータースポーツにおける象徴的カラーリングだったストロボ赤白カラーが懐かしい。シートカウル本体は、多分SP忠男で販売していた1KT専用品。

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ノーマルタンクでは装着できない点や専用ステーが必要なことからF3仕様のものだろうか。ステー類もあった筈なのだが見つからないのでアルミ板で作ったもので代用している。形状はTZ250のものに酷似しているが1KTのシートレールに対応した製品となっている。(TZのシートはさすがにナローすぎてシートレールを加工するか新設しなければ装着できない)当時のイメージと異なるシートラバーは、TZ125の最終モデルから流用。シートストッパーは、木島あたりの汎用品だったと思うがこの車輌には必要なかったようだ。

長いTレンチがあればハンドツールだけでメンテはできます

FRONT SUSPENSION (フロントサスペション)

1KTのフロントフォークは、FZ750やRZVより太い39ミリインナーチューブが奢られていた。2XTではアクスルシャフトが太くなり更に剛性アップが図られた。でも管理人の手持ちは錆が酷く、1KTのフォークと2コ1するはめに・・・。

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アクスルシャフトの太さのみ相違点として語られることが殆どだがスプリング長もインナーカラー、オイル量も異なっている。古典的な構造でカートリッジ式の倒立フォークと比べ、オーバーホールは雲泥の差でこっちが楽。車体の特性が積極的に姿勢変化することで旋回することもありストローク量は大きい。もう少し乗り込んでやらないと判断は下せないがフォークオイルは現在のラジアルタイヤに対し、標準の10番ではちょっと腰砕け的になってしまう印象を受ける。

ダストシールについては気分の問題、あってもよく動いてくれます(笑)

FRONT FENDER (フロントフェンダー)

STDのフェンダーは空力を意識しての形状だったのか不明だがRZ(4L3)で使っていたTZフェンダーが余っていたので付け替えた。

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近年レストア?販売を始めたタイラレーシングのコンプリートマシンもこのタイプのフェンダーを採用している。しかし4L3や29LなどのRZ系フォークであれば取り付けも簡単だがスタビライザー?を介して固定するフォークに装着するにはステーを用意してやらなければならないためちょっと面倒だ。フォークアウターチューブはサンドブラスト後、塗装を考えたがすぐに剥げてみっともない状態になってしまうのでそのまま組んでしまっている。(社外品の後付スタビライザーはOXレーシング製で現在も入手可能だ。)

100ミリピッチのキャリパーでは、この形が一番好きです FRONT BRAKE CALIPER (フロントブレーキ)

ヤマンボと揶揄された100ミリピッチの同型4ポットキャリパー。320ミリのフローティングディスクとの組み合わせは軽量な車体をしっかり減速させてくれる。

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初期型のXJR1200まで採用されていた80年代中盤から90年代におけるヤマハの代表的キャリパー。この車輌は(外観は全く同じ)アルミピストンとなっている86TZ(1RK)のもの。1KTSTDでも後のスミトモ・ヤマハOEMブレンボと比べても性能的には全く遜色ない。記憶が曖昧だがFZR400SPなどのキャリパーは外観は同じでもピストン計が異なっていたと思う。ダブルディスク用キャリパーなど車輌の特性によって異なる仕様としていたのだろうか。できればディスクローターは鋳鉄を試したいと思う程度で高性能なパッドも選択できるこのフォーマットをR1−Zの様にダブルディスク仕様に変更する必要はないだろう。このシングルディスクをブレーキング時、片側に寄ると感じる方はシビアな感覚をお持ちの筈。もっと新しいバイクに乗りましょう(笑)

人目にさらすには恥ずかしすぎるのですが・・・

 CDI(コントロールユニット)

ノーマルメーターとスチール製カウルステーは、重たいのでフロントカウルステー更TZから流用。ただし(当然)ボルトオンという訳にはいかないのでアルミのプレートでステーを介して装着している。基本的にタコメータと水温系のみのためステー本体と併せて大幅な軽量化が可能だ。

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画像はハーネスを引きなおした直後のもので非常に醜い。点火系だけで灯火類の配線は残っていない。また、CDIやYPVSコントローラー類の電装系もフロントカウルステーにラバーを介して移設している。この車輌はコンデンサーを使用したバッテーリーレス仕様ではなくレクチやバッテリーをシートカウル内に納めた(充電系を残した)バッテリー仕様。始動はキルスイッチしかないためオンオフだけではバッテリーが上がってしまうため走行前後にマイナス側をバッテリーに接続しなければならない

やっつけ仕事のメーターパネル TACHOMETER (タコメーター)

0指針の電気式タコメーターとアナログ水温系もTZ250から。ステー自体が同車用のため当然何の加工もしなくても収まってくれます。

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タコメーターの流用は、3YL以降のVツインとピックアップの方式が異なるため1KTや3MAには90年までのパラ2モデルでなくては正確な表示はされない点に注意が必要。タコメータ右上はデイトナ製デジタルテンプメーター。アナログ水温系の表示温度が確認ができたので撤去予定。更に左下に写っているのは自転車用スピードメーター。一応タイヤ外周を入力することで300キロ!まで計測可能なモデル。自分は走行距離管理のために装着してみた。

ラジアルポンプはミスマッチかも・・・

MASTER CYLINDER (マスタシリンダー)

ヤマハ純正のブレンボセミアジアルポンプ。YZF-R1(5VY)などに採用されているパーツ。スロットルボディは一本引きの3XVB純正パーツから。画像では判り難いが余っていた赤色缶スプレーを使用したためナックルカバーとタンク・シートは明らかに色調が異なってしまったのがちょっと残念。

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水温計に干渉するためタンク別対式のマスターシリンダーに交換した。ブレンボやAPレーシングなどの市場販売されているアフターパーツと比較するのは酷なのかもしれないがノーマルと大差ないというのが自分の感想。スロットルについては当初左右独立してキャブの同調調整が可能なTZの2本引きアルミボディのモノを使用するつもりだったがノーマルTM28キャブはトップのスロットルワイヤー形状が特殊なこともあり安価にハイスロ化が可能な3XVのスロットルボディで代用した。

カウル内側からペラペラかつ、いいかげんな作りのリプロカウルであることが・・・

STEERING DAMPER  (ステアリングダンパー) 

ショーワ製のステアリングダンパーは、フレームにコの字型ステーをかませ、ブラケットを介して装着している。セパレートハンドルはこれ位の位置にもってこないとポジションがしっくりしない。

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アッパーカウルステーは、ホームセンターで高ナットを調達、角度調整してスチールのフラットバー溶接したステーにより固定されている。ステー本体は、フレームに前述したエビナットを埋め込んで装着している。なおクラッチレバーとキルスイッチは3XVから流用したものだ。実用上問題になっていないがキルスイッチ制御はYPVSコントラーからの導通有無により行っている。黒/白線が導通するとエンジンストップとなるため普通とは逆になってしまい紛らわしい。

TZ(後方排気 3LC)のラジエターはよく冷えます。

RADIATOR(ラジエター)

夏場のサーキットでは1KTのSTDラジエターではあっという80℃をオーバーしてしまう。ヤマハ市販2スト水冷系におけるパラレルツインの(RZVも)場合、冷却系の取り廻しはアッパーは、ラジエター上部センター、アンダーは右下となっている。

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手軽なのは2XTやR1Zのものであれば下側のステーを小少し加工してやれば装着できる。しかし劇的な変化は望めないと判断し、4L3やRZVのモノであればコアも厚く良く冷えそうだが下側のホース取り出し口の向きにちょっと無理がありそうなのでこれも没。3MA用ダブルコア(SUGOキットパーツ)を使ってしまおうかと悩んだがアッパーカウルとのフィッティングの問題もあり、結局TZのものを使用した。画像にある通り1KT系とはレイアウトが異なるためエキパイ間を通すという無理のある取り付けとなってしまっている。しかし水温は50℃半ばから60度位で安定しているから「人のバイクじゃないし(笑)まあいいか」と割り切ってしまっている。

初期生産のキャブは、ガソリンホース径が細いようだ

CARBURETOR (キャブレター)

後の3MAや3XVと比べてスリムなデルタボックスフレーム。収まっている発動機やキャブはストリートマシンと大差はない。

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キャブについてはエアクリーナボックスも付けたかったがタンクの形状から嫌いなパワーフィルタ仕様となってしまった。基本的にスローやニードルは1ランク濃い状態で乗っている。(逆に夏場はメインジェットは1ランク落としています。)後はハーネスを作り直してオイルポンプを撤去しただけ。発動機は、ストリートで乗っている1KTからのお下がりでオーバーホール後、数百キロしか乗っていなかったのでそのまま使ってしまっている。競技用車輌となるわけでもなく耐久性を無視した加工は不要と考えており、定番のヘッドガスケットの加工すらしていない。自分のレベルでは今更300回転余計に回ることや数パーセントのパワーアップなどしなくてもこのエンジンは充分に楽しませてくれる筈だ。

イシイ製チャンバーはSP用と形は一緒でもストリート用マジックファイヤ

REAR ARM (スウィングアーム)

スウィングアームの外観は当時のFZ400系とよく似ているがスポーツバイクにしては長い点が最大の特徴だ。スポーツショップイシイでは、持込でスタビライザーを追加するサービスをしていたが当時のTZよりもごつい外観の通りボディ本体に補強などは全く必要ない。カスタムする方向性としては前後のシャフトをもう少し太くていくといった程度だろうか。

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チャンバーもバックステップもイシイ製を装着しているがサイレンサーはTZ250の2穴ネジ山を3穴に加工して装着している。扱いやすいチャンバーだが高回転仕様であるTZのチャンバーとは全く形状は異なり非常にボリュームがある。したがってTZのアンダーカウルは大幅な加工を施さないと干渉してしまうため保留となっている。(ユーゾーあたりのチャンバーならもっと楽に装着できそうだが・・・)

もうナイトロンには頼らないのだ(笑)

REAR SUSPENSION (リアサスペション)

さして省みられることのない旧車はみな同じだが、世に現存する1KTノーマルサスペションでまともに機能するモノは殆どないと思われるが社外品についても1KTの頁で触れたとおりお寒い状態だ。

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特殊な構造をしていなければノーマルサスをオーバーホールしてくれるショップも存在する。これを利用するのが最も確実でコストパフォーマンスに優れていることは判っているのだが・・・。YZF-R6系に使用されている金色サスのボディ長が1KTとほぼ同じだったのとシャフト径も同じということもありサス下側の受口を交換し、流用してみた。そのままではバネレートが高すぎるので交換している程度です。アルミボディだし、通常ラインナップされているスチール製の3XVより軽量だ。使ってみた感想はやはりイイ。何よりあのナイ○ロンの3分の1以下で済んだのだから満足している。(何故4スト用のサスがあったのかは謎なのだ)

チェーンオイルにはゾイルをお勧めします。

Other (その他諸々)

リアホイールは、当時のTZやF3仕様に倣ってあえて18インチへの変更も検討したが結局2XTスタンダードのリム幅3.5、17インチに130サイズのラジアルを履かせている。しかしフロントの110サイズは適合リム幅内のサイズではあるが、あきらかにオーバーサイズだろう。

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18インチにする場合アクスル径の問題もあるし試していないがFZR400(1WG)か89TZR(3MA)の4インチ幅のホイールであれば少加工で装着できると思っていた。3XVのリム幅4.5、17インチ150サイズのホイールは大加工が必要なためお勧めしない。どうしてもワイドタイヤが履きたい場合、88,89モデルの後方排気TZからスワップすれば良いだろう。(ボルトオンではありません)
ただしハブダンパーがないため駆動系にかかるストレスは相当なものになる筈です。 

 

 

懐マン2ショット。MC16は歴代NSRの中で最も希少車になっているかな?

元々歴代TZRシリーズの中で最軽量なマシンだが、チャンバー交換や各種ステー・タンクのアルミ化、保安部品の撤去、カウリングのFRP化により元が250ccのストリートバイクとは思えない程取り回しは軽い。(この頁では適当なことを書いているが)今日のサーキットで走行している4ストマシンの4分の1程度の馬力でしかないバイクでもパワーバンド域の心地よさや後輪を軸に旋回する感覚など今でも間違いなく乗ることが楽しい。国内の250ccや400ccクラスに今後、この時代に生み出された様なスポーツバイクが復活することは厳しいのかもしれないが競技車輌ではなくスポーツの道具として(NSRminiの様に)かつて販売していた2ストバイクをクローズドコースでのみ走行可能なバイクとして販売することも許されないのかなあと思ったりもするのですが・・・。


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